Sant Medirのお祭り

KとわっしがいるアパートはGraciaというところにあります。ブリッツ用のガイドブックに拠ればボヘミアン地区であって外国人も多い。フランスあたりからふらふらとやってきて1ヶ月くらい遊んで帰る、というようなひとが多い地区です。

アジア人は、おらん。アメリカ人も見ない。

英語のサイトを見ると、アメリカやアジアのひとは憤慨しているひとが多いのでもあります。わっしはそういう光景を目撃したことはないが、なにかそーゆーところがあるのかもしれません。わっしにはわからん。

Graciaは今日はSant Medirのお祭りです。

http://www.firesifestes.com/Fires/F-St-Medir-Barcelona-Gracia.htm

街中が浮かれておる。

このSant Medirは世界のあちこちにあるブロードビーンフェスティバル(日本の節分も広い意味ではそうですね)のひとつで、豆の代わりにローリー、いやローリーは日本語ではない、キャンディをぶちまけて歩く、という子供にとってはパラダイスなお祭りである。

飴っこのシャワーですぜ、旦那。ガキどもにとってこれ以上の天国がこの世にあろうか。

馬車や馬やトラックの上からおとなたちが、これでもかこれでもかと飴をぶちまけて歩きます。何百万という飴が降る。

ガキ共はきゃあーきゃあーと絶叫しながら右往左往して飴をひろって歩きます。

実を言うと40才以上のガキどももきゃあきゃあ言いながら飴をひろいまくっておる。

もっとばらしてしまうと60才を越えたガキどもも混ざっておる。

拾い上げた飴を検分して気に入った奴は袋に放り込み、気に入らない飴を放り捨てているやつもいます。

同じガキんちょでも40才をすぎるとリアリテに目覚めるぶんだけ可愛くない。

Kとわっしはとても単純なのでお祭り気分が伝染してすっかりウキウキしてしまいます。

わっしも楽しいが若い女の子の特権でやたらちやほやされるKは子供でもないのに(ほんとうは子供が飴をもらえるお祭り)特に高い飴を袋に入りきらないくらいもらって浮かれておる。(途中でKの髪に触って平手打ちを食らったおっさんもおったが、自業自得というべきである)

しばらくするとばらまかれてくるまや人間に踏みつぶされた飴で道路はべとべとであります。馬の糞と踏みつぶされた飴の匂いが入り交じって得もいわれぬ匂いがする。

Kもわっしも牧場で育った(Kの場合は牧場は別荘だが)ので馬の甘酸っぱいような糞の匂いが大好きです。Kが糞を指さして「こんな健康的な馬はひさしぶりに見た」と言う。

ほんまやね、とわし。ニューヨークの観光馬車の馬たちに較べるとバルセロナの馬は待遇がいいようだ。

わしらはすっかり幸せな気持ちになって帰り道についた。

地元のマーケットによってオリブとハモンを買う。

カタラン語で買い物をするK。

「わかるよ、OK、わかる。お嬢ちゃん、ずいぶん上手なカタラン語だね」と肉屋のおやじさん。すっかり婚約者を誇らしく思ってニコニコしてしまうわし。

どーだ、見たか。なにを三鷹なのか、ぜんぜんわからないが。

途中でどっからどーみてもおいしいそうなベーカリーがあったので、これにも寄っていく。

英語が上手なねーちゃんが、わしらを外国人と見てとってのっけからリューチョーな英語で話しかけてきます。感銘を受けるわっし。ねーちゃんに「写真をとってもいいかね?」と訊くと、「もちろん」「パンと一緒に撮す?」「あー、そうだ、パンをつくってるところを案内してあげるよ」と、とても親切です。

なんとこのパン屋さんでは薪の窯でパンを焼いているのす。

あたりまえではないか、薪がいちばんうまいのだ、と怪訝そうな女の子。それは、そーだが。

「あなたたちは、どこから来たの」

「わたしはニホンジンでーす」と、とんでもないことを言い出す婚約者。

「わしはフランス人」と悪のりするわっし。

親切なねーちゃんは笑いの発作が起こってパンが包めない。

お客さんがまだいっぱい並んでいるのに、おかあさんとふたりで店先に出てきて、カタロニア式のハグをしてくれます。「また、来てね」

これがショーバイのためだと思うバカはいません。

人間はなんてバカで、なんて単純で、なんて素敵なんだろう。

Kとわっしは飴がへばりつく狭い石畳の道を歩きながら、フランスの「草の歌」を大きな声で一緒に歌いながら帰った。

アパートの門を鍵を開けてはいったら、二階下に住んでいる女の子が大きなラブラドール・リトリバーを連れてリフトに乗るところである。

「一緒に乗りましょう」と言ってから、突然英語で「ウイアーネイバーズ!」という。

いえ、先に行っていてください。わしらは次ので行くから。

スペインのリフトはとてもとても狭いのだ。

人間三人は平気でも犬が可哀想である。

わっしの語彙では人間の幸福を充分に説明できないではないか。

世界はなんて素晴らしい場所だろう。

写真は飴をばらまく隊列の乗馬のひとたち。

青と黒の袋のなかに飴がはいっていてガキンチョがいると見るや手を突っ込んで盛大にばらまきます。

Advertisements
This entry was posted in カタロニア. Bookmark the permalink.