日曜日

日曜の朝には朝市に行く。駐車場や学校の校庭、公園、というようなところに近くの農家や店や素人も集まっていろいろな店が立つ。
先週は郊外のおっちゃんがつくった手作りのラベンダーの石鹸を買った。石鹸はたくさんあるが、あまりに匂いがよかったので、また買いました。
フランス人のにーちゃんが作って売っているベーコンとハムもうまい。

ノースショアのマーケットは規模も大きくて他のマーケットより商売気の多いひとが多いようだが、それでも、普通の店で買い物をするよりはずっと楽しいので、ここにもときどき出かけます。ジャムやパンを買う。蜂蜜を買う。
それから店の横の暗い軒下を通ってゆくと急にぱっと視界が開けて楡の美しい大木が立っているコーヒー屋で朝食を食べる。裏庭は店よりも少し高くなっていて、調理場の高窓が庭の地面と同じ高さになっている。
注文を変えたりするときは庭の端まで歩いていって、「さっきのベルジアンワッフル、ショルダーベーコンもつけてけろ」とか言いにいきます。
そうすると、おっちゃんがフライパンを動かしながら「あいよおー」とゆってベーコンがつく。忙しいときにこれをやると、おっちゃんが混乱するので、客はみなマジメに小路をまわって店の表へ行ってウエイトレスのねーちゃんたちに注文するのね。

こういうところのウエイトレスねーちゃんたちは17歳やなんかのひとが多い。
アイアリッシュダンスのダンサーで次の大会がカナダなので航空運賃を貯めてるんです、とか、第二外国語に日本語をとっているから今度の夏休みに東京に行く、とかそーゆーひとびとが多い。高校生ですのい。

モニとわっしは、庭にまわって木の下のテーブルをとると、フラットホワイトとフレンチトースト(フライドバナナとベーコンが付いていて上からメープルシロップがかけてあるな)っちゅうような朝食を摂ります。わしは食い意地が張っているので、それにポーチドエッグX2と、はなはだしきはステーキをつけてもらって朝食とする。
うめっす。

そーゆえば、「フラットホワイト」とは、アメリカ人は言わない。ダラスからニューヨークへ行く飛行機のなかで、アジア系アメリカ人乗務員のおばちゃんに、つい「フラットホワイトにしてください」とゆったら、のけぞられた。
あっ、そーか、と気が付いて、「わしらはミルク入りコーヒーの事を、そうゆうねんで」とゆったら「あー、よかった。なんか人種的なジョーダンを言われたのかと思いました」
と言った。くわばらくわばら。

フラットホワイト、は、では普通に牛乳がはいったコーヒーかというと、そーではないのです。スチーマでじゅわあああと泡を立てたミルクをコーヒーと混ぜてつくる。と、ここまで書くと、「カフェ・ラテと、どこが違うねん」と思う人がいるに違いない。

その違いは、ですね、わしもわかりひん。

いっぺん、コーヒー屋のおっちゃんに訊いてみたことがあるが、カフェラテとカプチーノとフラットホワイトが同じ3ドル50セントで載っているメニューをじぃーと眺めて、長考1分、
「わからん」と言うので笑ってしまった。考えてみると、バルセロナやなんかの
カフェ・コン・レチェとも似ている、っちゅうか、同じだすな。

コーヒー屋さんの裏庭でふたりで新聞を広げたりしながらのんびりしていると、ブランチを食べる人が多いこの店に近所の子供連れの夫婦やなんかが三々五々集まってきます。
空気がだんだん和やかで賑やかなものに変わってゆく。
ガキンチョ椅子に腰掛けた子供が緊張した顔で、必死に静かにして心の中のコーフンと戦っておる。
モニがなんだかニコニコして、それを眺めてます。
子供と目があうと手をふったりしておる。

わっしはすっかり平和な気持ちになって、頭のうえに大きな枝を広げてたっている木の向こうに広がる青空を見ながら、
「日曜日はいいなあ」と、あんまり意味のないことをつぶやいてみたりするのです。

