恋をしたくて恋におちるひとなどいるわけはない、と思う。

よいことなどひとつもない。

苦しいだけです。

起きてから夜ベッドに行くまで考えることといえば相手のことだけであって、他のことはなにも考えられない。

歯を食いしばって相手のことを忘れようと思っても、それが出来ないのだ。

自分というものの愚かさが胸に迫ってきて何も言えなくなる。

腹立たしいが、現実を見つめてみれば、1秒の隙間もなく相手のことばかり考えている自分がいるのです。

モニは日本語が読めないので安心して書くと、

モニと会った初めの瞬間からわっしはモニが好きであった。

理屈などはなにもない。ただ好きだった。

フランス人らしくない黄金のような金色の髪もあたたかで輝かしい緑色の瞳も、透き通るような白い肌も、幼児を連想させる笑い顔も、ひどいフランス語なまりの英語の発音ですら好きであった。

モニとわっしのあいだにあった特別な事情を考えて、わっしはモニと結婚することが考えられなかった。だから忘れようとしたのです。

「わしは別れるのだ」と電話で宣言したその日から、わっしのゆくところにはどこにでもモニの手紙が届くようになった。

「ふたりのあいだにある障害は全部乗り越えられます」

「きっとわたしとあなたは一緒になる」

わっしは、いまでもモニの書いた稚拙な(モニ、ごめんね)英語を全部思い出せる。

返事をひとつも書かなかったが、わっしは、毎日届く手紙を読んでは自分のバカさを呪っておった。

いま考えてみればもっと「愚者の迫力」というものを信じればよかった。

人間は常に賢さによって滅びる、という普遍の真理をわかっているべきであった。

搭乗日を間違えた。

今日ではなくて明日ではないか。

アホちゃうか。

でもそのおかげで、モニとわっしは満月の成田でデートできた。

イオンモールに行って、コーヒーを飲んだ。

新開地を歩いて、歩きながら一緒にフランスの歌を歌った。

恥知らずにも公衆の面前でキスをした。

「愛している」と言った。

わたしも、あなたを愛している。

ジュテーム。

知っていますか? わっしは、この宇宙よりもあなたを愛しているのだ。

真実よりも善なるものよりも美よりも、あなたを愛しているのだ。

天国も地獄もわっしにはどうでもいい。

あなたが地獄に行けばわっしは地獄にはるばる出かけてゆくであろう。

あなたが天国にいてわっしが地獄にいて、天国の神々がわっしを受け入れられないというなら、わっしは持ち前の悪知恵を発揮して冥界の軍隊を組織して天国を攻め滅ぼすであろう。

神があなたを罰しようとするなら、わっしは神をも殺そうとするでしょう。

これが迷妄ならば、わっしは迷妄をこそ愛するでしょう。

これが愚かさであるなら、わっしの哲学は愚かさのためにこそある。

モニは、なんのためらいもなく、「わたしも」と言う。

あほなひとたちです。

絵に描いたようなバカップルだすな。

でも搭乗日を間違えたわっしは今日はとても幸せであった。

「恋」は愚者の勲章である。

わっしは、その痴愚の神様からもらった勲章をまもって、まったく愚かなだけの人生を送ってもよい、と思うのです。

こういう反歌をかんがえてみればよいのではないでしょうか。

結局、人生にそれ以上の意味なんかあるのか?

About gamayauber1001

ver.6 https://leftlane.xyz もあるよ
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1 Response to

  1. arty1219 says:

    素敵

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