Be Polite

Be polite Be confident Be ready という。
初対面の自分とはバックグラウンドが異なるひと、たとえばパーティで火星人に紹介されたときに、どういう態度をとればよいか、ということについて述べた言葉です。
最後のready が enthusiasticに変わることもあるよーだが、わしは「 ready 」のほうがよいと思う。
こういうことを書くと、グーグルで検索してみて、「そんな格言ないぞ、ウソつき」と言ってきたり、「私はボストンに一年留学していたが、そんな言葉、聞いたことがない。
謝罪して訂正してください」というひとが必ずいるので、すっかりわしを喜ばせてしまうが、「ちゃんとお辞儀をして、はきはき話すのですよ」と言われるのを格言だと思うほうがどうかしているし、子供のとき一年日本にいて、そういう言葉を話す母親を見たことがないのは気の毒なひとびととしか会えなかったからだろう。
Be polite Be confident Be ready というのは、そういう言葉なのである。

Be politeは言うまでもない。
お互いに礼儀正しくしなければならないのは、家族のあいだですらあたりまえであって、まして初めて紹介された相手には細心の注意を払って礼儀正しくしなければならないのは最低の文明的態度とみなされる。
日本のひとは、国の外では実は礼儀の悪い国民として中国のひとや韓国のひとと並んで有名だが、日本に行ってみると、国のなかでは別人28号ふうの慇懃で、どうなってるんだ、と思う。

かなりながいあいだ日本に住んでいたかーちゃんシスターの説明はこうだった。
ホテルから出てきて、タクシーを止めようとしていたら、後ろからやってきたサラリーマンが、かーちゃんが止めたタクシーに、さっと乗ってしまった。
乗り込むときに英語で「アイムソーリー」と言って、にやっと気障に笑って西洋風な仕草で指で敬礼したそーである。
家に帰って、かーちゃんシスターがぷんぷんしながら、義理叔父に その話をすると、義理叔父というひとは、これを読んでくれているひとはみな知っている通りのアホなので、
「礼儀正しい人やん」とゆって、かーちゃんシスターに離婚を考えさせた。
「文化的背景の違いによる相互不信」という離婚調停書の文言まで思い浮かんだそうです。

丁寧な言葉で失礼なことを述べるのは乱暴な言葉で失礼なことを述べるよりも、さらに無礼だが、日本ではそういうルールではない。

まだわしが大学生だった頃に、マンハッタンのバーで出会ったパキスタン人は、日本に一年留学したことがあった。
学費と生活費の工面がつかないのでレストランでアルバイトをしたが、賄いに必ず豚肉がはいっている。
イスラム教では豚肉をたべるのを忌み嫌うということを本人の口から聞いてからはずっと、毎日そうだった。
「ところが、それが一種の親しみの表現なんだよね、日本人にとっては」という。
ムスリムの国では生意気な女が少ないって言うじゃないか、妹か誰か紹介しろよ、とゆわれる。おまえの母親でもいいぞ。

パキスタンにも地下鉄はあるのか?
トヨタをもつのが庶民の夢だっていうよね?
日本がイギリスを駆逐したから独立できたのを知っているか?

いや、みんな親しみの表現なんだが、疲れちゃって。
だからアメリカに来たんだよ。

Be confident は、自分が属している文明や自分の文化的背景に自信をもて、という意味です。
英語が話せる日本のひとに多いのは、パーティに招かれてやってきて、憑かれたように日本の悪口をまくしたてる人で、政府はひどい、社会はくさってる、人間はバカばかりだ、といきなり悪しざまにいうので、わしなどはメンドクサくなって、
「ええ、ええ、日本人がトンマなのは、わしらはむかしからよく知ってますよ」と言ってみようかと思うことがある。
そういうことは必要がないし、第一カッコワルイ。
自分が属している文化を他の文化圏で悪しざまに言う人間を信用するのは、たいへん難しい、という簡単なことがわからないのだろうか、と思う。

Be readyは、相手に自分の文化について聞かれたときに、ちゃんと答えられるようにしておきなさいね、という意味で、日本人であるのに、日本文化や日本歴史の概説にあたるものが頭にはいっていなければ困るだろう。
義理叔父は、この点は感心なオジンであって、勘所というものをうまく掴んで日本を説明することに長けている。
ときに親しくなった相手が油断して、しかし日本人はたとえば音楽においてあんまり他国に興味をもたないのだな、というようなことを言うと「小泉文夫」というような名前が出てきて意外な方角から粛清されます。
日本のクルマは壊れないのはいいが個性がない、というと、トヨタ2000GTを知らないのか、という。
MX5は? 
ほとんど、相手のどのような手にも的確に対応する定石手が頭にはいっているようで、将棋名人みたいである。
さすがは口から生まれて鎌倉ばーちゃんを出産において苦労させた、という伝説の持ち主です。
コメント欄にときどき遊びにきてくれるAKIRAさんによると、そういう産まれ方を「顔面位」というのだそーである(^^)

