Daily Archives: March 8, 2009

ひび割れた青空

子供のとき、かーちゃんに買ってもらった中国の話を集めた本が好きであった。 「邯鄲の夢」や「鯤(こん)と鳳凰」の話、枕水漱石もそのとき初めて英語で読んだ。 そのなかにひとつ中国のひとの不思議な想像力に打たれてしまう話があって、それが 「杞憂」 http://www2.odn.ne.jp/kotowaza/sub20-1-2-1-koji.htm なのでした。 説明しなくても普段の会話に使っているくらいだから日本のひとは話をよく知っているわけである。 この話を読んでから草原に寝転がって草の匂いをかぎながらニュージーランドの大空を眺めていると、実際に空が大伽藍であって崩れてきそうな気がして困った。 ニュージーランドの空は、他のたいていの国と違って地平線に近いところまで深い色の青です。白くぼやけていたりしない。 だからものすごく大きな空であって、わっしはニュージーランドよりも空が大きい国を他には知りません。 わっしは、あの気が遠くなるように大きな青空の下で牧場を駆け回ったり滝壺で泳いだりして育ったのをとても幸せなことだと思っています。 しかし、いまはそのニュージーランドの大空が崩れてきそうである。 そればかりか足下の地面も割れかけている。 ニュージーランドは小さな国です。 人口は出生率が高くアジアからの移民が増えて最近ものすごく増えた、といっても340万人かそのくらいにしか過ぎない。 小さな国の政府をマルドゥーンの「Think Big」が生み出した危機以来、小さい政府を指向するように変わってボルジャーに至って政府を更に小さくして、議員の数まで減らして減量に減量させて、そこへ新しい金融技術を導入して好景気を作り出した。 観光業も最近では羊をどんどん減らして作り出したワイン業も好調でしたが、国の繁栄そのものはわっしの職業上の観点からいうと、より多く高金利の設定が可能な社会の性質を利用したいわば「金持ち用の賭場の開設」という市場が人気を博したことによっています。たとえば、この賭場を利用したマハティールとジョージ・ソロスの一騎打ちは有名であって、ソロスは大勝して負けたマハティールは、「今日のアジアの経済危機は実直なアジア人の汗のたまものを博奕の対象にした西洋人の投機の結果である」という、これも有名になった過激な内容の演説をぶった。 字面だけ見ていると立派な言辞なのに玄人衆が冷ややかな笑いをもって迎えたのは、 みな裏側を知っていたからです。 「汗の賜物」を一気にさらっていきたかったのは、当の本人だった。 ニュージーランドのような国の経済というのは、ヨットで遊ぶ習慣があるひとがいちばんよくわかるでしょう。それも400フィート、というようなヨットではなくて、ほんの短艇に帆が生えたようなのを思い浮かべるとわかりやすい。 向かい風でも追い風でも操船しだいではぐいぐい前に出て行けます。 しかしガスト一発であっというまに沈没してしまう。リカバリが利かないのと、操船そのものが大きな船に較べると極端に難しいのが欠点である。 わっしが初めに「こりゃ、やばいだろう」と思ったのは、2002年のことでした。 わっしは夏休みにちょっとした悪戯で考えたことで思わぬ金額を抱えてしまったので、 どうするべ、と思って銀行へ行った。 エラソーで、あんたはシベリア収容所の女看守か、それともナチの女看守の生まれ変わりか、といいたくなるような威張り狂ったねーちゃんがやってきて、わっしに「投資のプロ」としての観点から縷々と最近の金融工学の最先端を駆使した金融商品の数々お説明します。 ところが、その説明が全部間違っておるのだ。 ありー、と思って伝手をたどって「金融専門家」のみなさんとニューヨークやロンドンで話してみて判ったのは彼らが「屋上屋」を架してビジネスモデルをつくっているのであって、多分、誰にも損をしているか儲かっているのかわからなくなるであろう、ということだった。日本の場合は金融家のモラルが問題の実体だったのですが、えーかげんなことをやっていれば必ずボロボロになってくる大金が動く世界の人間のモラルの低下(それも、ちょっとでそういう世界を知っていればわかりますが、普通の世界のひとが想像しうるような程度のモラルの低下ではない)に加えて、この場合は、「なんとなくもっともらしいだけで、実は誰にも見通すことが出来ないビジネスモデル」というほとんど原理的に大爆発を起こすしかない爆弾を抱えてしまった。 世の中を動かしている人たちの基本的な理屈というのは「いままでも大丈夫だから、これからも大丈夫に決まっておる」です。 うっそお、と思うかも知れないが、つまるところこの世界を動かしているのはその理屈ひとつしかない。石油のような資源の問題も、温暖化も、すべてその理屈で処理される。 しかし、わっしは世の中の忙しいひとびとと違って暇人なので、ひとつひとつ場合分けをしてビジネスモデルを分類していった。その結果、健全なのは1割くらいであって、あとはペケも良いところであった。 それで「北京五輪の年が地獄の年になる」と言い続けてきた。 このアホブログにさえ何回かその話が出て来たのは、みなさんが知っているとおりであって、シャチョーがそれまでのものすごく利益率が高かった商売を捨ててゲーム業に鞍替えしたりしたのも、そのせいでもある。 っちゅうか、義理叔父の「ガメの言うことを聞くべ」という説にうなづくときには、もう人生の終わりを覚悟した、のだそうです。 でも野茂になれるのなら、それでもいいと思った、のだそうである。 その頃のシャチョーのことは、ずっとむかしのブログに出て来ます。 義理叔父などは、ほとんど中国共産党の長征のような大撤退を行った。 わしの近しいひとたちは、みな「ガメはアホである」というのを知っていますが、一方では「あれは座敷童子とか仙台四郎みたいなもんである」と思っているので、そーゆーときになると意外とゆうことに耳を傾けるのです。 … Continue reading

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