衣食住 その2(住)

日本の住宅が世界的にチョー有名なくらい貧弱な理由は「中古住宅」 という呼び方に、もうその理由が現れている。なにしろセコンドハンドハウスっち、マジで英語で言うひともいますが、それ英語ちゃいます。
そーゆーと、「えええええー!いまぐるぐるセンセイで検索したけど英語サイトでもいっぱいセコンドハンドハウスって出てくるよおおおお。あんたほんとは英語ネイティブじゃないんじゃないのおおお。ニセガイジン!!!」 というひとが、?な方角から現れるであろーが、英語でないもんは英語ではないんじゃ、ボケ。それ以上がたがたぬかすと新明解国語辞典をケツの穴からつっこんで奥歯がたがたゆわしちゃるぞ、ということでひとつどうかよろしく。

家というものは、「古く」 なったりはしないものである、ということが、どうも日本の人々にはわかっておらないよーだ。
わしの裏祖国には「築千年」 という人魚の肉を食べてもまだおいつかない年数を生き延びた豪のものも数多いるがNZみたいにわっかあああーい国でも築百年なら割とふつーにあります。
わしが幼少のみぎりに夏を過ごした牧場の家は築95年でごわした。
松の木で出来ていて、家の前に80センチ列車砲榴弾が落下して爆発しても聞こえないくらい静かであった。クソ壁が分厚いからです。
住んでいるときは気が付かなかったが、いま改めてかーちゃんが開いた居間のドアの 脇に立ってにっこり笑っている写真を見ると、ドアの高さがかーちゃんの背丈の3倍よりも高い。

二年目の夏に、わしがスピットファイアの模型を手にもって洗濯室方面を「ぶおおおーん」とゆいながら偵察飛行しておったら、床に羽の生えた蟻がたくさん死んでました。 優秀な偵察員であって賢いガキであらせられたガキわしは息を切らせてかーちゃんのところに走っていって報告したものであった。
「かーちゃん、シロアリ。シロアリがおるねんで、この家!」

ふだんは冷静なかーちゃんも一瞬まゆを顰めてから地元の「ペスト」 屋さんにシロアリ駆除をお願いしたのであった。
ところが。ところおおおーが。

ペストおやじはやってきて、こうゆった。
「このぐらいのシロアリなら退治するまでもねーでしょう」

赤ら顔のいかにもアル中なペストおやじがいうには、こんくらいのシロアリなら、まだ「もうちょっとくらい」 この家はもちまさあ。
わしは、なにをいい加減なことを抜かしやがるこのアルコール脳障害おやじめと思ったので、「もうちょっと」って、どのくらいでしょうか?と訊いた。
そしたらアル中ペストおやじはニカッと笑って、「そうさねえ、二百年くらいでしょうかのお」 とゆったのだった。

閑話休題。

古い住宅のなかでもぬきんでて古い住宅は、やけくそみたいに頑丈につくってあるので、もともとの建物の周りに「エクステンション」 をつくって建物の床面積を広げながら何百年も使う。わしが「南半球わし王国支店」と称していた牧場の家も毎年、どばっと広いテラスとか、二階の新しいバスルーム(ジャグジイバス付き)とか第三ガレージとか、いろいろと増築された。
もともと図面もなにもないので、増築しているうちにニュージーランドでは珍しい地下室があることが判明したりして、家族全員の「ガメの座敷牢にこれを使えばいいのではないか」 という暗黙の視線を痛いほど感じたりしたのであった。

なにがゆいたいのか、とゆーとだね。
家とかは、改築し、増築し、床をひっぺがえして石を張ったり、屋根の下に遮熱材をいれたり、壁をぶちぬいて遊び部屋を広くしたり、あるいは壁ごとぐうううんと動かして建物ごと大きくしたり、と住む人が想像力を働かせて「わしの家だし」 にするものだ、ということを言いたいのです。
なら、はやくゆえ、と言ってはいかむ。
言いたいことをゆうだけなら源氏物語もツイッタで書けてしまう。
言語による伝達は論理ベクトルにたよってはならむと色きちがいの哲学者もゆっておる。