自分にとって新しいものと接するときには、そのひとの文明度が明瞭に露出する。
不思議なほどくっきりとあらわれる。

Be polite Be confident Be readyの3つのうち、最も大事なのは初めの Be politeだが、
丁寧で慇懃だが失礼だ、というのが日本のひとへの(日本を知っている)他国人からの平均的な正直な気持ちでしょう。

先週、義理叔父は日本の銀行からなんだかの証明書が必要であったらしい。
銀行に電話して、どうやって取ればよいのか聞いてみたら、「窓口においでください」という。
自分がニューヨークにいることを説明して、ファックスでもなんでもいいから、やりとりできないのか、と説明すると、しばらくお待ちください、といって協議していたふうである。
何分かしてから、ほんとうに申し訳ない、という声で、
「遠いところ、まことに申し訳ありませんが、やはり印鑑を用意して窓口に来ていただいて、それから、ということになります」とゆわれたそーだ。
appallingという言葉を義理叔父は使ったが、正しい単語の選択である(^^)

慇懃と礼儀正しくすることの区別がつかなくなったところに、ずっと「建前」の仮面を被って、「本音」の部分との軋みをまるごと個人におしつける非人間的な社会を経営しつづけてきた日本社会の苦しみがのぞいている。

社会の矛盾をひきうけた個人は、他の選択がないコーナーに追い込まれるたびに自殺を選択していった。
年間3万人、という数の自殺者を、社会の冷酷な力による「圧死」だと感じるのは、わしだけではないと思う。

Be politeという言葉をもっともよく聴かなければならないのは個々の日本人に対して極めて失礼な日本の社会そのものなのかもしれません。

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2 Responses to Be Polite

  1. Akira says:

    ガメさん

    >「顔面位」という

    http://blogs.yahoo.co.jp/barnabaseriko/28344852.html
    しかし笑ってもいられないですね、、この子を見ると、、お母さんも大変だっただろうと思うけどホント偉いというか、、根性だなって思う。「口から産まれた子は実は偉い」デス!

    ところでガメさん、オイラ前回メールで間違った事を書いてしまいました。三陰交のツボは広義には逆子の赤ちゃんの時にお灸をするツボで、一般の妊婦さんの「安産」の為のツボでは無いようです。すいませんでした。三陰は中位学での「五臓」での「肝、脾、腎」の「陰/いん)」を指すものだそうです。
    実はオイラの娘はもの凄い難産で産まれて来たんです。産婦人科も研修しましたが、自分の娘が産まれてくるまで、子供は普通に産まれてくるものだと思っていました。緊急帝王切開で出血も半端無く母体も危なかったので、その晩から一週間は本当に産まれて初めて辛酸を舐める意を得た気がしました。
    だから気になっちゃったんだよね、モニさんの体調の事が。。

    ところで他人の赤ちゃんて「え?もう産まれちゃったの??」って思うけど自分の子は中々産まれて来ない気がするのは面白いよね(^^;

  2. Akira says:

    ガメさん

    http://blogs.yahoo.co.jp/barnabaseriko/28344852.html
    しかし笑ってもいられないですね、、この子を見ると、、お母さんも大変だっただろうと思うけどホント偉いというか、、根性だなって思う。「口から産まれた子は実は偉い」デス!

    ところでガメさん、オイラ前回メールで間違った事を書いてしまいました。三陰交のツボは広義には逆子の赤ちゃんの時にお灸をするツボで、一般の妊婦さんの「安産」の為のツボでは無いようです。すいませんでした。三陰は中位学での「五臓」での「肝、脾、腎」の「陰/いん)」を指すものだそうです。
    実はオイラの娘はもの凄い難産で産まれて来たんです。産婦人科も研修しましたが、自分の娘が産まれてくるまで、子供は普通に産まれてくるものだと思っていました。緊急帝王切開で出血も半端無く母体も危なかったので、その晩から一週間は本当に産まれて初めて辛酸を舐める意を得た気がしました。
    だから気になっちゃったんだよね、モニさんの体調の事が。。

    ところで他人の赤ちゃんて「え?もう産まれちゃったの??」って思うけど自分の子は中々産まれて来ない気がするのは面白いよね(^^;

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