Daily Archives: August 18, 2009

Lに

ルクセンブルクのポルトガルバーで会った日のことをおぼえていますか? わっしは世界というものが嫌いな何も判っちゃいない大学生で、あなたは、こんな名前はあなたには相応しくないが、 あなたはそんなものよりも何倍も素晴らしいひとだったが、天使そのものだった。 他に、どんな呼び方がありうるだろう? 4月の季節外れの嵐のなかで、あなたと会った。 ホテルの男の子がやってきて、あなたのことを伝えに来た。 あなたは初めから妖精のようであった。 肉体がある、どころか、誇らしげに輝かしい肉体を誇示する妖精だった。 わっしは19歳で途方にくれている単純で蒙昧な肉体だったわけです。 あの灌木が茂った丘の上で、あなたとわっしは遠くまで続く田園を眺めた。 わっしが我慢できなくなって、「あなたは天使のようだ」というと、30歳になる天使なんていないわ、と言って笑った。 あなたがあれほど結婚しなさいとすすめたモニが今日はヘアドレッサーに行っていたのでよかった。 わしは狼狽した夫という姿を見られないですんだわけです。 日本という遙か彼方の国で、有楽町駅の前に立っていたわしの手元にあなたが死んだというメールがくる。 純粋な人間はみなあなたのように白い粉にまみれて死んでしまう。 わっしのように、すれっからしになる、という防衛策を持ち得た人間だけが生き延びてゆけるのです。 わしがいる東京は今日も神様の汚ない息で曇っています。 われわれの非人間的な神の圧倒的だが驕慢な知性でこの街の空も曇っている。 わっしは(あなたの死を知ったので)モニにあうために美容室を探しているのに、この知らない人たちがつくった街では東も西もわからなくて、どうしても見つからなくて泣きたくなる。 どうして、わしはこんなところにいるのだろう、と考えてばかばかしい気持ちになりました。 トンブリッジウエルの径を一緒に歩いた。 わしは、いまでも木洩れ日のなかに立っていたあなたの途方もない美しさをおぼえています。 あなたは人間は信頼するに足る存在だと言ったが、ほんとうなのだろうか。 あなたは人生は過ごすに価する時間だと言ったが、わしにはちゃんとは信じられないのです。 この国には、あなたと同じ「人間はウソをつくから信用できるのだ」という意見の小説家がいて、なにを言っているか誰にもわからなかった虚しい演説のあとで首と胴体が離ればなれになったのを、あなたは知っていましたか? わっしはホテルのテラスに出て、あたりを照らす光のなかで あなたとモニが共通に好きなSeydou Keitaの写真集を見た。 夜のなかで囁き交わすひそやかな「声」を聴いた。 そして、こんな世界はもうたくさんだ、と考えました。 ばかばかしい。 もう、うんざりです。

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ここではないどこかへ

英語ではローナーというな。 わっしはもともとはひとりでいるのが好きなほうである。 モニと結婚したり、友達がふえてきたり、なんだかインチキみたいな会社をもったりするようになったので、いつも誰かと一緒にいるが、そしてそれは楽しいことだが、 ときどきひとりでいることが懐かしくなります。 意識していたわけではないが、隙さえあればダッシュでどっかの国に行っちって、フリップ・フロップって、日本語ではなんちゅうんだ、ゴム草履、かのい、ゴムゾーリひとつでメキシコのプール掃除のにーちゃんに化けていたり、黒いスーツに身を固めてディスコの入り口の両脇に立っているにーちゃんに化けていたり、いろいろな役をやって喜んだりしていたのも、自分が生まれついた社会的自分がつまらん、と思ったからでしょう。 いま書いていて気が付いたが、外国語に対する興味なんて自分で考えても全然ないのに、こうやって外国語を使ったりするのも実は同じ理由によるものなのに違いないっす。 そうやって社会との紐帯が全然ないメキシコならメキシコで遊びほうけて、ねーちゃんたちといままでとは異なる新しい社会的関係をマジメに構築していたりしていたころ、いちばん嫌なのは同国人と会うことであった。 特に王国のひとは嫌であった。 わっしは「けんぞうさん」が賢くも見破ったとおり、ほんとうはアンドロイドなのでスコットランド訛とイングランド語とカンタベリー訛を完璧に話せる。 やる気になれば脳が溶けたような合衆国語、なかんづくヤンキー語も話せます。 ハリウッドのヘッドハンターがわしのような人材を見逃しているのが不思議である。 しかしわしの同国人はいちじるしく意地が悪い人間が揃っているので、さりげなくもともとの言語を相手からひきだすことになれておる。 かすかなアクセントで、一発で見破ってしまう。 見破ることは同国人であることだけではないのです。 きみとぼくは一緒にサラミスの海戦で戦ったのに、なぜきみはこんなところにいるのか。 きみはきみのアゴラに帰らなければダメではないか、っちゅうようなことをヘーキでいう。 そーですか。 つまらんのう。 わっしは、自分の知っているところではないどこかに行きたかったのにビッグ・ディッパーは、どんなに遠いところへでも連れて行ってくれるのに、気が付いてみると、あれほどの興奮のあと、いつでも出発点に戻ってきているのはいったいなぜだ。 人間の人生なんてくだらねえー。入場料返せ、と思う。 人間以外の言葉を話せるようになればどうか。 アルマクの第五惑星人の言語の教科書はなぜこの惑星では売っていないのか。 神様の語彙を人間にちょっとも分けて寄越さなかったのは神様の吝嗇ではないのか。 おかげで、わっしには判らないことが多すぎる。 ちぇっ、全然わからんと思いながら、 部屋にはいってきたモニさんのほうを、振り返ると、モニさんは賢いので一瞥しただけでわっしが何を考えているか判る。 滑るように歩いてくると、立ったまま、椅子に座っているわしの顔を自分の身体にむぎゅっと押しつけます。 ガメ、考えてばかりいないで泳いでくれば。それでもダメならお堀のまわりを走ってくればよい、という(^^;) 三人寄ればモニの知恵、と日本の諺でもいう。 吾妻ながらなんという叡知の深さでしょう。 どおりゃ鉛の臭いのする道をぐるっと走ってくるかの。 それがすんだらモニといつか行ったビルの地下のとんかつ屋に行ってみよう。 おっちゃん、また「おれの人生って、鍋の油のなかに沈んじった。いや、もうとんかつは見るのもいやだぜ」なんちって、うんざりしたような顔をしながらすっげえうまいとんかつを揚げてくれるに違いない。

