Daily Archives: May 21, 2011

膠着語の週末

1 メトロポリタンミュージアムは金曜日の午後がいちばん良い。 午後5時頃になると、教師に引率された高校生の集団や観光客達も潮がひくようにいなくなって、おおきな美術館の建物のそこここに「静かな場所」が生まれます。 美術館は夜の9時まで開いているので、モニとわしは、グランドホールの上にあるバーでプロセコを飲みながらのんびりする。 ここはワインも意外なくらい良いリストがあります。 何よりも室内楽カルテットの奏者がうまいのがよい。 テーブルや椅子が安物なのが残念だが、給仕のひとびともよく気がつく陽気なひとたちが多くて、明や清の素晴らしい大皿に囲まれたこの回廊を取り巻いたバーにいると、なにがなし明るい気持ちになる。 プロセコを飲んで、オリーブをつまみながらワインを4杯お代わりして、すっかり良い気持ちになってから美術館を少しだけ散歩した。 いつもはメトロポリタンミュージアムに来るのに「お目当て」などないが、今日は、見たいものがあってきた。 去年自殺したアレキサンダー・マックイーン http://www.afpbb.com/article/entertainment/fashion/2694247/5305966 の特別展示があったからで、これを観ないですませるわけにはいかなかった。 モニとわしのように、あの素晴らしいデザインの才能を惜しむ人がたくさんいたのでしょう。もう人が少なくなった館内であるのに長い行列が出来ていたが、内緒な理由によって、モニとわしは脇からいれてもらいます。 日本の大鎧の「おどし」にヒントを得たドレスや有名な革のコレクションにもみとれてしまうが、赤いサテンのドレスが並んでいるコーナーでは、わしとモニにしか判らない特殊な理由によって涙が出てきてしまった。 モニとわしは、たくさんの人が流れてゆくなかで、壁際に立って、彼のつくった美しい造形をしばらく観ていた。 死んだ天才デザイナーとの別れを惜しみました。 ほんとうはアップタウンのモニのアパートで週末をすごすはずだったが、モニがビレッジに行こう、というのでタクシーを止めてビレッジに行った。 モニが「ビレッジに行こう」とゆったのは、むろん、わしの気持ちを見て取ってのことです。 タクシーの運転手はアフリカ人で、86丁目からバンクストリートに向かう間中、自分は合衆国についたばかりで、自分にとって、この国の自由がいかに素晴らしいか話してくれる。 わしは、この国の人間でないのよ、と言おうと思ったが、なんだかそれも余計なことのように思われて、ああ、それはよかったですね、という程度の曖昧な返事に終始する。 降りてから、あの運転手はきっと、生まれたときから自由に恵まれた、自由の価値がわからない愚か者のアメリカ人め、と思ったことだろう、と考えました。 ロングフェローの有名な詩に因んで名前を付けられたレストランで、わしはカルボナーラを食べ、うさぎのパテでパンをかじりながら、ラムのローストを食べた。 このレストランに来る度に、この国をつくっている精神のことをおもいだす。 モニが「ガメは、このレストランにいるときはアクセントが少し違うよーだ」と揶揄かっておる。 自分ではそのつもりはないが、ありえないことではない。 若い国で「戦の詩」の伝統をもったのは合衆国くらいのものかもしれません。 それがこの国の誇りの根幹をなし、どんなときでも低く流れる基調底音をつくって、何人が命を失っても銃の保持を絶対にやめない、「アメリカ」というものをつくって、 ヒラリー・クリントンの口を借りて 「You can’t defeat us」 というローマ人のような言葉を吐かせるのに違いない。 One if by land, two if by … Continue reading

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