オークランド

エーボンデール(Avondale)の日曜市場に行った。
日曜になれば、あちこちに立つ市場のなかでもエーボンデールは特徴がある。
他の市場はぶらぶら歩いてひやかすひとが多いが、エーボンデールは来るひとがみな買い物に来ます。

なんでもある。中国人たちは自家製の豆腐をつくって売っている。アフリカ人たちはアフリカ料理に使うクスクスや豆を売る。中東人たちは菓子、あらゆる国のひとたちが銘々自分たちの国の人間が食べる果物や野菜を売る。みな故郷の食べ物を食べたい一心でやってくるようなところもあります。

もうひとつの特徴はコーカシアン(白人)がほとんどいないことで、何千人という大群衆のなかでモニとわしが見たコーカシアンはブドウを売っているおっちゃんだけで、あとはクルマに乗ったまま群衆のなかに分け入って市場を突っ切るという無茶なことをしているおばちゃんがひとり。
お客の方は、モニとわし以外コーカシアンはゼロ、です。
理由はわからん。

コーカシアンはいないが、それ以外の人間は全部見られる、と言いたくなるくらいいろいろな文化圏のひとがいます。
インドのひとと中東のひとがいちばん多い、と思う。
ブルカのおばちゃんが、頭のベールと下のマスクの部分がくっついて前が見えなくなって焦ったりしているのを見ていると、へえー、そういうところが不便なのね、とわかったりして歩いているひとを見ているだけで楽しい。

アフリカ人の若いカップルの男のほうが古道具屋で買った電気掃除機のホーズのくびをつかんでずるずるひきづって道を歩いて行く。少し離れた後ろから、カップルの細い背の高い女のほうがなんだか半分跳びはねるように歩きながら何事かからかいの言葉をかけて笑っておる。

「楽しそうだなあ、あのふたり」とモニがふたりを見やりながら言う。
「ステートハウスに入っていったのい。難民のひとだな、あれは」
モニさん、「いいなあ」といいます。
「なにが?」
「だって、未来にいいことがいっぱいある、って信じてる顔だぞ、あれは」
そういわれてみれば、人間があんなに明るい顔をしているのを見たのはひさしぶりなような気がする。

ブルカのおばちゃんたちが、韓国人の夫婦が家電を売っている屋台で品定めをしておる。
みんな英語で話している。
韓国なまりや中国のなまり、ポリネシア、アラビア、いろいろな国の発音とアクセントで、みなが真剣にやりとりしています。
なんだか、みなが全身から「わたしは幸せになりたい」と訴えかけてくるみたいだ、とゆったら、モニにガメは思い入れが過ぎるよーだ、とゆって笑われてしまった。

帰りにはHalal(ムスリムの法に定められた手順で準備された、っちゅう意味です。肉やなんかは屠殺の手順から全部定められている)の肉屋に寄って鶏肉を買った。鶏肉はHalalの店のほうが断然おいしいし、豚肉は中国人たちの店がおいしい。アラビア人たちの菓子屋やインド人たちのスパイス屋、出かける手間を惜しまなければなんでも新鮮な食べ物が手に入ります。

オークランドは英語ではAucklandと書く。カリフォルニアのOaklandもオークランドでカタカナで書くと同じになってしまいますが英語では発音が全然違う。
最新の統計では人口が140万人。2027年には200万人を越える。
いや、そんな見積もりは甘い、2025年には200万人を越えるだろう、というひともいます。わしが子供の頃は100万人、とゆっていたが、多分、100万人以下だったでしょう。いままでは7つのカウンシルがてんでんばらばらに勝手に行政をやっていたのが今度は「スーパーシティ」っちゅうんで、今年の10月からだかにひとうの行政体をつくることになった。
人口の半分超がコーカシアンで、残りはアジア人とマオリ・ポリネシア人で世界で最もポリネシア系人の人口が多い都市です。

わしはもともとクライストチャーチが好きで、いまでもそこのフェンダルトンというところに家がありますが、モニの希望でオークランドに住むことになった。
結婚する前からパーネル(Parnell)というところに家はあった。
でも、これもまたモニの希望でラミュエラ(Remuera)という所に新しく家を買って越した。

ラミュエラからニューマーケットというオークランドでいちばん大きい繁華街まで歩いてゆけます。バーやレストランはパーネルのほうが良いところが多いが、モニはあんまりそういう場所の近くに住みたがらないので結局パーネルから越すことになった。
ラミュエラはオークランドの真ん中みたいなところに広大な住宅地が広がっている、というヘンなところで、袋小路がやたらに多い、静かな町です。
住んでみると、たいへん住みやすいところで、パーネルから越してきてよかった。
いつものことだがモニのほうがたいぶんわしより賢いようだ、と考えました。
僅かにベーカリーとワイン屋がパーネルのほうが良かったなあ、と思うくらいです。
他はラミュエラのほうが何事によらず住む場所として快適である。
インド料理もピザも中華料理も、チェーンではない、すげーおいしい店の出前があります。当然、テークアウェイズ(Takeaways)はもっと、山ほどある。
わしは労せずしてうまいものを食べるのがすきなので、オークランドも結構よいではないか、と思っているところです。

