のおんびりした時計

ニュージーランドと日本という国の最もおおきな違いは「時間」であると思う。
ニュージーランドは言わずと知れた英語国でもチョーのんびりで有名な国で、テキトーなのとのんびりなので、アメリカ人たちなどは毎日気が狂いそうにしている(^^)

でも「時間」が違うというときの違いは実は速さではなくて時間のまとまり、というか、時間の扱い方が最も違うよーです。
のんびりと海辺のベンチに腰掛けて海を見る。
もってきたクリームバン
http://www.flickr.com/photos/41187064@N03/3805465086/
をほっぺにクリームをくっつけながら食べて、カモメというのはどうしてあんなに眼付きが悪いのだろうと考える。
カモメが街灯の上にとまろうとして争っている。
見ていると終いにはカモメの上にカモメが重なって立ったのでコーヒーをふきだしてしまいそうになる。

明るい生姜色の髪の毛のチビガキ娘がでっかいラブラドールと一緒に波のなかへ走ってゆく。
「きゅわあああああーい!」と叫んで波から走り出てくると、犬さんとふたりではあはあしておる。

ランギトトの島は、やさしくて、たおやかで、不思議な事にどの方角から見ても似たような山容である。

ベンチの後ろに小さくついているプレートには、「サカグチ」さんという日本人の寄贈者の名前がついていて、1996年になくなったと書いてある。
どんなひとだったんだろうなあー。
きっと会社を退職して、ニュージーランドにやってきて、いつもこの浜辺を散歩していたのではあるまいか、としんみりしたりする。

ニュージーランド人の時間には「余計な時間」がいっぱいあって、ベンチに座っている、という時間のかたまりでも1時間くらいある。
そのくらいは座っていないと、なんだか落ち着かない感じがする。
15分で立っていってしまうと、おいしいお菓子を大切に食べていたのに半分欠けて道におっこちてしまったような、中途半端でやりきれない気持ちになってしまう。

日本にいたときはペースが速い、というよりも時間のひとかたまりが何だか中途半端に短くて、つんのめるような感じだったのを思い出す。
食事というようなものを考えると、日本のひとは食べるのが超人的に速いが、それを別にして、店の閉店が10時であると、10時になればもう日本人の友達は腰が浮いている。
ガメ、もう10時だぞ、という。
わしは、そーだね、とかマヌケな返事をしてます。
せっかくおいしいものを食べたのだから、ちびちびとポルトを飲みながらのんびり話をしたいと思うが、店のひとに悪い、と思うのでしょう、お友達はもう上の空である。

クライストチャーチのミラベルという所にある、いまはもうなくなったレストランで、
友達8人で食事をしたことがあった。
友達の誕生日だったので、シャンパンやワインがどんどん空いて、午後6時にみなでやってきたのに、楽しくて、11時頃まできゃあきゃあゆって笑い転げながら遊んでしまった。
閉店は10時半です。
店のマネージャーの女びとがやってきて、レジをもう締めて鍵をかけてしまったので、お支払いを受け付けられなくなりました、という。
じゃ、どうしますか?と訊くと、店のおごりですね、と笑っています。

もちろん、わしらは、その店が大好きになって、ことあるごとにそこへ出かけた。
マネージャーが、今日はタダじゃないぞ、とビルを払うたびに冗談を言ったりしていた。

マンハッタンでも無論、のんびり客のモニとわしが時間のかたまりを最後まで味わいつくして、どおりゃ、ほんじゃまあ、バーにでも向かうとするか、アメリカ人は「Check,Please!」という不思議な英語を使う、「お勘定」に呼ぶまで、片付けものをしたり、あるいはもっと高級なところなら壁際にじっと立って、待っていてくれる。
ビレッジの小さなレストランなら、店がひけたあとに自分のデートの約束があれば、
「今日は、ガールフレンドとデートの約束してるんだ。もう閉めるしたくしてもいいかい?」と訊きにくるだろう。「バーを片付けるから、あと30分くらい」という。
そーゆーときは、もちろん、心の準備をして30分しないうちに帰る。

日本という国では、なんだかみんなが慌てている。
子供のときは妹とふたりで見ていていつも可笑しがった。
横断歩道を渡るのにも小走りに渡る。歩き方も、ちょちょことしたオモシロイ歩き方で、忍者の影響だろーか、と考えたりした。
あとでトーダイおじさんたちに聞いた知識によるとお侍は右手と右足を一緒にだす、というもっと超絶不思議な歩き方をしていたそうで、重い刀を二本差しにすれば他の歩き方は出来ないという解説だった。
だとすると、あの日本のひと特有で、ミルピタス
https://gamayauber1001.wordpress.com/2009/01/27/milpitas-ミルピタス)/
のようないろいろな国のアジア人がたくさんいる町にいても一目で「日本のひとだ」と区別がつく歩き方は近代以降、もしかしたら兵隊の歩き方なのかもしれません。

