食物図鑑 その7 ガリシア篇


午後2時。ガリシアとカステラの国境を通るときに140キロで滑るように走っているシトロンの外気温度計を見たら12度でごんした。
晴れた真夏の午後だっちゅうのに、どーゆー気温なんだこれは、と思っているうちに、ガリシアの濃い緑色の森が消えて、カステラの赤土の台地になる。
くるときに泊まったレオンのホテルが気にいったので、まだ一泊して遊んでゆく気になったんでがす。

ガリシアは食べ物がおいしいので、なんだか食べてばかりいた。
大聖堂の裏参道をずんずん歩いて行って、そこから分かれる脇道にわけいってゆくと、むかしからの(小さな寝室がついた)料理屋も現代風なレストランもある。
英語なんか全然ひと言も通じないが、だから横柄なバカ英語人がいないからいっそうよいともゆえる。
「新市街」にもおいしい店はあるが、わしは伝統料理を食べるのに忙しかったので、現代風な料理屋には三軒、五回しか行かなんだ。
グラシアのような町とは違って、ガリシアでは伝統料理のほうが深みがあるように思いました。

スペインの友達に「ガリシアにいるのだ」というと、ガリシアに夏行くバカがいるものか、と笑われてしまった。
モニも、ガリシアはほんとうは冬がいいんだぞ、という。
初め友達に言われたときには、わしのいるガリシアが涼しいからってひがむんじゃねーよ、と考えたが、モニまで冬がいいというので、(モニがいうことは全部ほんとうであるに決まっておる)、そーなのか、と考えました。
ガリシアの料理屋に行くと理由がのみこめた。
じゅん爺の住む富山と同じなのね。

食べ物が冬においしいものが揃っておるのであった。
夏に特別においしいのは鰯だけであって、他は、ガリシアン・スープも牡蠣も他のほとんどの海鮮料理も冬のものばかりなのでした。
でもいまの季節のものもあって、たとえば、この鰹のタタキはおいしかった。

いーやいーや今度は冬来るからいーや、とふて腐れたが、でも夏たべてもどれもこれもおいしいのよ。
たとえば、これはガスパチョである。
バルサミコで模様が描いてあんのね。

ちべたい白ワインを飲みながら、食べると、野菜のあまみが利いた冷たい滋養が魂にしみてうめっす。
焼いたカタクチ鰯をやはり焼いたイチジクの実に載せて食べる料理

これは無茶苦茶うめっす。
焼いたイチジクとカタクチイワシがこんなに合うなんて考えたひとは天才であると思う。
鰯はもちろん天ぷらもフリッタもある。塩だけ、あるいはレモン、あるいはオリーブオイルで食べます。
オリーブピルをタップリかけると、甘くて、まるで違う食べ物になります。

ナポリタンスパゲティが大好きであって、家でつくるたびにナポリタンスパゲティの臭いが大嫌いなかーちゃんシスターとの結婚生活に亀裂が深まる一方の義理叔父に写真を見せたら悶絶していたタコのスパゲティ。

大量のニンニクとオリーブオイルを炒めてトマトとオイルの甘みだけでつくったソースにタコをいれてスパゲッティとからませた食べ物だったが、これもうめかったす。
シェフのおっちゃんにレシピを訊いたのでニュージーランドでもつくるのだ。
ガリシアとゆえばタコと決まっているが、やはり炭焼きがうまいかしれん。

たまねぎやレッドペッパーやなんかをラタトゥイユ風にまとめたのに目玉焼きをのっけた前菜

やコックル貝をお米と一緒に炊いた雑炊、

シーフードを炊き詰めてつくったシーフードのブロスの「ガリシアスープ」

イモと野菜のガリシア野菜スープ。

スズキの炭焼き

魚に飽きたら、チョリソ界の帝王とゆわれるガリシア風チョリソがまるごとごろんとついたウエボス・コン・パタタスもおます。

毎日毎日3人前くらい食べていたのに、食べるものがつきないほどガリシア料理は豊富であって、わしはあごが疲れた。

ガリシアにだけ特別の料理というわけではないがフランスはサンドイッチが世界一でいちばん程度が高い国だと思うが、スペインもサンドイッチがおいしい国です。
カタロニア人はやらないが、ガリシア人はサンドイッチの片方のパンにまるく穴を開けて目玉焼きをそこに埋め込んで食べる。
これは、子供の時かーちゃんに教えてもらって実はわしもよく家でつくって食べるが、ニュージーランドやロンドンではいちいちシェフのひとに説明しなければならなくてメンドクサイがスペインでは、初めからメニューに載っておるので楽である。
(50セント増し)


甘い物の話をここで始めると、延々長大になって巻物ブログになってしまうからやめておくが、スペインはイタリアに負けないくらい甘い物が君臨している国です。
日本にいたときのように甘い物が食べられなくてホームシックにならなくてすむ。

日本も食べ物がおいしい国なのはもちろんだが、なんだか魂に届かないような気がしてつまらなかったのは、結局は、それが「文化の底」のようなもので、誰もそこに立つまでは文化を理解するわけにはいかないのだ、ということなのかもしれません。

スペインの全然あまくない、しぶいチュロをかみしめながら、「文化」というものの深みを思うのだ、なんちて。

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