8月15日

日本人の友達でひとり、8月15日を必ず「敗戦記念日」というひとがいます。

わっしが終戦記念日とゆっていても、敗戦記念日、という。

なんで?

と訊くと、だって負けたんだもん。

日本人ってさ、まるで負けてないようなことをいうやつがいっぱいいるから、

おれだけでも、と思って敗けたことを強調しているのさ、という。

バカチョン、というひとがいると、バカはいいけど、「チョン」はなんだよ、とすごい顔で睨みます。

マジメである。

日本人はバカになるにつれて右傾化してゆく。

いったいこれは、なんだ、とゆっていつも怒っておる。

英語の世界ではVJデーというな。

対日勝利の日。

VEデーに較べると地味、というか、あんまりお祭りでない感じの日です。

VEデーに較べてやや陰惨な感じがするのは、この日を狙って「南京虐殺」とか「日本の捕虜収容所の残虐行為」とか、そーゆーのをやるからでしょう。

いまは、あんまりしつこくやらなくなりましたが、わっしが子供のときは一日中日本との戦争の話ばかりでうんざりした。

従兄弟(かーちゃんシスターの息子さんです。ブログに書くと怒るので記事にはでてこないっす。とーちゃんが義理叔父、日本人の「ヘンな叔父さん」である)にいたっては露骨に嫌がらせにあったりしてユーウツそうであった。

(むかし、まだ往生際悪く他人のふりをして書こうとしていた頃、従兄弟の体験を自分のこととして書いたことがあります。いま読んでみると、日本語下手だのい。この頃は、こんなへったくそな文章を書くのに半日かかっていたのだから、思い出すと涙なしではおれんな)

いまは、そんなことはない、と思いますが、退役兵たちのVJデーのパレードに加わりたいと申し出た日本人観光客たちの希望を拒絶したりしておった。

オークランドの海岸を歩いていると、ところどころに横穴があいているのに気が付きます。なかに上がってみると砲座の後がある。

大きさからして6ポンド程度の対戦車砲を備え付けてあったのでしょう。

珊瑚海まで攻めてきた日本軍の来襲に備えて、大急ぎで築いた防衛線のあとである。

ニュージーランドの軍隊は連合王国軍の助っ人に出払ったあとだったので、国民は必死の覚悟を固めた。

英連邦ごとドイツとの戦いに必死であって、他にはなあんにも手がまわらなかったので援軍が来るはずもなかったからです。

ドイツという巨大な敵に立ち向かっているのに、自分の家に軍隊があるわけがない。

この頃の話には、むかし飛行機に乗っていたじーちゃんが複葉機を修理して、戦闘機に改造した話、とか若い衆がいないところに日本が攻めて来そうなのでやけくそになったじーさまたちのマンガのような話がたくさんあります。

竹槍で合衆国軍と戦おうとした日本のひととあんまりかわらん。

オーストラリアとニュージーランドに「敵」が迫ったのはこのときだけであって、オーストラリア本土が空襲されたのもダーウインを日本が爆撃にやってきたときだけでした。

他には本土めざしてやってくる「敵」というものを持ったことがなかった。

戦後長いあいだオーストラリア人とニュージーランド人が日本という国に対して特別に激しい嫌悪と敵意をもっていたのは、要するにそういう事情です。

連合王国のほうは、もっとすごかった。

「嫌いな国」の第1位は長い間ダントツで日本でした。

特に戦争期間中海外で生活していたひとたちは、なぜ日本という国の生存を許すのかわけがわからん、というようなことをゆっておったな。

「卑劣な国」「臆病者の国」という。

じーちゃんたちの、日本について話しているうちに次第に激昂してきて、最後には(連合王国人としては通常ありえない態度ですが)涙声になって話を続けられなくなる様子を見て、わしらガキはびびりまくった。