「築何年」 とか「中古住宅」とかいう呼び名はそもそも住宅を自動車とかと同じ「消費物」とみなす見地に立っているから生じる呼び名であって、わしは鎌倉でも立派な、カッチョイイ、ハンサム 極まる家が「もう築50年だから」とゆわれて引き倒され、鉄で出来た無残な怪鳥みたいな機械が鋼鉄の嘴で美しかったドアや窓を挟み込んでは引きちぎるのを呆然として見ていたことがあったが、そうしてその後に良くゆって公衆便所のお化けのような下品きわまりない建物が出現したのを見て東急ハンズにでかけて「男|女」 のサインを買ってきちゃろうかとマジメに考えたりもしたが、あーゆーバカチキリンなことは、そもそも家を消費物であると考える誤った思想の産物であると思う。

あの日本人の「家は新しいのがいちばん」 という開拓地の炭鉱夫かホームレスのおっちゃんが夢みそうな「常識」は多分「不動産業界」 と「建設業界」 が結託して民の無知につけこんで広めた「常識」なのに違いない、とわしはにらんでおる。

前にも書いたことがあるがニュージーランド人は国民ひとりあたり11回家を買い換える。日本に来るまで考えたことがなかったが日本で言う「中古住宅市場」が完備されていなかったら、そんなこと出来ねっす。
知り合いの不動産会社社長のおばちゃんに訊いてみたら案の定日本では一回家を買うとほとんど越さないのだそーだ。
そりゃまあ、わしでもそうするかもしれん。
だって8000万円とかで家を押っ立てても、住み始めたその日に価値は3割とかは減ってしまうんだからな。
丁度メルセデスのSクラスを買った成金のおっちゃんが鍵を受け取って得意になって鼻歌を歌いながら初めの角をまわったところで支払った1500万円の半分がどぶに落ちるのと同じである。
ベントレーなら3000万円の7割、2100万円がいきなりドブです。

日本では家もそれにつくづく似ている。

なんでそーなるんだろー、とわしはよく考えるが、ちゃんとした理由はいまでもわかりません。判っているのはみなが11回家を買うニュージーランドでは家を巡るお金がみなのあいだをぐるぐる回るのに比して、日本では新築の家に払ったお金は二度と買い主の懐にもどってくることはなくて、建設業者のおっちゃんや不動産屋さんや、税金や手数料や、そーゆーひとびとの手に渡る、という仕組みに社会が出来ている、という事だけです。

ニュージーランド人にとっては家というのは「15年で値段が2倍になる」ものであってニュージーランド人のホームローンや家計の計画はすべてそれが前提で出来ている。逆に言うと、「15年で値段が2倍」にならない家は「ダメな家」であって、そういう家を買ってしまったひとは自分のマヌケさ加減を天に呪う、ということになります。
実際15年で自分の家の売値が倍にならないというのは大変なことで、15年前に40万ドルで買った家が80万ドルで売れないというと、その夫婦は差額を何で埋め合わせるか頭を悩ませねばならないことになる。

最近は社会が繁栄しすぎて、ニュージーランドでもやや怪しくなってきたが、もともとはニュージーランド人はたとえば大学で一生の伴侶に出会うと、卒業して就職して先ず家を買います。15年ローンで、30万ドルくらいの家を買う。日本と違って給料があがるにつれてどんどんどんどん、どんどんどんどん返していいことになっている(ペナルティがない)ので、3年とかで返してしまう人もいる。
ニュージーランド人の若い衆が無駄遣いをしない(違う言い方ではケチともいう)のは、ビール一杯の金も惜しんで少しでも早くホームローンを返そうとするからです。
だがしかし、日本の夫婦があんまりやらないとゆわれていることをニュージーランドの若夫婦は熱心に行うので子供がぽこぽこ生まれてしまう。
出生率、先進国一位、だからな。おそれいったか。

