ハイドパーク

ちゃむい。

寒いよお。

ふつー、摂氏2度とか3度なら、まだ半袖でうろうろするわっしだが、クライストチャーチ、オークランド、シドニー(ここまで夏、ね)サンフランシスコ、オレンジカウンティ、ロスアンジェルス、シリコンバレー、と暖かいところ(昨日のメルボルンは暖かすぎて20人死人が出たそうだが)ばかりまわった後なので、寒いっす。

こうやって人間は軟弱になってゆく。

ともかく、モニとわっしはヒースローにたどり着いたな。

そいでもって驚くべきことにスーツケースがちゃんとコンベアから出てきた。

これは真に驚くべきことである。

この空港でスーツケースがちゃんとコンベアの向こうから姿を現すかどうかは、イチローの出塁率と同じくらい高い。

高いのだから、スーツケースが姿を現したくらいで驚いてはいかむが、それでも、いまかー、いまかー、と待っている連合王国人たちの顔(ついでにいうと、この時期にサンフランシスコ・ロンドン、なんちゅうへんな便に乗るのはほとんど全部連合王国人です。なにしろ「逆ホリデー」であって、日曜日に出勤するような暗い路線である)に「ほんとうは、こなかったりして」と書いてある。

自国の国民性くらい、よく知っておる。

なにしろ地下鉄に初めは蒸気機関車を走らせておいて死人が出てから、「やっぱり窒息するやん」と言って換気を考え出した「計画性」の伝統がある。

去年は、あまりにどの荷物が誰のものかわからなくなったので、めんどくさいから溜まりにたまって5万個になった、訳がわからんスーツケースを、まとめてミラノに送りつけた。

「ん? なんでロンドンの荷物をミラノに送るの?」と思ったひと、きみのようなひとを「原理主義者」という。観念的にすぎる。

マドリッドからロンドンに飛んできた乗客の荷物だからロンドンで処理するのがトーゼンでしょう、というのは原理原則、というものであって、

5万個も処理がわからなくなったスーツケースをためこんだ奴に、この先荷物を整理させても埒があく訳はないから、もうちっと賢いイタリア人にお願いしてやってもらうべ、という考えを「現実主義」と言う。

連合王国の伝統は現実主義なんです。

だから、ミラノに全部送りつけた。

ちょっと恥ずかしかったそうだがな。

余計にかかった金のほうは、みんな運賃におっかぶせて乗客に払わせたので大丈夫であった。

ブッザアー、とでかい音でブザーが鳴るところがすでに連合王国式です。

微妙にダサイ。

それから、おっちゃんが、「ご覧のとおりコンベアがアクティベイトされたので、気をつけるよーに」とアナウンスする。

もう少し計画性があれば、動く前に言うよな、普通。

おまけに出てくるのが、すごおく遅い。ダラスの空港も遅いので有名だが、ヒースローはそれで有名なだけに輪をかけておそい。

そー言えば、サンフランシスコでラウンジがセキュリティゲートの前にある、と言うので、「セキュリティゲートとパスポートコントロールを通り抜けるのに、どのくらいかかりますか?」と訊いたら、ねーちゃんが、ニッっと笑って、「最大10分もあれば確実に通り抜けられますよ」と言う。

それから、わっしのアクセントに気付いたのでしょう、「ニッ」を、ますます大きくすると、「ヒースローとは違うのよ」と言いやんの。まだ独立戦争のときのことを根に持っっとるのか、きみは。

もっともねーちゃん、多分、中国系のひとなので、根に持ってるのはアヘン戦争のほうかも知れないが。

ほんとうはモニとわっしの荷物にはタグがついておって、いっとう初めに出てこなければならないが、わっしのは殆ど最後でした。

いつものことですが、なぜかモニの荷物はすぐ出てくる。

わしがミソカス。

でもヒースローのようなデタラメな空港でスーツケースが出てきたので、わっしは機嫌がよい。

「今日は、ついておる」としみじみ考えた。

外に出ると、他にはまばらにしかひとがおらん。

そりゃそうです。

今年は連合王国はいつもに輪をかけて天気が悪い。

くそ季節のくそ経済のくそ首都に、くそ天気をものともせずにやってくる奴なんて、

博奕と大酒が目当てのアラブのおっちゃんか、ロンドンのねーちゃんが目当てのロシア人のおっちゃんくらいしかおらん。

XX通りに行っちくれ、とわし。

モニが横でくすくす笑っておる。

XX通りはハイドパークの東に面しておる。

わしはXX通りに行くはずではなかった。

あんなうるへーところはわしに向かぬ。

でも鍵忘れちったんです。

今頃は鍵さんはクライストチャーチのタンスのなかで夏のバカンスを楽しんでおられる。

さっき飛行機のなかで気がつきました。

ロンドンの運転手は、相変わらずおしゃべりです。

話しかけられるまでは黙っていてお行儀がよいのは感心だが、いったん話し出すと絶対に止まらん。

95ミリオンポンドをかけたハイドパーク1番地のアパートメントホテルを指さして、「あんなもの、うまく行くわけがありやせんぜ」という。渋滞税のせいで日曜日にも渋滞するようになってしまった。ハロッズも最近はフードフロアのほかは見るものがない。

ずーっと、ずーっと話し続けていて、目的地に着くと、さっと飛び出して、門衛のにーちゃんと一緒にぱっぱっと荷物を運び出すところがロンドン風でたいへんよろしい。

ちかれたびー、と思ってベッドに寝っ転がると、テレビを付けます。

どーも、合衆国にいるあいだにテレビを観る癖がついてしまった。

モニは、隣の部屋で鼻歌を歌いながら荷物をクロゼットやなんかに移しておる。

「かたす」っちゅう、面白い日本語があったな。あれは方言であろうか。

テレビはチャンネルが40弱ありますが、面白いのは限られておる。

アルジャジーラを暫く見ておったが、そのうちにモニがやってきてフランス語ニュースに変えられてしもうた。

アルジャジーラのニュースを観てからレバノンのショーを見ようと思ってたのになあ、と一瞬思いますが、モニに逆らうわけにはいかむ。

わしは立っていってこの机のある部屋に来てコンピュータをつけます。

「連合王国への帰還」という記事を読んだが、あまりにつまらんので消しちった。

 ender さんやwindwalker さんにお返事を書かなければ。

PHAさんの長いメールにもご返信を書かなければなりません。

明日はチャリングクロスはだいたい休みだがフォイルズは開いているはずである。

テレビを観る癖が直ることでしょう。

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