トンチンカンなトンテンカン


いまの世界で(響きの悪い言葉だが) 「IT革命」 に完全に失敗した先進国がふたつある。ドイツと日本です。
表面的に似ているようでその実まったく正反対の文化・国民性をもつふたつの国だが、面白い組み合わせで19世紀後半からの歴史においてはまるでパラレルワールドの国同士であるかのように同じ波に乗り、同じ岩礁に乗り上げてしまう。
多分この不思議な成り行きには「市場におけるタイミング/ポジショニング」ということが密接に関係しているでしょうが、傍で見ているとなあーんとなくニンマリとしてしまうような(生物学用語における)相似国家である。

ドイツがIT革命に失敗した理由については別の所で脳が腐るほど話したのでここでは日本の事を考えたい。
だって日本語で書いているわけですからのい。
ときどき、たとえばアメリカにとって日本が(中国などより)いかに大切な友人であるか日本語で延々と書いている人があるが、あれは何をしたいのであるか?
わしの所に「将来も『日本語圏』で日本語を書く場合には安全を保証しない」と書いてきたひとがいたが、もしかするとロスアンジェルスと近郊には日本人が常時50万人だかが屯していて電話帳も日本語の電話帳があるくらいなのでカリフォルニアとかは「日本語圏」だと思っているのかもしれません。
きっと、そうだな。
スターバックスとかで英語を話している合衆国人を見ると、「ここは日本語圏だぞ。日本語で話せ、ばかもん」 と考えているに違いない。
カリフォルニアなんか半分日本みたいなもんです、という当のカリフォルニア人が聞いたら腰を抜かしてヒップリプレースメントが必要になるか、逆上して日本人排斥法案を作りそうなことをわしにゆったひともいたので、日本語で綿綿と英語人に対する恨み辛みを述べている人は、やはり心のどこかで「日本」のようなメジャーな存在に属している自分の言う事を英語人といえど誰かが聞いてくれるに違いないと信じているのでしょう。
哀れである、と言えなくもない。

選挙だかの頃、「日本ではまだまだものづくりではいちばんです」 と街頭でマヌケな襷を肩にかけて述べているひとがいた。こーゆーうるせーだけのものはさっさと廃止して選挙の主張とかはwebだけでやらんかい、webも見ないような奴には選挙の存在自体判らんほうが日本のためだし、と思いながらわしは聞いていたが、そのときにふと思ったのは、日本人はほんとうに相変わらず「ものづくり」 でいまのやるせない経済を立て直そうとしているのだろーか、という事でした。
そう思ってあたりを見渡してみると、驚くべし、どうもそう思っている人もたくさんいるよーだ。

「ものづくりだあー、ものづくりだあー」と叫んで20年やってみて効果がまったく現れないのだから発想なり前提なりが間違っているのではないだろうか、と思うのがふつーだが、日本の人はそう思わないのであるらしい。
なんだか狐につままれたような話だが、それは日本という国で起こった厳とした歴史的事実で、実はいまでもそのトンチンカンぶりを発揮して工場でトンカンチンしているのです。

クライスラーという会社は、性能はたいしたことはないが優美な曲線で包まれたほぼ芸術的なボディをつくるのでもともとは有名でした。
実際60年代初頭の頃のクルマを並べてみるとブガッティ、サーブ、の次くらいに美しい、繊細を極めるボディである。
このボディラインがなぜ後年の不細工でチャチで目もあてられないようなボディになったかというと、以前には木槌であのラインを叩きだしていた腕の良い職人を会社がクビにしちったからです。
なぜクビにしちったかというと、クルマが安くなったので、腕も給料も良い職人なんかにマジにクルマをつくらせていたら割が合わなくなったからである。
その結果最終的にどうなったかというとヤケクソみたいな値段の日本車の攻勢にあってあえなく沈没した。

アメリカの西側では相当むかしでもなんだかちっこくてヘロヘロした「シビック」みたいな日本車を見るのになれていた筈だが、いまのようにマンハッタンでも欧州でも日本車の大洪水を見るようになったのは最近の事です。
感覚的に言うと、ぽつぽつと日本車が現れ始めて、「おーすげえー、欧州にも日本車が走るようになったのだな」とわしが考え出したのは11歳か12歳かの頃だったので、要するに1995年前後、でしょう。
連合王国で言うとそれまで「プジョー」や「ローバー」「欧州フォード」「バクソール」なんかがもっていたマーケットを掠っていったのだと思います。
マイクラ、という名前の日産の小型車(多分、マーチ)が特に多かったのをおぼえてます。評判も良かったようだ。
話の後先を考えると、多分、主マーケットであった合衆国で頭打ちになってきたのでいろいろメンドクサイのでおっぽりだしてあった欧州市場でももっと売らなきゃ、という事だったのだと推測しますが、ほんとのところはようわからん。