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7 Responses to 日曜日

  1. じゅん爺 says:

    ジョニー・デップ現る!の噂広がり野次馬が次々集まって将棋倒し。
    ツイッターの威力恐るべし、と言うよりも爺にはなんか生々しすぎてさ。
    だってガメさんの読んでたら、
    「これからモニとわしは「小さな死」を死ぬのでなければならぬ。 」
    ジョルジュ・バタイユもびっくりな事書いてあるんだもん。
    アーはずかしー、ってオレが赤面することないよなぁ(笑)
    ツマが起きてきた。コーヒー淹れようっと。

    • じゅん爺さん、

      あっ、じゅん爺だ。すげえ。
      もう会えないかと思っていたから嬉しいだよ。

      >ジョルジュ・バタイユもびっくりな事書いてあるんだもん。

      ばれると思わんやん。日本人の頭のなかはどうなっておるのか知りてえだ。
      なんでそんなこと知っているの?

  2. じゅん爺 says:

    第2外国語はフランス語だったので(未修得)、周囲に「墓場でイッパツ!」とか叫んでる変なやつがいたりしたからな。耳年増になってしもた。

  3. じゅん爺、

    >墓場でイッパツ!

    せんせー、「イッパツ!」の意味がわかりません。(ウソ)

    わしのKという友人は青山墓地で女の子と「イッパツ」をしていたら触れてもいないのに墓石が倒れてきてびびった、とゆってました。

  4. kochasaeng says:

     コーヒーのこと。いや、コーヒー農園のことを書くよ。
     コーヒーの木と仲がいいのは赤蟻で、そうだな、体長は5mmくらいかな。大きいの。この頑強なアゴに咬まれると、すっげー痛くて、そして腫れます。腫れることをタイ語で「ブワム」っていうんだけど、ほんとにブワムってかんじなんだ。
     チェンマイあたりじゃ、この赤蟻の卵をスープにしたものがご馳走なんだけど、好き嫌いがないと褒められるおれも、虫だけはグロくて敬遠しちゃうから、美味しいかどうかは知りません。
     コーヒーの木に囲まれると良い気持ちになって眠くなるんだけど、そんなところでお昼寝しちゃうと、あちこちアリに咬まれてエライことになっちゃうんだ。
     でも、タバコの葉の農家やコーヒー農園にいると長生きできない、って話はウソですね。みんな元気だもん。

     コーヒー農園っていうと力仕事の男たち! ってイメージですね。日焼けして、歯の白さばかり目立つおじさんがドンゴロスと呼ばれる麻袋を担いでそうでしょ。ま、じっさいそうなんだけど。
     でも、そんなむさ苦しい男たちよりも、若い女の子が、わんさかいるんです。
     彼女たちは、収穫されたコーヒー豆を囲むように円陣を組んで、掌をかざしながら「美味しくなってください」というアラビア語の呪文、「レソ・ヨカトンホ」と呟いているのです、というのは嘘で、円陣を組むのが嘘。美味しくなってね、なんて呪文を唱えているのも嘘。「レソ・ヨカトンホ」は逆さから読むと、「ほんとかよ、それ」じゃないの。
     若い女の子がワンサカは半分本当。おれから見れば若い女の子のオバサンがたくさんいるんだ。
     で、この女のひとたちは何をやっているのかというと、生豆(きまめ)の選別です。ギョーカイ用語で「ハンドピック」。ただの英語じゃねえか。
     選別するのは
     1.異物。石ころとか虫の死骸やゴミを取り除きます。昔はこれがいいかげんで、混入していた石に、ミルの歯をダメにされたことがあります。
     2.不良豆。グレてる豆だね。虫食いとか未熟の豆を一緒に焙煎したのを抽出すると、味が落ちてしまうので。
     そんなわけで、コーヒー農園ではハンドピックの女性たちが楽しそうにおしゃべりしながら、豆を選別しております。
     出荷する生豆のうち、不良豆率が1%くらいなら、まあオーケーかな。いい加減な農園だと、この率が跳ね上がる。
     
