Daily Archives: December 7, 2008

日本再訪_1

わっしの日本再訪は終わった。 なんだか次から次にひとに会うだけで終わってしまったような訪問になってしまった。 もっと、たとえば日本にはいくつもある山脈を歩いて縦断したりしたかったが、全然出来ないで終わってしまった。山と名のつくものは広尾山と鎌倉山しかいかなかった。 ときどき高岩山を眺めながら長野の「山の家」までクルマで出かけた。 そのモニとわっしが大好きな「山の家」からクルマでサクホやノベヤマに出かけた。 ベッショの中世の寺院に巡礼した。 道路脇の野菜の直売所で地元のひとと話す。わっしが日本語を話すと、すっかり喜んで山ほど野菜をクルマに押し込んでくれるおじちゃんやおばちゃんたち。 「うっひゃあ、すげー、美人だねえ。待ってて待ってて」と叫ぶなり軽トラックに飛び乗って消えたかと思ったら、デジカメを持って戻ってきてモニと写真をとるばあちゃん。 誰もいない小さな湖や池。美しい鳥たち。駆け抜ける雉子。 雪の道に伏せているハクビシン。 スガダイラからオブセに向かう道でモニとわっしは森のなかに立って遠くを見つめるカモシカの夫婦を見た。 銀座ではイトーヤに行かないわけにはいかぬ。 ワコーにも行く。 あの美しい藍ののれんが下がった静かな店で「景虎」を飲む。 「樽菊正宗」を飲む。 モニとふたり、sakeですっかり酔っぱらって、お堀端を歩く。 酔っぱらうと日本語はメンドクサイので、日本語を誰も話さないクラブへ行って遊ぶ。 そこには英語と仏語と独語と西語を話すクールカットのスーパーマン日本人青年がいて、かっこよくまんまるにしたでかい氷がはいった水とスコッチをもってくる。 「モニさんとガメさんは、もうお帰りですか?」 「帰ります」 「ぼくももうすぐここをやめて出かけるのです」 「どこへ行くのですか?」 「どこでもよいから、革命が起こせる国へ」 暗闇坂を下りて、麻布十番まで散歩するのだ。 この坂の上にはわっしの初めて出来た日本人の友達である女のひとが生まれた家があった。 「友達」と言っても、わっしより遙かに年が上であったが、このひとと話すのはいつも楽しかった。 トンブリッジウエルの森のなかを抜ける細い道を一緒にあるいたときのことが忘れられない。 「ガメちゃんは、将来はなにになるの?」 オヨメサン、と答えようかと思ったが、おもいのほかマジメな顔で訊いているのに気がついてアホな冗談はやめて真剣に答えようとした。 「シンジン」 「?」 「真の人。荘子、という中国人の本に出てくるんです」 笑われるかと思ったが、真剣に聴いてくれてます。 わっしは一所懸命「真人」について説明した。 真人がいかに知識にあふれているか、また、その知識に左右されないか。 真人がいかにたくさんの知友をもっているか、また、その知友に左右されないか。 夢を見ずに眠り、起きているときには憂いをもたず、生を愛しもしなければ死を憎むこともない。深く呼吸して、誰も真人がそこにいることに気付かないほど自然に同化している。 「ひとつ、難しいことがあるんです」 と、わっしが言うと、そのひとは促すように首を傾げる。 「えーっと、真人になるには職業についてはいけないんです」 … Continue reading

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