大昔のトップギアを読むと、なんだってこう日本人ってやつは欧州車のへったくそなマネばかりしやがるんだろう、とあちこちに書いてあります。
安けりゃいいてもんじゃねーんだぞ、おら、というような趣ですのい。
実際90年代の終わりになっても日産は前から見るとリンカーンで後ろからみるとメルセデス、横からみると、これがなあーんとBMWなんですねえ、というようなアホなクルマをつくっていた。
トヨタも2000年にはまだ運転席に座るとエンジンの音はおろか計器類のアンバーに至るまでBMWとまったく同じ、というクルマをつくって売ってました。
こうやって書くと判ると思いますが、日本の外から見た昔の日本はいまの「中国」ととてもよく似ているのです。

中国人の方がやることが大胆で「ちょっと急な坂だと登れないハイラックス」とかオモロイものをいっぱいつくりますが、本質的には変わらない。
ものづくりというものには「大量に安くつくるものが勝つ」 という法則があるからです。
自分が経営者になったつもりで考えてみると判りますが、「マネをする」という事には初期投資を小さくしてしかも「売れないリスク」 を極小化する、という効用がある。まして大量につくって原価を下げ、それをまた低利率で売る、という事になると、「誰も見たことがない」画期的な商品などおっかなくて手が出せない。
それなら欧州なら欧州を一渡りみてまわって、売れているカッチョイイ製品をちょろちょろっとマネして売った方が経営上安全な訳で、実際日本は70年代80年代からはデザイン能力新技術能力共にありながら製品化しようとはしなかった。

ついでにいうと英語世界では「新興国市場」というもののばかばかしさについて最近よく議論されます。簡単にゆって「ビンボ人にものを売りつけてももーからん」という事で、一方では、中国にはそれが全部ある程度豊かになると言う事が資源の限界を考えればありえない、という意味で「無限」のビンボ人がいるので、それが工業化される過程で必ず低賃金労働力として市場になだれこむ、という構造があるので、作る側においても他国に対しては必勝である。
中国人のポケットに手を突っ込んで金をとりあげるのは、ものすごく難しいのです。

「きみはそう言うが、いま我が国は輸出相手を合衆国から中国に切り替えることによって成長を取り戻しつつある」と言う人もいる。
でもさ、あれって、部材輸出で、結局は合衆国に中国が輸出していて、おいしくない(言葉が下品ですまん)所を日本が受け持って分け前もらってるだけじゃん、とわしは思う。

ものづくり、というものには言うに言われない「文化性」との関連があって、たとえば、前にも確か書いたことがあるがシュペーアはむかし軍需相に就任して生産が思うように増えないMe109の工場に出かけてみて機体とエンジンが山積みになっているのを見てぶっとんでしまった。
調べてみると出荷数に限定要因になっていたのは「座席」であって、工員たちは戦闘機パイロットに座り心地の良い座席を提供すべく革のシートと席のあいだに馬の毛を敷き詰めていたのであって、それにえらく手間がかかっていっこうに生産があがらなかった。
シュペーアが座席を簡素化しろ、というと、ストライキを起こしかねない勢いで反対してぶんむくれた、と言います。
こういう「非生産性」こそが「良い物をつくる力」の実体なんですのい。
だから日本人が考えるのと違って、多分、「ものづくりが下手」なはずの中国勢はマーケットの上のほうに至るまで日本製品を凌駕しつくすであろう。
中国人は伝統的に生産性にしか興味がないからです。
中国人にとっては「無駄なことに凝る」とかはアホな人のすることなのね。

いつものこと、というべきだが、日本が(つくづく響きのダサイ言葉だが)IT革命に失敗した理由はおろか、前段のものづくりの所でもうはててしまった。
うーん。

わしは丁度「半導体立国日本」という「大本営発表番組」が感動とともに日本をミスリードしたように、「プロジェクトX」という番組は、更に大きな感動とともに日本を本来向かうべき方角とは180度誤った方向に歩かせることに大きな力があった、と思っていますが、いくらなんでもこのブログ記事は長くなりすぎた。

続きはまたいつか。
(こればっかしやん)

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10 Responses to トンチンカンなトンテンカン

  1. takeda says:

    非生産性が良いものを作る力の実態、と勘違いしているヤツが死ぬほど多いのは確かだ。

    「それが仕事だ」とかいう馬鹿な。んなわけねーだろうと思います。

    大丈夫、最近はそういうこと言うヤツは飛ばされる世の中になりつつあるよ。

    • 我が親愛なるタケダよ、

      それはちゃうねん。
      webビジネスにおいてすら違うのです

      >非生産性が良いものを作る力の実態、と勘違いしているヤツが死ぬほど多いのは確かだ。

      「凝る」という非生産性にこそ生産性は依存している。
      ものをつくるということは生産性の理屈とは相容れないのです。

      • takeda says:

        追記。

        モノを作るためのあらゆる準備を指さして
        「非生産性」とか言うヤツとは私は仕事せんから
        ガメさんの言う事の意味がわかりませーん

        たまにそういうことを言う馬鹿はいるのは知っているが
        そういうヤツは例に漏れず口ばかりで仕事はできない^^

    • takeda says:

      >「凝る」という非生産性にこそ生産性は依存している。
      ガメさんさぁ、私がモノづくりの人間だってこと忘れてね?
      んで、舐めてないか?