     そんな中、ときどきハンドピックさんたちの内から、「神の子」と呼ばれる女の子が出現することがある。出現しない農園も多いです。でもなぜか、ひとつの農園にひとりまで。よその農園から神の子をスカウトして連れてきても、どちらかが普通の子になっちゃうんだ。
     神の子は、選別した生豆の中から、とくべつに旨い豆を選び出すことができるんだよ。これはウソじゃない。本当の話。
     なんで? どうしたらわかるの? と訊いても「なんか、わかんないけど、わかるんです」と言う。鼻で感じるんだって。
     そうは言っても、晩年の棟方志功さんみたいに手元に鼻先をくっつけて作業するわけじゃない。他のハンドピックさんと同じ姿勢で、ひょい、ひょい、と指先でプレミアム豆を選び出す。
     不思議なのは、神の子は若い処女限定なんです。で、決まって美人。
     おれが関係していたコーヒー農園の神の子も、美人さんでしたね。
     この子が、ある日とつぜん、「あ。この豆おいしいですよ」と言い出した。わかっちゃったんですね。
     正直なハナシ、タイのコーヒーは美味しくない。どっちかっていうとダメ。いちおうコーヒーベルト地帯に入っていますが、たいしたことない。だからアラビカ種はめったに作らず、ロブスター種(インスタントコーヒーや缶コーヒーの原料)を主力にしてる農園ばっかりだ。
     それなのに、おいしいです、って言い切っちゃってる。ほんとかよ。そう思いながら、この子の選んだ豆を焙煎してみると、これが旨い。タイのコーヒーと思えないくらい旨いんだ。一時は日本でも「イエローマウンテン」なんてテキトーな名前をつけて売り出したのね。ブローシャーの表紙は、この子がコーヒー豆を持って微笑んでる写真。美人だったね。コーヒーは、たいして売れなかったけど。

     でも、神の子でいられるのは、この子が処女のあいだだけなんだ。農園のひとたちは「悪い男に引っかからないようにね」なんて大事にするから、とつじょ箱入り娘。
     だけど、幽閉しておくわけにもいかない。「オトコができたら、教えてね」くらいしか言えないよ。コーヒーってのは、愛を邪魔するほどの大層なもんじゃないです。たんなる豆だ。
     神の子は、そんなことなんか気にもせず。毎日けなげに、でも楽しそうに生豆を選別するのでした。
     そうして幾星月。神の子がマネージャーのところに来て誇らしげに「好きな人ができました。ええと、タムレオ・カー(やっちゃいました)」だって。
     えー…。ためしに生豆を選別させてみた。
    「うーん。わかんないな。ぜんぜんわかんなくなっちゃった」
     はい。終了。
     でも、だれも残念がるひとはいなかったの。だってその子はシアワセそうだったから。ま、いいか。うん、いいよね。
     コーヒーには神様がいて、ときどき神の子を選ぶんだ、って農園のひとたちは言うんだね。でも、オトコができると神様は嫉妬するのか、特殊な嗅覚を奪ってしまう。
     神の子だった女の子は、今では美人のお母さんになって、普通に暮らしているんだそうで。

     オチもなければ、教訓も何もないハナシでした。

    • twitterに書いたけどこれは kochasaengコメント文学なので特に返信なし。わしタイでコーヒーつくってるの知りませんでした。「タムレオ・カー」って、可笑しいね。そういうことが「自然なことだ」という気持ちが文化になってつまっていてすがすがしい。タイランド、やっぱりいいなあ。

      • kochasaeng says:

         うん。ランパン県とかプレー県とか、タイの北のほうでコーヒーを栽培してます。
         コーヒーベルト地帯でも、一日の寒暖の差があって過酷にイジメられないと、コーヒーってのは旨くならない。だから山のほとんどないタイは、コーヒー栽培には、ほんらい向いてないんだけどね。
         もともとは黄金三角地帯なんかの芥子栽培をやめさせる王室プロジェクトで、日本のJICAなんかも、ずいぶん協力したんだよ。

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