異様、という言葉がいちばんあてはまるでしょう。

わっしは子供の頃、そんなに激昂するオトナ、というものを他に見たことがなかった。

およそ15、6年前、というのはまだそんなふうでした。

わっしは自分が8月15日に日本にいることを不思議に思います。

しかも、その日は淡々と過ぎてしまった。

わっしには日本人の友達たちがいて、議論したり、一緒に酒を飲んだりして過ごす。

ガールフレンドとのあいだの悩みや、職場での不満、自国の政府への憤懣、ちゅうようなことを話してくれます。

このブログに来てくれるひとたちも、いろいろな話をしてくれたりメールを寄越して相談したり、悩み事を打ち明けてくれたりする。

あたりまえだが、わっしの国の人間と違う所など、なにもない。

公平に言って、日本人は穏やかで気持ちのいいひとたちだと思います。

特にわしが潜かに「風呂敷おじさん」たちと呼んでいる、ときどき風呂敷を使う、背広のおじちゃんたちは、挙措といい物言いといい、文明人の手本のようなひとびとである。

物静かで、ていねいで、他人の話をじっと微笑を浮かべて辛抱強く聴いておる。

わっしの「日本人像」を根底のところで支えているひとたちです。

そーゆー「風呂敷おじさん」たちと遊んだ帰り道、たとえば芝の公園を歩きながら、

「国家」とか「民族」とか発明したのは、どこのバカだ、と思うことがある。

日本という国は戦争に負けたのに繁栄した、とわっしは教わったが、この国にいて観察してみると、「戦争に負けた」ことの傷跡がひとの心や社会の在り方にひどく深くくっきりと残っていることに気がつきます。

制度もなにもかも「しっくりこない」のは、合衆国人の乱暴さで、自分たちの来ていた服にあわせて日本の肉体のほうを裁断してしまったからでしょう。

日本という文明は、肉体をそがれへつられて血まみれになって二度と復元できないほど破壊されてしまった。

明治のときも1945年も、日本は「ともかく当座はこれでいくしかない、いまはスピードが勝負だ」で自分にしっくりこない思想も制度もみな無理矢理受け入れてがんばった。

でも、もう自分にやさしくしても良いころなのではなかろうか。

「経済の回復を急げ」と経済人はいうが、また急ぐのか、と「日本」のほうはうんざりしているのではないでしょうか。

もう、動きたくない、と座り込んで叫んでいるように見えることがあります。

あたりまえじゃない、とゆわれそうだが、夏祭りに浴衣であらわれる女の子たちを見ると、びっくりするほど自然な綺麗さで、しかも、あんな窮屈そうな服を着ているのに、みなくつろいだ表情である。

日本にもとからあったものや、後で来たもの、役には立つが急ごしらえにつくったものや、役に立っているように見えないけど何故か長い間もとから続いているもの、ちゅうようなふうに日本の事物を分類してみることが必要なのかもしれません。

えっ? そんなに立ち止まっていては、ますます世界に取り残されるじゃないかって?

なあーに、ダイジョブですよ。

ついこのあいだまで260年国を閉ざして遅れまくっていたのに、ほんの30年くらいで追いついたじゃないすか。

自分の身体の再点検をして、ゆっくり考えてみてからまた歩きだしたって、納得さえしていれば、きっとまた、あっというまに追いついて、追い越します。

おかしなことはたくさん山積みになっている。

軍隊が相変わらず「自衛隊」というへんてこな名前で呼ばれている、というような剥き出しの矛盾から、1945年の8月15日に墨で塗りつぶされた教科書を手に、昨日まで「陛下のために死ぬ」日本の大義を教えていたのに「今日からは民主主義の世の中です」

先生に教わったところから始まった全体がうそくさい教育。

国民的な誇りをもちえないことからくる倫理の崩壊。

目的、というものが存在しない社会で無理に希望をもって暮らそうともがく若い人間の層。

他の国と異なって、日本ではたくさんの問題が8月15日に天地が逆転したことに起因しているように見えてしまう。

敗戦記念日、とゆって力むことにも良いところがないとは言えないが、

終戦でも良いような気がします。

昭和初期の、あの長い「キチガイが威張っている」時代が、その日で終わったのだ、と思えばよい。

人間とキチガイの長い戦いが8月15日に終わった。

来年の8月15日まで、みんなで会社とか行くのやめちって、家でごろごろしながら来し方行く末を一年かけてじっくり考えてみる、というのはダメでしょうか。

ピンポーン。ブー。

ここで業務連絡でえーす。

なんちて。

わっしは夏にボロ負けしたので明日からモニとふたりでホテルに移動します。

ふたりで、なああああああんにもしないで、ごろごろして暮らす。

無駄遣いすんじゃねーよ、といわばいえ、

だって暑いんだもん。

なんにもする気しねーんだもん。

あっ、ひとつだけすることあるけどね。

子供は、なにかなー、と考えちゃいけません。

ふっふっふ。

そーゆーわけでコメントのご返信が、ときどき遅れるかもしれん。

だいたいどこにいてもiPhoneとかで覗いてますけど。

では。

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