日本のひとはクライストチャーチのほうが好きなようです。
新聞に観光客の感想として、そう出ておった。
わっしが知っている日本のひともオークランドはアジア人ばっかりでシンガポールみたいだ、と言う。クライストチャーチのほうが白人が多くて落ち着いてるよね。
ポリネシアのひとが多くて犯罪が多そうだ、と言う。
ええ。オークランドは犯罪が多いんです、脇道に近いところを歩いていると、引きずり込まれて男も女も区別なく強姦されるから気をつけてください、とゆったら、そのひとは真に受けて旅行のあいだじゅう道のなるべくまんなかを歩いていたそうだ。
機嫌が悪かったので嘘を教えただけだが悪いことをゆってしまった。
クルマにひかれなくて良かった、と考えました。

クライストチャーチの町としての魅力は町が荒っぽいけど素朴な農場主たちの町であることです。ニュージーランド人は、よくふざけて南島をWild Southという。
議論なんかするよか殴った方がはやいわい、という奴がいっぱいおる。
従って週末などは夜になるとあちこちで乱闘がある。
わっしの好みに根底からあっている町です。

オークランドは、いまの世界でいちばんマルチカルチュラルであることに魅力がある。
アフリカ人とコーカシアン、アジア人とアフリカ人、中国人とモロッコ人、ポリネシア人と韓国人、人種も国籍も言語も異なる組み合わせのカップルがふつーに、いっぱいいます。誰も気にしておらん。

日本の友達は、あーゆーことをやっているとコーカシアンが少数派になって心配ではないか、とよく言いますが、わしは、少数派になるとなぜ心配なのかわからん。
わしは個人的には人口の8割とかが東アジア人になっても別にいーじゃん、と思ってます。ちょっと考えてみても、不都合なことは考えつかない。
中華料理と韓国料理および日本料理の質が向上するくらいのことであって、他に変化があるとも思えない。簡単にゆって、くだらない心配としか思えません。

日本のように徹頭徹尾外国人排斥の考えがしみついた国柄なら別だがニュージーランドはもともと移民の国なんだから、あほなことをゆわないよーに、と思う。

他の街からオークランドにもどってきてすぐに気がつくのは人間がどのひともやたらとエネルギーに満ちていることで、おまけに熱血漫画の登場人物たちのように瞳がきらきら輝いておる。
左門豊作や星飛雄馬がごろごろしてます(ちょっと古いか。わからないひとはオトーサンに訊くよーに)。男女平等に関わる理由により明子はいないが。

みなそれぞれに居心地が良かった自分の国を思い切って飛び出してきたひとたちばかりなので積極的でマジメだと感じる。
先月、大臣のひとりがワインを二本公費用のクレジットカードで買ったのがばれてクビになったが、そのときの国民の怒りようはすさまじいものでした。
記者会見を開いて泣いてわびたが、誰も許さなかった。

自分たちが文字通り人生を賭けてやってきた国で腐敗を許してなるものか、という懸命な気持ちがはっきり感じとれる事件でした。他の国よりも良い国でなければ、なぜあれほど好きだった自分の国を捨ててやってきたか意味がなくなる、とテレビのインタビューでゆっておるひとがおった。

テレビの画面を見ながら、若い国は、やっぱりいいなあ、とモニがつぶやいたのは言うまでもありません。

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2 Responses to オークランド

  1. モニさんは古い国から来たのか。

    英国やガメさんみたいにNZの田舎の人は知らないが、確かにAucklandはアックランドと発音し、Oaklandはオックランドと発音するなほとんどのアメリカ人は。だから、絶対聞き違いしない。

    >わしは、少数派になるとなぜ心配なのかわからん。

    私も生涯どこでも少数派だったが、心配などせん。

  2. >モニさんは古い国から来たのか。

    でもマンハッタンが好きやねんて。オバマCEOの経営がひどいことになりそうなのでおもろそうだから、わしもいくべかなあ、とときどき思います。役員会の大立て者クリンきんトンに負けたんだな、あれは。
    株主どもはきれてきたので扶養従業員(国民)におっかぶせることになるであろう。どーなるか間近で見たいっす。

    >Aucklandはアックランド

    あれは発音の問題でなくて読み方間違えてはんねん。
    Melbourneとかでもメルボーンっち言うもんなあ、アメリカのひと。
    あれはメルビンでっせ。メルビン。

    >私も生涯どこでも少数派だったが、心配などせん。

    ぬわーに、かっこつけちゃって、とゆいたいが件の翻訳を読んでからうまくマルクスヒロシの悪口が書けん。くやしい。

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