そうすっと子供というのは犬ころと同じくらい金がかかるものなので、ホームローンをめいっぱい15年かかって返すひともいます。売るときは60万ドル。
ニュージーランドのホームローンは年利6%くらいなので
この若い夫婦が頭金なしでこの家を買った(ニュージーランドでは初めのホームローンは殆どの人に貸してくれます)とすると30万ドル(1800万円)を銀行から借りて毎月1265ドル(76000円)15年間払い続けて3600万円受け取ることになる。
他はなんも余計なことせんでいいからといつも国民にゆわれている政府が最低限求められる役目はインフレを3%以下に抑えることなのでかつての15万ドルは15年後も18万6000ドルの価値はあるが、1800万円ひく77800ドルつまり467万円(銀行に支払った金利)ひく36000ドルつまり216万円いこおる1117万円、で家に関しては初めの売買で1000万円くらいプラスになれば、まあ平均的な家計であるということになります。
大学を卒業したときニュージーランド人はだいたい21歳のはずなので、36歳の夫婦は多分子供が3人いて、家を売って利益となった金を1000万円に貯金がやはり1000万円、それにあらたに銀行から借りた2000万円で今度は四千万円の5ベッドルームハウス、日本で言えば5LDKの床面積200平方メートル敷地が600平方メートルくらいの家を目指すに違いない。

そーゆーとき、ふつーのひとはよっぽど開発計画が魅力的(海辺にどかあーんと立っているとか、逆にCBDのどまんなかに出来たコンドミニアムとか)でない限り新築の家を買ったりしません。
なんでかって?
危ないやん、だって。
新しい、ということはいまだかつて誰も試していない、ということであって、どういう不具合があるかまだ誰にも判らない。
日本でも同じだが、実は壁が薄いかもしれないし、下手をすると10年くらいで雨漏りがするかもしれない。実際、雨漏りのほうはむかし薬剤の使用を建材についてはいっさい禁じたことがあって、トリートメントが出来なかった材木で出来た家はやがて雨漏りを起こすようになって、これがいまに至るまで「リーキーホームシンドローム」とゆって問題になっている。

もういっぱい書いて疲れたので端折るが、ニュージーランドでは都市部では最も人気があるのは「趣味の良いひとが改築した1920年代の家」です。
よい趣味のインテリアで気の利いた中庭がある1920年代のバンガローはだいたい1億円から2億円くらいする。
ポンソンビーやフリーマンズベイやパーネルにある、そういう家のひとつに住むのは、ラミュエラに立ち並ぶ宏壮な邸宅に住むこととと並んでニュージーランド人の夢です。

同じ「高級住宅地」でも一億円内外の新築の家は要するに敷地が高すぎて二つ以上に敷地を分割した結果作られるので、古い堂々たる建築の家に較べると、ちょっと恥ずかしそうに建っているところがあります。
それはそれでかわゆく初々しいとも言えるが。

どちらにしてもニュージーランドの家は滅多なことでは日本の家のように取り壊されたりしないので、なんだか安心して建っておる。
ふっふっふ。わし、家だし。あと百年くらいはここにいるし、とつぶやいているようである。
住宅地を散歩するたびに、そういう安閑としてのんびりしておる家たちに向かって、わしは、「きみたち、恵まれておるのだぞ」 とつぶやいてみるのであります。

This entry was posted in Uncategorized, 日本の社会. Bookmark the permalink.

10 Responses to 衣食住 その2(住)

  1. Suzuki Hitoshi says:

    はじめまして。
    最近こちらのブログを知ったのですが、面白くてほとんど全部読んでしまいました。外国の方の書くものは、いつも身も蓋もなくて面白いです。

    家の話は、本当に、恵まれているというか、羨ましい話ですねぇ。
    でも、例え話のローンの支払額が半分になってませんか?
    どのみち、ニュージーランドのほうが住むのも買うのも気楽そうですが。

    日本でも、ちょっと田舎に行けば改築に改築を重ねた農家とかは結構ありますが、同じ土地にずーっと住み続ける前提だから、やってることは似てても考え方は正反対ですね。なんだか収斂進化みたいですけど、土地にかかる費用が少ないとそうなるんですかね。よくわかりません。

    悪趣味な新築の家の話とかは共感するんですけど、伝統的スタイルというか、お手本がなくなってしまった時代なんで、個人が悪趣味全開で建てちゃうのも、仕方ないのかなと私は思ってます。

    遅くなりましたが、ブログ再開おめでとうございます。

  2. Suzuki Hitoshiさん、

    >でも、例え話のローンの支払額が半分になってませんか?

