Daily Archives: September 19, 2009

世界最悪のオルガン

「偉大な指導者」であった毛沢東は極めて魅力のある人格をもち即妙な冗談と悠揚迫らぬ機知で生きているあいだじゅう西側指導者を圧倒しました。 「自由は鉄砲から生まれる」なんちゅうのは、わっしもなかなか名作であると思う。 一方では残虐なやりかたの公開処刑を好んで、それを娯楽にした。 晩年には若い娘たちを同時に複数寝床にはべらせて性交に没頭した。 ありとあらゆる性戯を試みさせ、若い男にも性的奉仕をさせていた。 性交依存症であった。 毛沢東の指導の下に様々な理由で命を落とした中国人の数は3400万人を数えます。 松岡洋右はスターリンの誠実な人間的深みとロシア人らしいあけすけな親しみと最後の日の破格な抱擁とで、すっかりソビエト連邦ファンになって日本に帰ってきた。 ウインストン・チャーチルは、「盟友」フランクリン・ルーズベルトがスターリンの人格に魅せられてしまって、自分のような老いぼれはもうどうでもいいようだ、とゆって嘆いている。なんだか好きな同級生にふられた女子高校生の日記を読んでいるようで、笑ってしまいます。 このスターリンがほとんど理由にもならぬ理由で1000万人を越えるロシア人を虐殺したことを知らないひとはいないでしょう。 ニキータ・フルシチョフが合衆国にやってきたとき、スターリンの批判者でありながらスターリンの生前には政治委員として活躍していたフルシチョフが「なぜ、あなたはスターリンに反対しなかったのか」と問われて、激怒したのは有名である。 「誰が、いまの質問をした。いま、質問をした記者はどこの新聞記者で、なんという名前か教えろ」とすさまじい剣幕で怒鳴った。 KGBによる闇の報復を直感したアメリカ人記者たちが青ざめふるえあがって沈黙したのを見届けると、 「いまの諸君たちと同じだったのさ」とゆって、ニヤリと笑ったという。 スターリンというひとはフルシチョフたちをすら沈黙させる、人間を越えた恐怖を与える恐ろしい一面をもっていたのです。 ヒトラーへまで、例をひろげてもよいが、もうこのふたりのおっさんだけで、うんざりだすな。 わっしは毛沢東とスターリンの伝記を読んでいて、「これはきっと、あるな」と考えて医学図書館に出かけてみたことがあります。 やっぱり、あった。 毛沢東についてもスターリンについても、「境界性人格障害」の症例として採り上げてある本があるのです。 ここで「境界性人格障害」というものを説明すると、説明する本人がキーボードにうっぷしって画面に無限のwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww列をタイプしながら眠ってしまうのが見えているので、そーゆーことに興味があるひとは自分で調べるのにまかせるとして、このビョーキは遺伝的な理由が大きい、っちゅうか、ほぼセロトニンがらみの遺伝子上の理由によるのがわかっている。 本人にはどーしよーもないビョーキなんです。 セロトニントランスポーターのタンデムリピートがうんちゃらかんちゃら、とゆーよーな議論も飛ばしてしまおう。 ついでに、ブログで書こうと思っていたことも飛ばして、一気におやすみなさいまで飛んでも良いが、そーゆーことをすると二度とここに来るお友達たちに口を利いてもらえなくなるので、もうちょっとだけ眠いのを我慢して書くと、 こーゆー、たとえば19番染色体、とかの研究がどんどん進んでいったばあい、人間がこれまで考えてきた倫理とか哲学とか宗教とかには、いったい、どういう意味が残るだろうか? だって複対立だかなんだかわからないが、染色体上にオルガンの鍵盤のように並んだ遺伝子によって行動が決定され環境要素などは影響力が従来考えられていたよりもずっと小さいのだとすると、極端なことをいうと「善と悪」に区別なんかあるのか、ということになってしまいます。 もうひとつ、共にそれまでのその国の歴史を破壊して、「ゼロ状態」をつくりだした「強力な指導性」をもった指導者、というものが、人間社会の都合ではなく、いわば神のオルガン演奏によって行われたことになる。 異常遺伝子の正常遺伝子に対する大規模なスウィープであったとみなせそうです。 それにはいままでの社会への論理では「意味づけ」が困難なよーだ。 神の人間に対する悪意のあらわれ、とみなすひともいそーである。 実は、こーゆー遺伝性の精神障害に限らず、いまどんどん進められている遺伝子の研究を眺めていると、人間のイメージする倫理や宗教などは、てんから受け付けないような事実が次々に出て来てしまっている。 もっと細部に眼をやっても論理的には、いまの裁判のように「心神耗弱であれば責任能力がないと見なされる」のであれば複対立でない遺伝子が原因とわかっている場合には殺人者に極刑あるいはもっとも重い刑罰を宣告ができないことになりますが、それで法が、ひいては社会が成り立つものなのだろーか。 シェフの友達が送ってくれた紅茶ケーキを、モニが眠っているのをよいことにあらかた食べ尽くした指のクリームでべたべたになった「17番染色体」の遺伝子地図を眺めながら、わっしは、ひたすら悩むのであります。

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