Daily Archives: July 29, 2011

食物図鑑 その8 グラシア篇

バルセロナという町は、スペインの一部であることを全身で嫌がっているような町です。 わしのアパートがあるグラシアという、元は独立した町であっていまはバルセロナの一部ということになっている町は、特にそういう気分が強いよーだ。 路地の奥に分け入ってゆくようなレストランに行くと、スペイン語すら書いてなくてカタロニア語だけだったりする。 わしはカタロニア語はパーリンプッだが、メニューだけは読めるのはそういう理由によっている。 むかしは、イノシシを頼んだつもりであったのに、なんだかわけがわからねえ内臓のホルモン焼きがでてきて、ははは、おもしれえー、これだから他国での食事はやめられん、と呟いて泣きながら食べたものだったが、最近は、ちゃんと何を自分で注文しているのか判っているのだから偉人であるとゆえる。 カタロニアと言えば、むろん、パン・アム・トマカ、スペイン語に翻訳すればパン・コン・トマテです。 生活の基本であるとゆってもよい。 何をオーバーなと思ったきみ、そーではないのよ。 食べ物を軽視するすべての思想はケーハクな思想である、なんちて。 いやいや「思想」とかゆっておると食べ物がまずくなるからやめておくべ。 知らない人のために述べておくと、パン・コン・トマテとゆーのは、上の写真のごとくパンに、 1 まず生ニンニクのクローブをすりすりする。 2 その後にトマトを切った断面をすりすりする。 という厳粛な手順を経て出来る食べ物で、同じスペインでも、異なる地方へ行くと、 輪切りのトマトをのっけてみたり、もっと言語道断なことには全くニンニクをすりすりしていない「パン・コン・トマテ」まであるが、マンハッタンの人気「バルセロナ・タパス・バー」で出している、オリーブをすったのや、ドライトマトをオリーブオイルにつけたのや、いろいろな「ソース」がついてくる「パン・コン・トマテ」と同じくらい大邪道である。 (因みに、あの9th Aveのタパスバーのシェフは、あろうことか、バルセロナのおっちゃんなので、「こんなん出していーとおもっとるのか」とゆったら、「おれが決めたんじゃなくて、あそこにいるカリフォルニア出身のクソ女が決めたんだもん」と言い逃れしておった。いまは悔いて、わしの姿を見る度に作る料理の量を二倍するので、ついに神の許しを得たよーだが) バルセロナに行って不平たらたら、「あんな酷いところは初めてだ」というのは、だいたい世界的なイナカモノであるアメリカ人であって、日本のオーサカやトーキョーから来たひとは概ね「バルセロナ大好き」になって帰るもののよーである。 それは何故かとゆーと、簡単で、バルセロナ自体、小さいとゆえど都会だからです。 「食べ物の写真が出ているレストランは不味いに決まっておる」 「外国語が4カ国語も並んだメニューの店で、おいしいかもしれない、と思うのは頭がどうかしている」 という常識にオーサカ人やトーキョー人は馴染んでいるが、テキサス人は、 「まあー、この写真、綺麗でおいしそう。おまけに英語も通じるんだわ」とかっちゅうんで、いきなりはまりまくる。 スペインちゆえば、どこでも「ハモン」に決まっておる。 ハモンは、いちばん高いハモン・イベリコを奮発することに決めてしまえば、相当ええ加減なところにはいっても、おいしいす。 たとえば「Mas」のようなチェーン店でもよいと思われる。 (しかし、マスの数ある支店のなかでもディアグノルのモールの地下にあるやつがいちばんおいしいけどな) 切り方がおおざっぱにゆって、うすううううく、うすううううく切る切り方と、小判状に切る切り方がある。 わしはうすうううういオカモト式のほうが好きです。 装着感がない。 (嘘。ほんとうはデュプレックスですけど) わしは、人間が質実剛健簡素剛勇に出来ているので、普段たべるものは、ウエボス・コン・パタタス(イモの卵焼きのせ)とかです。 わし、この食べ物、好きなんだよ。 1€のテーブルワインと、これがあれば、手もなく幸せになってしまうので、いつもモニに「なんという安上がりのダンちゃんだろう」と笑われておる。 あるいはクロケタス。 イタリアのは日本と同じでイモだが、スペインではコロッケは中身はクリームとチキンやハムです。 わしはむかしはクロケタスがほぼ病的に好きであって、朝ご飯の蜂蜜を表面に塗ったクロワサンと一緒に必ずクロケタスを3つつけてもらったりしていたが、最近は、モニと一緒にいるときには「臭いから注文してはいけません」と厳命されている、アトゥン(ツナ)のパイに変えるときもある。 ガイドブックを見ると、バルセロナは、タパスがおいしい、なんちておるが、カタロニア人にゆわせれば、そーゆー表現はただしくない。 タパスて、ただ「小さい皿」て意味だからな、と力説します。 そんなの意味ないよ。 … Continue reading

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