塾の帰りらしい子供がふたりで、なにごとか忙しく話しながら歩いてきたと思ったら、わしを追い越して下りのエスカレータに乗る、乗った、と思ったらあっというまにステップに腰掛けて、腰掛けるのと同時に鞄からDSを出してちょこちょこっとふたりでゲームをやって、また仕舞って、すっと立ち上がってすたすたと歩いてゆく。
流れるような動きで、観察してるチョーのんびりのわしのほうは、意識の流れの速度が文化によって絶対に違うのであるな、という訳のわかないことを考えたりしていた。

もっとくだらないことを述べると、ニュージーランドでは国営放送にもコマーシャルがあるが、2分枠で、連続ドラマ仕立てになっているコマーシャルは本編よりも面白かったりすることがある。

書いていておもいだしたが、美しい女びとがシャツにニッカーズの素足でキッチンの電子レンジになにかをいれている。
寝室にいくと、そこにはハンサムなにーちゃんがいて、ふたりは情熱的な抱擁をかわし、女びとは絶頂に達し、にーちゃんは体勢を立て直しておおいかぶさってイッパツやります。
手のひらと手のひらを握り合わせて、ファンファーレが鳴りそーなくらい本格の盛大な情交である。

そこで「チーン」という音がして、電子レンジからとりだしたインスタントパスタを男のもとへもっていく女びと、嬉しそうにうけとるにーちゃん。
電子レンジのタイマーに点滅するオレンジ色の「02:00」(2分間)の表示(^^)
というユーメイで、なんらかの理由により男達に特に安堵と慰藉を与えたイギリスのコマーシャルもそれ自体2分間のコマーシャルだった。

なにかを始めようとする
対象を観察してじっと考える
じゃ、こーゆーふーにやってみればいいかと思って、ゆっくりとりかかる
かかってからも、だいたい日本のひとの倍くらいの時間をかけてゆっくりやります。

考えてみれば、こういう英語人の時間の流れの感覚は牧畜から来ているのかもしれなくて、なんで、いまそんなヘンなことを考えたかというと、羊や牛は周りのものが突然動くのを嫌うからです。
羊などは、ゆっくりで滑らかでない動きのものをみると跳び上がって逃げる。

そんなことゆったって、きみがトロいだけでしょう、というひともいるに違いなくて、実際わしは英語人の社会でも「のんびりすぎて調子が狂う」とよくゆわれる。
わしとテニスをすると最悪で、あれ?打ち返さないのかなあー?と思っていると突然ラケットをふってボールがヘンタイみたいなタイミングで飛んでくるので、やってられない、とよく友達にぶつくさゆわれる。
会話でも、わしの返事をするのがあまりに遅いので、何事か話しかけて答えが返ってくるまで黙っているわしの超々のおーんびりタイミングに慣れるまで大変な修養が必要であるそーです。

しかし、ですね。
日本の社会のタイミングにはどこか「壊れている」ようなところがあると思う。
急いでいるのに上滑りしている、とでもいうような言葉にしにくい、名状しがたい「落ち着いていられない」感じがする。
それはもしかしたら子供のときに自然に接する時間が少なすぎて自然から「時間」を学べなかったのかもしれないし、学校、特に初等教育での時間単位のつくりかたが不自然なかたまりをなしているのかもしれない。
わしは日本のテレビを観なかったのであてずっぽうもいいところだが、テレビの番組のひとつながりが気ぜわしいものなのかもわからない。
レストランでの時間の扱い方の違いを考えたりすると、個人の時間よりも全体の時間が優先されるということかなあー、と思ったりもする。

理由はもちろんわからなくて、それを、これから考えてみよーかなあー、と思っているのです。

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One Response to のおんびりした時計

  1. shiroganedori says:

    そういえば、貴金属加工を始めて3年ぐらい経った頃に思った事が有ります。
    日本人は今のペースを見直さないと、自分の中から出てくるタイプの「ものづくり」は難しいのではないかと。
    何か作業に没頭している間は、時間の流れも体のスケール感も、通常の生活とは全く変わります。

    実物に取り組む時に、日本人は変わるチャンスを持てる。
    自然も、そのひとつですね。

    >個人の時間よりも全体の時間が優先
    ここら辺、日本の生まれ変わりの鍵だな~、と思いました。

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