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コメントへのご返信その2

>Freikugel(通りすがりだった人)さん、 やっぱり「通りすがり」よりも名前があったほうがずっとカッコイイすな。 日本人はもっと誇りを持つべき、と聞くと「はあ、そうですか」と思いますが、よく考えてみると実体のない発言なんじゃないでしょうか。 「誇りをもつ」って、なんのこっちゃ。 たとえば日本で向こう1000年くらいは絶対に役に立たない研究をしているひとたちは、小柴先生のような「ク○の役にも立たない研究」によってノーベル賞をとれる国になった、ということについて、日本人としての大きな「誇り」をもっているでしょう。 ああいうのは社会が学問というものを理解していないと研究に手をつけることさえできない。 科学と社会の関わりというものをちょっとでも理解していれば、実際、日本のひとが「日本人として」誇りをもってよいことだとわっしは思います。 ライトウエイトスポーツカーに詳しいひとは、ユーノスロードスターをマツダがつくりえたことに「日本人としての誇り」をもっていると思います。 連合王国ではMX5、とゆいますが、MX5が出たときには、みなが驚愕したそうです。 日本のようにクルマの歴史が浅い社会にMX5みたいな滅茶苦茶シブイくるまがつくれるとは誰も思っていなかったので、腰が抜けるほど驚いた。 あの値段で、あんなことをやるとは思わなかった。 わっしが日本人ならMX5を世の中に送り出したことも「誇り」に思うでしょう。 つまり、「誇り」って、ブリキを拾って身につけるように簡単にホイと勲章にするわけにはいかないんですよね。 逆に誇りなんかもとうと思わなくたって自分の生活をマジメにやっておれば、「誇り」はいつのまにかそのひとの物腰や態度にあらあわれてくる、という体のものです。 わっしは、横浜で肉体労働者風のおっちゃんが、多分息子さんでしょう、小学生くらいの子供に、あの橋は、おれが若いときにつくった橋なんだぞ、と、おっちゃんひとりでつくったようなことをゆって威張っているのを見かけたことありましたが、その誇らしそうな顔はほんとうに「ベイブリッジをつくったひと」の顔であった。 「誇り」というものは、そう言う具合のものです。 田母神というひとは長い職業軍人生活のなかでつくってきたかもしれない彼の誇りを、 ケーハクな発言を公の場で繰り返すことで、自分の履いた土足で踏みにじってしまった。 もちっと、「軍人」という職業に誇りをもてばよかったのに、とわっしは思います。 >退職なされた将軍クラスの知り合いもいます。 退職した自衛官は、もっと発言したほうがいいと思います。 「国民に嫌われる軍隊」というのは「仮想敵国」なんかよりも、ずっと国にとって危険だと思いますが、日本のひとって、そーゆーことに著しく鈍感ですね。 わっしの観察ではもうだいぶん国民と軍隊のあいだに亀裂が出来ていて、いざ公認されたときにはまた文民を「地方人」と呼び出すのではないかとおもっています。 日本という国は役人が発明したひとりよがりのインチキロジックがたくさんある国だと思いますが、そういう浅知恵で誤魔化した制度、というのは、必ずあとで巨大なしっぺがえしになって国民のほうにもどってくる。 わっしが「自衛隊」の将軍なら、「いまにみておれ」と思うでしょう。 機会があれば軍部が圧倒的に強い政府をうみだしてみせる、と考えるでしょうね。 >日本では性犯罪が年々減っているそうです。 調べてみます。 >高校生とHした大学生が捕まったというニュースがあったと思います。あれは性犯罪に入るのでしょうか たいていの国では16歳未満の女の子と性交渉をもった場合は、相思相愛だろうがなんだろうが誘拐罪+強姦罪に問われると思います。 わっしが(日本の制度で言う)高校生のときの記憶で言うと大学生というのは「薄汚い豚オトナ」で、高校生の女の子に手を出すなんて、脂ぎった豚、という印象でした。 いやだった。 いまなら大学一年生と高校最終学年の女の子のカップル、ちゅうのは許容範囲でねーの、と思うかもしれませんが、でも、やっぱり見ていて気持ちのいいもんではねっすな。 >もしガメさんが日本で育っていたら捕まっていたかもしれませんね いえ、そーゆーわけなので、わしらが嵐のなかにいたときは高校生同士限定ですのい。 大学にはいったあとはオベンキョーのほうに関心が移ってしまったので、そっちは「あんなガキのやることはしらんわい」と思ってました。 >性犯罪が年々減っているそうです。 強姦、みたいなのは本質的に暴力犯罪であって性犯罪とはほんとうは動機が違うんです。 言い方が下品だが「やりたくてやりたくてやりたくて、強姦しちゃいました」なんてのは基本的には20代前半くらいまでしか起こらない。 それこそ(粗暴な人間なりの)「誇りをもつ」ための暴力なんだと思う。 … Continue reading

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