Daily Archives: August 7, 2010

夏の軽井沢

来週ちゅうか明日またわしも行こうと思っているが、義理叔父は今日も軽井沢にいるので電話しました。 今日は軽井沢町のパーティがある日であって食い意地のはった義理叔父は毎年アップルソースがかかったローストポークをめあてにこのパーティに行っていた。 だからもう軽井沢にいるのかと思ったら、今年は行かないのだそーだ。 もともとはもちっとディーセントなパーティであったというが去年などは別荘を売りたい不動産業者が招待券をばらまいたりしてなんだかその辺の土建屋の社員大会みたいだったので今年から服装規定をつくった。 しょーがないからジャケットを着ていくことにしたのさ、という。 ジャケットって、いま気温は何度ですか?と訊くと27℃という。 27℃の町でジャケット。 すげー。 ところがかーちゃんシスターが、こんなに暑いのに出かけるのは嫌だ、という。 かーちゃんシスターは常識がゆたかなひとだからな。 こんな日にジャケットなんて着てでかけたらぶちたおれるに決まってる。 もうやめましょう。 かーちゃんシスターが嫌だと言えば、義理叔父のアップルソースかけローストポークなどは儚いものである。 そーゆわけで、つまんないんだよー。遊ぶ相手いないし、ガメ、明日ぜったい来いよな。 このあいだ買った高圧水鉄砲触らせたげるからさ、ねっ? ねっ? と恥も外聞もない情けなさそうな声でいう。 ガキと変わるところなし。 おっさん、あんた、いくつやねん。 軽井沢は夏は30℃になるので全然避暑地ではねっす。 では何故こんなにたくさん、ひと夏で500万人も人がやってくるのかというと、わしには皆目理由がわかりません。 だって町に大仏座ってないし。 別に京都タワーみたいに超超下品なタワーがもっこりおったってしまっているわけでもないので、来て見たからとゆって日本の人が納得して「これこそが軽井沢だぜ」と考える、好きそうなものはなにもない。 「雰囲気を味わう」という人もいたが、あの本通りの雰囲気を味わうには新宿のほうがよさそうである。 わし自身はなぜ軽井沢に「山の家」を買ったかというと、義理叔父が近所に掘り出し物の家が出たから買わないかとゆってきたのを真に受けて買った。 おためごかしに純真な義理甥を思っての事のようなふりをしながら実は自分が酒を飲みたいときに相手をしてくれる人がいないのでわしを欺して近所に連れてこようとしただけである。 いいとしこいて、まったく、とんでもないやつだ。 ひとつだけいいことは近所の不思議にも通常の日本人に較べるとどうも平均身長がだいぶん高い一様に日焼けしたおっさんたちが折り目正しくて挨拶もなにもきちんとしていることで、これはなかなか気持ちのよいことです。 朝はやく起きて散歩すると、角度の加減で、木洩れ陽が丁度ちいさな「天国への階段」のようになって甚だしく綺麗である。 庭のテーブルにわしは「もっちり山」のトーストブレッド、モニは佐久からもってきてもらったクロワッサンで朝ご飯を食べる。 ベーコンに、食事をつくってくれる人がいるときにはエッグベネディクト、そうでないときにはわしがつくったポーチドエッグがつくであろう。 モニさんが自分でローストした豆で淹れる珈琲もつきます。 カフェインが欲しくないときにはCavaがつく。 合衆国の人はベーコンをカリカリに焼くがわしが祖国ではヘロヘロしたベーコンを食べる。 ちゃんとしたベーコンは牧草の匂いが食べた途端に口のなかで広がって、まるで朝陽がのぼってくるようである。 うめっす。 午後は涼しければモニもわしも庭のデッキチェアに寝転がって本を読んでいることが多い。このために軽井沢の家には英語や仏語の本がいっぱい送りつけてあるので読みたい本に不自由するということはない。 今年はなにしろ十全計画の5年間前後11回に及ぶ日本遠征の最終年なので日本語の本ももちろんあります。 昨週は大好きな内田百閒を読んだ。 この百閒という人はどうにもこうにも日本語がたいへん上手な人であって、「雲山萬里を隔てた異郷に転戦している留守を幸い、こんな当て字の名前をつけたと云う事を、向こうで新聞を見て知ったら、銃後のつれなさをかこちながら、そっと鉄兜を被りなおすに違いない」というようなことをヘーキで書いてしまう。 この「そっと鉄兜を被りなおす」というのは、いったいどうやったら出てくるのか、日本人の癖にわしよりも日本語が上手であってなんとはなしに不愉快な人です。 … Continue reading

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