    あっ、ほんまや。初めは15万ドルの家の話をしようとしていたのに途中から気が変わって30万ドルにしたからだな。このブログはときどき読んでいると数字が変なことがあるが、事実は記憶、計算は暗算だからそーなるのね。
    そのうち気が向いたら直しときます。

    ははは。えーかげんや。

    >家の話は、本当に、恵まれているというか、羨ましい話ですねぇ。

    ところが昔はアメリカ人なんかは絶対信じないくらい安かったのが社会の繁栄と人口のすさまじい増加によって家がくそ高くなってきた。いまは実感としては日本より高いっす。

    でも、「家が価値を失わない」という原則が生きているから買う気がするんですのい。

    >遅くなりましたが、ブログ再開おめでとうございます。

    どうせまた変なひとびとが来て閉鎖になりますから、そのときはひとつどうかよろしく(^^;)

    • Suzuki Hitoshi says:

      ローンの計算の件は、過去いろいろあったらしいので、揚げ足取りと思われないかは心配してましたけど、どちらかと言えば枝葉の部分なんで、確認が取れればどーでもいいです。

      別のところでガメさんも書かれていましたけど、生活に関係ないガラクタばかりが安いという指摘につくづく同感なんで、家でも食べ物でも、価格比較をされると思わず身を乗り出して計算しちゃうんですよ。

      • 大きな声ではゆえないが、わしサンスーのひとなんですのい、もともとは。だが数の間違いは10歳児の百倍多い、とお友達もみなゆいます。五十歩と百歩の区別がないとゆわれておる。直してもらえると考える手間が省けてとても助かります。

        >ローンの計算の件は、過去いろいろあったらしいので、揚げ足取りと思われないかは心配してましたけど

        >家でも食べ物でも、価格比較をされると思わず身を乗り出して計算しちゃうんですよ。

        でわ、もうちょっとマジメに書けばよかった。最近まただんだんとブログをマジメに書きつつあるので真剣に物価を比較する記事を書いてみるべ。

        日本のほうが安いものもたくさんあります。世界一周航空券とか。

  3. Suzuki Hitoshi says:

    世界一周航空券…
    他にもうちょっとマシなもんはないんでしょーか。
    なんだか、凹む話です。

    • Suzuki Hitoshiさん、

      >世界一周航空券… 他にもうちょっとマシなもんはないんでしょーか。なんだか、凹む話です。

      えっ?そうですか? わしは事情があってニュージーランドか連合王国でしか買えないので、くっそおおお、うらやましいいと思っているんすけど。

      じゃあさ、じゃあさ、こーゆーのは、どう?
      昨日のヤフージャパンニュースに出ていたが、これはNZに来た日本の人は昔からみんなが言う。実はニュージーランドは逆に「世界一ティッシュペーパーが高い国」なんです。

      http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/cosmetics/?1278132787

      • Suzuki Hitoshi says:

        うーん、ガメさんには悪いけど、世界一周航空券なんて、一生買わないと思うし。悔しいのはわかります。私ケチですから。(笑)

        トイレットペーパーが安いというのは嬉しいですね。使わないわけにはいかないし。安いと聞いて嬉しい限りです。たぶん今月は、毎朝この話を思い出して快便ですわ。いい話聞いたなー。

      • Suzuki Hitoshi殿

        >使わないわけにはいかないし。安いと聞いて嬉しい限りです。

        そのうえNZではティッシュペーパーまだ昔のデブ箱だし。(枚数同じ)でもポケットティッシュは日本のほうが高い気がする。

  4. じゅん爺 says:

    >「不動産業界」 と「建設業界」 が結託して民の無知につけこんで広めた「常識」なのに違いない<
    違うぞよ。
    「税務署と建設省が結託して、不動産屋と建築屋がそれに便乗」
    したのであーる。

    なんだよ、オレの留守に隋分と更新してたんだなぁ(ブツブツ・・・)

  5. じゅん爺さま、

    >「税務署と建設省が結託して、不動産屋と建築屋がそれに便乗」

    ぬわるほど。

    >オレの留守に隋分と更新してたんだなぁ(ブツブツ・・・)

    ツイッタよっかブログのほうが楽しいのい。
    どっか行ってたのか?

コメントをここに書いてね書いてね

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s