雨の日

モニが女友達たちと会いに行ったので、ひとりでGreenwich Aveを歩いて、わしの好きなあのバーに行ってきた。
雨が降っていて、しかもそれは驟雨で、激しい雨のなかを歩いていたら、唐突に日本のことを思い出して、わしはぼろかすに泣いたのだ。
ポピュリストの知事や東北の絵描きが言うように「天罰」なのかもしれないが、天罰だとしたら、神様はなんと無慈悲なのだろう。

声にだして神を呪ったら、稲妻が光って威嚇的に巨大な雷鳴が鳴った。
いいかげんにすればどうか。
わしがあなたを嫌いなのはとうの昔に知っているはずである。

うさぎのパイとプロシュートを食べた。
ゴルゴンゾーラとマスカポーネをポットで混ぜたチーズはバローロと合わないではないか。
「あわないのお」とゆったら、バーテンダーが山羊のチーズにラズベリージャムを添えて出してくれた。
こっちは、ワインとあった。
プロというものは、すごいものです。
どんなことにも解決を知っているのではないか。

雨が降って、しかもそれは激しい雨で、稲妻に頬を照らされながらわしは家に帰ってきた。
カリフォルニアのシタデルで買ったコートはずぶ濡れになったが、わしを守ってくれる。
フッドと長い袖。
わしは守られていて、また性懲りもなく神様のことを考える。

激しい雨が降って、稲妻がなっても、わしは歩くのをやめやしない。
書くのも描くのも鳴らすのも喋るのもやめやしない。
近所のアパートに寄って、ユダヤ人たちと話した。
ヒブルーの新聞を指さして、この言葉を読める日本人がいるんだぜ、という。
ガメ、また、そーゆー冗談を言う、と彼らは笑うが、
ほんとうだってば。
そいつはイディッシュも読めるのさ。

みな、いよいよガメの法螺だとゆって笑う。
ほんとうだったら、どうするんだ。

雨のなかを歩いて、下をむいて歩いて、いったいわしはどっかに着くのか。
Home…home…O home
わしは、どこかに漂着できるのか。

‘My nerves are bad to-night. Yes, bad. Stay with me.
‘Speak to me. Why do you never speak. Speak.
‘What are you thinking of? What thinking? What?
‘I never know what you are thinking. Think.’

どこにも着かないのではないか。

でも、どこにも着かなくても、モニと一緒ならいいか。

Home…home… home
この冷たい雨の世界を逃れて、家に帰らねば。

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