Daily Archives: February 21, 2009

バルセロナのカスタマーファースト文化

バルセロナの裏通りの近所のひとでごったがえしているタパス屋へ入って、ふんじゃ、まずヴィノティントね、と頼むと、おっちゃんが、新しいワインの瓶をコキコキコキと開けて、瓶ごとどおーんと置いてゆきます。ちっこいワイングラスもふたつ置いてゆく。 えっ、えっ、えっ、わしはグラスワインのつもりで頼んだんだぞ、ひでーじゃねーか瓶を開けておいてっちゃうなんて、第一値段も聞いてねーぞ、と焦ってはいけません。 そーではない。 観光客がたむろするあたりならともかく、そうでないタパス屋で、ただ「赤ワインね」と頼むと、そうやって瓶ごと置いていってくれる。 好きなだけ飲めばいいのです。 すると飲んだ量に従って、おっちゃんが、えーと大体半分飲んだから、こんくらいね、と勘定書に書いてくれる。 ちなみにいくらくらいかというと、ワインの瓶半分弱飲んで1.6ユーロ(190円)。 はっはっは。信じがたいでしょう。 でも、まずい安ワインちゃいまんねん。 ちゃーんとおいしいワインが出て来ます。 モニとふたりでオムレツとアンチョビとオリーブとポテトのカタランソースとチキンのコロッケと、サンドイッチとワインをボトルの半分飲んで112ユーロ(950円)であった。 うーむ。 カタロニア人の実力はすごい。 オムレツもポテトもコロッケも味は超一流である。 ほんで950円。 わっしはシミジミとバルセロナに戻ってきたなあ、と考えました。 わしは心底からケチなので、うまいだけではなかなか全幅の幸福を味わうというわけにはいかむ。その上に安くないと健やかな気持ちになれないのです。 ロンドンで同じことをやったら1万5000円はかたいからな。 カタロニアはいいなあ。 るんるん。 カタロニア、ちゅうかバルセロナで感動するのは伝統的な社会の仕組みがもともと 「カスタマーファースト」であることで、レストランのサービスでもなんでも 「客の立場ならなにが嬉しいか」ということに収斂されたサービスである。 「店の都合」はどこにもない。 なにかが出来なくて、「もーしわけないが、それが店の決まりなもので」というのはニュージーランドや連合王国や合衆国ではよくあることですが、カタロニアの店はその反対である。 たとえばお勘定を払うのもテーブルでもカウンタでもよい。 他のことでもたいていのわがままは聞いてもらえます。 なにしろわがままなので有名なスペイン人を相手にしているのだから当たり前であるとも言えるが。 で、すっかり気持ちよくなって裏通りから裏通りにへろへろしながら歩いてゆくと、たとえばワインバーがあって、中に入ると、無茶苦茶おいしいワインを、これはどう?こっちのもおいしいと思う、と次から次にテイスティンググラスを持ってきてくれます。 これは全部タダである。 タダなのダタ。 ただというのはヒジョーによい。 ほれ、日本語の諺でも「ただほど安いものはない」と言うではないか。 サラゴサのワインがうまかったので、それを頼んでやはりサラゴサのソーセージを切ってもらったのをつまみながら、客の犬と遊んだり、主人の友達たちと話したりして遊びます。 また、へろへろへろ、と裏通りを歩いていって宝石屋や電器屋をひやかして歩く。 モニは、テーラーの店の前や工芸品店でときどき立ち止まっては品定めしておる。 店のなかにはいってゆくこともあります。 ちょろっと店に入っては、ワインを一杯飲んで一皿タパスを頼む。 他の店でカバを飲んで、またひと皿タパスを頼む。 6時くらいから12時くらいまで、ずうーと、そうやって遊んでいられるのがバルセロナのよいところである。 … Continue reading

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