夢のカリフォルニア

ゆっていても当たり前すぎてげんなりするが、アメリカ人にも良い所と悪い所がある。
良い所はたいていの人間は万事について親切であって、話すにしても打ち解けるのが早くてあけすけであるところがよい。
めんどくさくなくて、いいのね。
バカなひとからリコーな人まで、この傾向は同じであって、めんどくさいやつが嫌いなわしとしては、そーゆー点では甚だしく楽な国である。
あと、一応、英語を話す国民です。
Rの音がばかでかくて、一日聞いていると味の素がはいりすぎた食べ物を食べたあとのように頭痛を引き起こしたり、何を書いても綴りをいっぱいまちがっておるが、でも英語だと思えば確かに英語に聞こえて英語に見える言語で話す。
ちょっと高尚なアクセントで話すと「はあっ?」「ええっ?」ちゅうような下品な聞き返し方をするやつがおって、もの悲しい気分になるが、そーゆー場合でも慌てず騒がず、下品な発音にやや近づけてあげればちゃんと判ります。
素晴らしい、と思う。
なにより、楽ちんである。

悪い方は、このひとびとは朝起きるのが早すぎる。
勤勉は人間の頭を悪くする、というごく簡単で明瞭な事実をわかっておらないかのようであって、何も考えずに放っておくと、「朝7時」というようなとんでもない時間にミーティングを設定したりする。
7時って、ななじでっせ。ナナジ。

7時の会議とゆっても、7時に起きて、そのまま「どこでもドア」を開けて会議室へ行って、歯ブラシをくわえてパジャマともじゃもじゃ頭でへらへらしているわけにはいかないので、そのまた一時間前とかに起きて支度をせねばならない。
まだ日が明けたかどーか、というような時間にシャワーを浴びていると、鶏になったような気がしてきて泣けてきます。
会議に行けば並んでいるに違いないおっちゃんやおばちゃんの役員衆の顔をひとつづつ思い浮かべて、「おまえら、みんな失脚させてやる」と凶暴なことを考えたりする。
わしは温厚で成熟したおとななので、支度が終わってホテルの玄関で出迎えのクルマに乗る頃には、もうすっかり忘れているが、しかし、そーゆー凶悪な一瞬がわしのミーティングにおける態度にまったく影響しないと誰がゆえるであろう。

インド料理屋が高い。
わしがロスアンジェルスにくるたびに寄る料理屋は、たとえばビンダルーが味付けが古いなりにたいへんおいしいのは良いが、モニとふたりでフィッシュティカとカレーひとつと料理皿ひとつ、ワインを一本頼んだだけで300ドルもとる。
なんでもかんでもくそ高いので、あれは年収6000万円以下のビンボ人を全部駆逐しようとする市庁の陰謀であるに違いない、とマジメに噂されているロンドンでコンテンポラリー・インディアンを食べても、あんなに取らん、というくらいの料金をヘーキでとります。
その上にチップまで徴収する。
わしがインド菓子が好きだと看てとると、親切に色つきの精細な地図を描いてくれたりするので、ついチップをはずんでしまうが、ああいう習慣は是非あらためてもらいたい。
暗い褐色の美しい肌に青い目、というカッチョイイねーちゃんであったが、しかし、そうであってもオカネはオカネなのでチップを渡しすぎると、じわじわと悔恨がこみあげてくる。
モニさんが静かにわしの横顔を眺めていたりすると、まことにプレッシャーでもある。

だがしかし。

たとえばオレンジカウンティは、大クルマ社会なので、クルマ社会らしく、カッチョイイ町並み、というようなものは皆無である。
皆無だが、クルマ社会というものは、そーゆーものであって、だんだん何回もそこに行くに従って、どこになにがあるかわかってくると住みやすい町の常として、よい店が点在しているのがわかってきます。

モニとわしが気に入りのワイン屋は、世界中のワインが盛大にならんでいて、欧州以外で、こんなに良いワインが揃っているところは珍しい、と感じる。
マンハッタンでも滅多にないような品揃えです。
スペインの古いスタイルでつくっているトーラスの赤ワインが、ここにもあるが、どういう理由によるのかバルセロナで買うより安い。
モニとわしはカリフォルニアではジンファンデルをよく飲むが、こんなにうみゃいジンファンデルがあるにょか、というくらいおいしいジンファンデルが40ドルくらいで買えてしまう。
うーむ、と思います。

わしは真冬にモニとふたりで歩いて楽しい街以外には住みたくないので、カリフォルニアに住む、というわけにはいかないが、会議が終わっていそいで行ってみたら丁度夕日が沈むところであったひさしぶりに訪問したサンタモニカの海岸や、おいしそーなエチオピア料理店があるリトルエチオピア、とゆーよーなものを見ていると、南カリフォルニアでも一ヶ月くらいいてもいーかなー、と思う事がある。
並んでいる家が高級住宅地でも妙に安っぽいとか、大通りがいかになんでもサインだらけで醜悪である、とか、わしが好みにあわないことが多すぎるので、多分いざとなったら二の足を踏み三の足がこけて、やっぱし用事だけでそそくさと帰ろう、という事になるであろうが、半人半猫のインターネットで知り合った心のやさしい宗教学者の友達の影響もあったりして、わしはむかしに比べると遙かにロスアンジェルスとオレンジカウンティが好きなよーだ。

ギリシャ人やアフリカ人、中東人やインド人たちが住んでいる地区を中心に、用事がないときにまた来てみっぺかなあー、と今回は初めて考えました。

小さい声でいうと、わしは成長したのではあるまいか(^^)
カリフォルニアを、これほど好意的に考える日がくると考えたことがなかったので、ちょっと不思議な感じがします。

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