Daily Archives: April 12, 2011

ノーマッド日記5

1 薔薇の茎を伝って、あの気難しい花を咲かせる力は人間の想像を絶するほど苦渋に満ちた力に違いない。 深夜のビレッジのアパートで開け放たれた窓から聞こえてくる酔っ払いの怒鳴り声や救急車の巨大で不吉な音を聞きながら、鍵と錠のように自分の魂とかっちりとかみあわさった音と表現がやってくるのを待って息をのみこんでいる詩人のいらだちも、ジャズの演奏でパレットの上の一瞬の賭博にかけて跳躍する魂も、完全ではあっても物足りない画面に思い切って描線を斜めに描こうとしている画家の振り上げた腕にも、同じ力が働いている。 ものごとを生み出す力は決して思考のはてに出てくるわけではない。 それは思考が延々と続けられたずっとあとになって、おもいもかけないときに「ものを生み出す人」の手から殆ど勝手に動く意志のようにやってくる。 友よ。 結局、社会を再生する力も同じようにしてやってくるのではないか。 終わりのない長い議論が続いて、きみらの大学がある本郷の高台からお茶の水におりて、戦前の匂いのする路地のパブや、あるいは、あのうさんくさい画廊の上のUさんの部屋で飲みつぶれる寸前まで、飲んだ。 走り去るタクシーの窓からKさんは壮絶に紅色になった顔を出して、「ガメ、冠詞のないフランス語なんかあるかバカ、と日本人にゆってくれええええ」と、なんのこっちゃなことを叫びながら去っていった。 「あれはなんですか?」とIさんに訊くと、「あいつはブンサンだから気にしなくていいのだ」とますます訳のわからないことをゆった。 一橋の中華料理屋の夜よ。 六本木の鳥ソバ鍋よ。 三人の博士は恭しく礼拝して帰っていったが、あのうちのひとりは仙台に住んでいたのだ。 いまさらレベル7だからとゆって、それがなんだというのだろう。 あの事故は偏差値73でした、とゆったほうがよいのではないか。 どうしてもランク付けが大事なら、 フクシマはヘータイの位なら大将でした、というふうにゆってみればいいのに。 山下清の良さは、わしにはうまく判らないが。 2 豪州のMAと「太平洋環を南東から北西に押し上げている力」について話した。 自分と家族だけ世界の終末を生き延びるためにつくったシェルターがクイーンズランドの洪水で水没して死にそうな目にあったマヌケなMAの説がほんとうであるとすると、日本は向こう4年間は地震と火山活動に苦しめられることになる。 「富士山の爆発がみられるかもしれないんだぞ、ガメ、コーフンしないか?」って、きみ、つつしみたまえ。 科学者の言葉は神様と人間には通じないのを忘れてはいかむ。 3 そのうち、マジメにブログに書きたいが、フクシマのような場合、「いまくらいなら大丈夫だと考えられる」という科学者のコメントには、あまり実質的な意味はない。 科学者なら、(はしくれでも)いままでのデータに照らして、これが起こればこうだというのでなければならないが、ヒロシマとナガサキの爆弾や、ネバダの核爆発の爆心に突撃させられた兵隊のデータはあっても、残りはたいしたデータはない。 そうして日本のひとが何度も議論しているように爆弾と原子炉事故はもちろん異なるものである。 だから実は参照蓄積されているデータなどないに等しい。 少ないデータから見積もられる被害は常に最小を下回るのは論理的に至極あたりまえであって、科学の基礎訓練を受けたひとには判りきったことです。 チェルノブイリのときに何年か経ってから判明した経年被害の大半が「予想外」であったのは、そういうことであって、あたりまえなのね。 科学っちゅうのは、もっているデータの処理以上のことはゆわないルールになっておる。 だからフクシマのあと仮に関東一帯で皮膚の異常や説明できないめまいや癌の高い発生率がみいだされても(仮に、だけどね)、「既存データでは予測できなかった新事実」で終わりなんです。 科学の良心っちゅうものは、そーゆーふうに規定されているのだから当然である。 日本の東半分の住んでいる人、あるいは、それより以西に住んでいるひとも、だからこれからギニアピッグになる。 「フクシマ型原発事故」が起きた場合、どんなことが起こるのか、(期せずして)これから30年くらいかけて何百万人という日本人の「生身」を使った生体実験データが生じることになった。 規律を重んじてお上の権威に忠実な日本のひとたちは、「実験場」のなかで粛々と暮らしてゆくに決まっているのでサンプリングも楽である。 内心、よろこぶ、とまではいかなくても、「こんなことがあるのか」と考えて舌をまいた研究者が(複数)いるでしょう。 誰にもわからない事態なのだから「当面健康の被害はないと考えられる」というのは科学的ステートメントとしては100%正しい。 非の打ち所がない。 日本名物「要出典バカ」「出典キボンヌ族」が来ても、ばっちりダイジョブである。 … Continue reading

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