岡崎京子

「存在に対する不安」から女の子の性器がこすれて痛くなるまでやりまくるバカ暴力男や喉に指を突っ込んで嘔吐しながらイタリア料理を食べまくる高校生モデル、なぐられ、蹴られ、いじめぬかれることの優越に残虐な愉悦をおぼえるゲイ高校生。

好きになって欲しい一心で性の奴隷になってやったボーイフレンドが手引きした男たちに輪姦される女の子。

この女の子は、オレら悪い病気持ってないから大丈夫だよー、と明るい声で去ってゆく強姦者たちが去ったあとで、

「人のちんちんて 色んなカタチが あるもんだにゃあ」

「アレの味も ちがうんだにゃあ」

「空知君と もう顔を忘れた やつのしか知らないから『そーか』って感じ」

とつぶやく。

悲惨、という現実事象の実際どおり乾ききった姿をそのまま放り出したような表現が特徴である。

岡崎京子が描く「若者」たちは気味が悪くなるくらいリアルであって、少なくともこの舞台が連合王国であれば、きっとこの作家は高校生たちにインタビューして実際の逸話を絵にしたに違いない、と思うでしょう。

生命のエネルギーに身体全体をわしづかみにされて破滅に向かって叩きつけられるようなところが誰の「青春」にもあるからです。

外から見えない、(たいていは地下の)ロンドンのレストランで開かれる高校生たちのパーティに出かけてゆくと、階段を下りたところで、もうマリファナの甘い匂いがぷうーんとする。

やあ来たね、と言う同級生の手のひらにお金を握らせて、わっしはパーティのなかにわけいってゆく。

(マジメなひとは、ここから先は読まないように)

ドアを開けてはいるとクラブでは結構有名なバンドが壁が歪みそうな音で演奏しておる。

相変わらずPAの調整がちゃんとしてないので、わっしは顔を顰めます。

音があってねえじゃん。

カウチでは顔見知りの女の子がすっかり「石化」しているのでしょう。

男の子ふたりを相手に性交しておる。

他のガキどもも、踊りくるいながら服を脱いでいるのもいれば、うるんだ目で男の子の手をひいて人目のないトイレに連れ込む女の子がいる。

前を開けた男の子の前に跪いている女の子もいます。

みな裕福な家のガキ共である。

わっしは他人がはめを外すのはなんとも思わないが、嫌な奴なので自分でくわわろうとは思わん。

実はマジメ同級生のKに「妹があれらのパーティに行っているのかも知れんのだ。。きみ、行ってみてくれないか。ぼくにはとてもじゃないが行く勇気がないんだ。

ぼくが行っても入れてもらえないかも知れないしね」とゆわれて来た。

カウチがうまい具合にひとつあいていたので、そこに腰掛けて辺りを見渡します。

どうもKの妹はいないようだ。

小部屋やトイレを名をよばわって歩かねばならないだろうが、まずはひと安心である。

カウチの肘掛けの脇の床からわっしの名前を誰かが呼んでいるので、そちらを見るとわっしの父親の親友Dの息子で一級上のFが裸で仰向けになっていて、不思議なかっこうの、つぶれたような四つん這いになったやはり裸の見知らぬ女の子とつがっておる。

「きみ、ちょっと申し訳ないのだがね」と言います。

まだ18歳でも、そういう口の利き方をするのは、そうやって教育されているからである。

「このレディの尻の穴に親指をつっこんであげてもらえないだろうか。

この方は、そうされるのがことのほか好きなのでね。お願いできると助かるのだが」

わしは生憎親指の爪を切り忘れているので、この方(かた)がやわらかい部分に怪我をする可能性を考えると、そういうわけにはゆかないようです、と答えます。

「そうかね。それは残念」と答えたあとは、もうFは、わしに対する関心を失ったようでした。

少し「パーティ」の様子を観察して、どのカップルもやっていることは同じの小部屋とトイレをひと渡り探してから、入り口の同級生にもう一度挨拶すると、わっしは歩いて家に帰った。

自分には、ほんとうに人間の世界を渉ってゆく勇気があるだろうか、と考えたのをおぼえています。

岡崎京子を読んでいると、あの、魔物にすっかり食いつくされてしまうような「高校時代」というものを思い出します。

一般的にはマリファナとブージングとボーイレイシング。

わっしの学校でゆえば「パーティ」とライブリでのキチガイ沙汰でしょうか。

岡崎京子が描いた乾燥してひりひりするような身も蓋もないガキどもの絶望は、世界中の高校生たちが共有しているものです。

そこに岡崎京子の「カン」の確かさがある。

現実を知らないで現実そのものを描ききってしまうひとの「天才」がある、と思う。

ひき逃げされて植物人間にされてから岡崎京子はその深い眠りのなかで、なにを見ているだろう、とわしはときどき考えます。

もう世界というものの残酷さや「若い」ということの無慈悲さを見ないですんでいればいいがなあ、と思うのです。

(いま日本語のサイトを見たら英語サイトの情報とことなって意識を恢復されたようです。生命力においても天才なのかもしれません。

すごい。がんばってほしい、と思います)

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