夕暮れの交差点で

リミュエラのインド料理屋に行った。

ブリヤニがうまい店なのね。

モニとふたりでワインを飲みながら、ぼんやり料理が出来るのを待ちました。

交差点に70代くらいの老夫婦が立っている。

わっしは、そのふたりの姿を見て、自分が故国に帰ってきているのだなあーと思った。

丁度おなじくらいの背丈のその夫婦は、ただ信号を待っていただけですが、固く手を握りあっているのです。

照れくさいのだろうか、日本のひとは、こーゆーことはせんものな。

なんだか、かわゆいようでもある。

でももっと(圧倒的に)切ない感じがします。

手に手をとりあって、というが、このふたりは文字通り手に手をとりあって、この残酷な世界を生きぬいてきたのに違いない。

いま、年をとって、もう少しだけ、この世界を一緒に愉しもうとしているのでしょう。

信号が変わって、緑になった。

ニュージーランドの信号は歩行者には短かすぎるので、老夫婦は無理な調子の早足で道路を渡ります。渡り終えて息をはずませながら、ダンちゃんジジのほうがなんだか冗談をゆっておる。バーチャンは空をみあげるようにして呵々と大笑しておったが、急にダンちゃんジジの頬を両手で押さえてキスをした。

たったそれだけのことだったが、

わっしはすっかり「人の一生」というものの何事かに打ちのめされてしまった。

モニの「ガメ、一緒にいような」という声がする。

振り返るとモニも老夫婦に気が付いたもののよーでした。

うん、とゆおうと思ったが言うと泣き出しそうなので、夕陽がいちめんに広がって赤く染める夕方の交差点に目をあわててもどしました。

老夫婦の姿は、もちろん、もうそこにはありません。

えっ、たたそれだけかね? ときみは言うかもしれぬ。

そう、ただ、それだけのことなんだけどね。

それにこんなこと、書いてもしかたがない。

仕方がないのはわかっているが、

なんだか書いておかなければいけないような気がしてきたので、書いておきます。

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