      こんな当然なこと、わかっているに決まっているではないか。
      それが出来ずに手を抜いて魂入ってないもの量産したって
      そりゃものづくりじゃねーぜ。

      そうじゃない、私が言う非生産性というのは
      裏で調整すること(だんごー的なもの)や
      赤字になってるのわかってるのに
      「付き合いが次の仕事を生む」と言って騙し騙しいたりとか
      社員に給料還元せずに客に裏で金払ったりする
      そーいうことを言ってるんだよ。

  2. じゅん爺 says:

    故郷に帰って、クルマがないと生活出来ぬと分かって、最初に買ったクルマがレガシー。バイク積めるからな。
    次が今の愛車、古ベンツ「源五郎丸」。大量生産のメルツェデスだわさ。馬の毛なんていつのハナシよ、のシート。ゴワゴワの布製ってトコが泣ける。
    でも長時間運転してても疲れないのがさすがで、コレだけでも価値あり、っス。15万キロ目前。
    2代目3代目のレガシーはひきつづき妻が乗ってたのだが、トヨタに買収されちまって「そんな御無体な!」と怒り狂ってる。

  3. ぽんぴい says:

    英国人「内燃機関を発明したー」
    米国人「空を飛んでみた」
    ドイツ人「おまえらちゃんと作れよ。すぐ壊れるやん」
    日本人「ほれ、集大成でっせ」
    韓国人「みんな友達だよねー」
    中国人「もっと安く作るぜよ」
    米&英国人「ふ、おれたちゃ鵜飼いで食ってる」
    EU「あ! それって、マジでヤバいぜ」
    禿鷹「安いから日本を買え、日本を!」
    インド「施しは受けてやるよ、ぐへへ」
    日銀「ほーら、円高は良いこともあるべな」
    ネトウヨ「やっぱ軍備でしょ」
    ブサヨ「謝罪でしょ」
    レオナルド「経験の弟子」
    アルベルト「過不足なく描く」
    ピカソ「えんぴつ、えんぴつ!」
    大拙「中心を引き上げれば、残余は凡て付いて来る」
    ライプニッツ「神の作用と神が創造した被造物に因る作用を区別する為に、個を一つずつ味わって説明します」
    カント「触れ得る物に触れているところは内界であるけど、それが外界と通じてるよ」
    ニュートン「重力が鍵でっせ」
    アインシュタイン「離婚してしまうま」
    米国民「政治家はアホやでえ!」
    中国「おれら最後までバラバラやん」
    韓国「俺たちってすごくね?」
    オーストラリア&ニュージーランド「love the earth」
    日本「汚染地やな」
    フランス「イスラム食い過ぎてハラ痛」
    ドイツ&オランダ「あ、おれもおれも」
    イラン「不倫は顔に石投げて殺す」
    スペイン「オレってもう死んでる?」
    ロシア「かき氷いかがっすかー」
    ブラジル「広いぜ」
    アルゼンチン「いい男いかがっすかー」
    日本の女の子「きゃー!」
    日本の男の子「おまえら、、、」

    • ぽんぴい殿、

      こういうコメントを見るとぽんぴいが無茶苦茶ばっかりゆってくるのに2chバカみたいなのとは違うように見えた理由が判るのい。
      (答える必要はないが)ぽんぴいはいったいどんな人なのだろうと考えました。
      また話すべな。なんだがわしはぽんぴいが好きなよーだ。

  4. みりん says:

    ガメさん

    海から運河みたいな所を風が流れてくるコンクリート混じりの湿気を帯びた空気に包まれ、ただでさえ暑い今が更に倍。そんな8月を迎えています。

    全然関係ないのですが、この写真の戦車?みたいなものは本物の軍用だったものでしょうか。どうしても「やわらか戦車」にしか見えないのです。
    退却に次ぐ退却 _ _ _ _(^^;)

  5. あー、みりんさんだ。

    >海から運河みたいな所を風が流れてくるコンクリート混じりの湿気を帯びた空気に包まれ、ただでさえ暑い今が更に倍。そんな8月を迎えています。

    暑いですのい。わしは山の中にいますが、それでも暑い。
    たまりまへん。

    >この写真の戦車?みたいなものは本物の軍用だったものでしょうか。

    97式中戦車、とゆって大戦中の日本の主力戦車ですのい。迷彩はちょっと色が明るすぎるかもしれません。 ハワイの戦争博物館にあるのね。町に行くのによくこの前を通ったものです。

  6. ゆうほ says:

    なん(000)て面白いブログなんだろう。
    写真復活希望です!

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