ナスへの手紙

ナスどん、元気ですか?
この頃はツイッタで話す機会もあまりないが、なんだかひとも多くなっちゃったし、1000人を越えるひとが見ているところでぐだぐだとチョコレートの話をして過ごすというのもヘンなものなので、まあ、そのうちまたヘンなひとが集団であらわれるんだかなんだか、またそういうことが起きてアカウントを変えれば、また初めのうちはナスやすべりひゆやjosicoはんやネナガラくらいしかいないので、そのときにまた、のんびり話をすればいいや、と思う。

モニとふたりで広尾山のアパートにいる頃、わしらが出かける先は東側の下町でなければナスの住む青山で、裏通りのカフェでシャンパンを飲みながら、植木の向こう側を小さな子供の手を引いた若いおかーさんが通ると、もしかしたらナスかなあー、と思ったりしていた。
現実の世界のわしは、たいへん気難しいヘンな人で、仕事の用事で会いたいひとですら、なまなかなことでは会えないのでよくわしに会いたいカネモチおっちゃんたちが「何様だと思ってるんだ!」とゆってキレておる(^^)
ほんとうはナスが知っていた通り、ロンドンにいるというのが見せかけでほんとうはさぼって東京にいたから会うのがめんどくさかった、というだけのことだが、そういう不熱心な人間を仕事の世界で見たことが無い人たちなので、ほんとうのことを説明しても信じなかったでしょう。

わしはモニと親族とむかしからの友達以外に誰とも会うことなしに暮らすのが好きだが、ナスはいつのまにか、わしの心の中で「むかしからの友達」になってしまった。
小さい声で言うと、他人を貶めることに奇妙に巧妙であったりして、そういうことから日本人はあんまり好きになれないな、と思っていたりしたが、ナスやネナガラがわしを日本人を軽蔑する気持ちから救い出してくれたのだと思っています。

ナスが聡明な人だと発見したのは実は義理叔父でわしではなかった(^^)
わしはいつもぼおーとしているので、他人の美点を発見するのも遅い。
義理叔父が、わしがナスについて話すのを聞きながら、「そのひとは自分の頭で考えられるんだな」とゆったのが始まりだった。
ちょうど、…どれだっけ…多分はてな市民のひとびとが大挙して押し寄せた「ニセガイジン」騒動のときではないだろーか。

娘さんがトイレから出てきて、たいへんだあああー、たいへんだあああー、
というので慌てて行ってみたら、
「うんちが手についちゃったあー」とゆった、っちゅうようなことをツイッタで言ってたのはいつごろだったろう?
フクシマが起きる前のことかな。

人間というのはよくよく自分の都合だけで考えるように出来ているもので、東北を津波が襲ったとき、あのするするとのびてゆく、冷たい悪意に満ちた感じがする黒い水の広がりを、モニとふたりでカウチに座って眺めながら、「ナスは東京だし、josicoはブライトンだからな」と自分に言い聞かせていた。だから、大丈夫だ。きっと、大丈夫。

その日のうちにアメリカ人たちからeメールや電話が来て、
「ガメ、あそこにはオンボロの原発がふたつあるのを知ってるか? これはたいへんなことになるかも知れないぞ。多分メルトダウンまでいくだろうと、こっちでは言ってるところだ。
日本の原発技術屋が手順を守らない悪い伝統をもってるのは過去に証明ずみだからな」

わしは日本では3月には風がどっちから吹くかを懸命に思いだそうとして、どうしよう、ナスに教えたほうがいいだろうか?いや、そんな細かいことよりも「とにかく逃げろ。逃げてから考えろ」と言うほうが先だというので、ツイッタとメールで言う事にしたのでした。
もう、その瞬間でも、日本の社会では丁度津波に直面した大川小学校が典型であるように、賢しら顔に意見を述べ立てて議論のために議論をする人びとがいて、すぐにも行動したいひとびとを押しとどめ、ナスが逃げたいと考えても結局は社会からの圧力で、逃げられないかも知れない、と考えていた。

ナスはやっぱり周囲の反対に遭っていた。
普段の生活というものの力はすごいもので、子供の手を引いて西に逃げるというような異常な行動は社会がまるごと逃げ出すのでなければ相当に勇気がある人でもたいへんな決心がなければできない。
抗えないことのようにも思えました。
わしはその頃各国の日本大使館のeメールがリアルタイムで読めるように手はずを整えたりして、ほとんど問答無用の勢い(^^)で帰ってくる、東京の、主に義理叔父とかーちゃんシスターの友達の外国人たちを誘導していた。

ナスがやけのやんぱちみたいなやり方で、世間体も日本語世界の理屈もいっさい無視して神戸に子供を連れて逃げていったときには、わしはコンピュータから離れてモニに告げにいった。
「ナスさん、神戸に行くって」
「神戸って、東京からどのくらい離れてるんだ?」
「500キロ」
「やった。ナスさん、すごい」
ふたりで、やっぱしナスはすごい、ナスがおかーさんで子供は幸せである、と言い合いました。
ナスの勇気に感動して気持ちがたかぶったので、いちゃいちゃもんもんしてしまった。

新しい友達の狐茶が意外なことに事業を始めるために福島県にいて、とりあえず奥さんの家があるタイランドめざして必死の後退戦を始めていたのも知らずに、いつも「男のほうはどうでもいいや」と考える自動的な思考に従って、ナスの脱出を喜んだ日のことを懐かしく思い出す。

わしはオークランドの家で、秋になった庭を眺めています。
明るい青と黄色の羽根をもったカワセミ、キングフィッシャーが物干しのポールのてっぺんに立って辺りを睥睨しておる(^^)
つぐみが、生け垣の下を冒険している。
だいぶん離れたところの生け垣で待ち伏せを実行していた猫が、憮然としてそれを眺めている。

モニがガゼボのベンチに座って、なにごとか傍らのフランス人の女びとと話して笑っている。フランス語で話すときには笑い声までフランス語になるのは不思議な気がする。
子供のときから、ずっと誰かに付き添われて育って、わしと結婚して始めて、わし方針によって付き添いがいなくなったモニは、子供が出来て、また付き添いのひとと一緒に暮らしている。
認めざるを得ない、というか、小さな時からの習慣というものはすごいもので、ひとりのときよりも付き添いの人達がいる生活のほうが、モニにはずっと自然なことのようです。
わしは24時間ぺっとり一緒にいてもらえないのでつまらん。と思うが
でも、モニ遊ぶべ、とゆえば、なにをやっていても放り出して、ちゃんと遊んでもらえるからいいや、ということにした。

ナスどん。
もう知り合ってから5年にもなる。
5年前は、わしはいまにもましてチョーばかたれで、オカネモチの生活なんてくだらんと考えて、世の中で実現可能な無茶苦茶なことには、どういうものがあるか実地にひととおりやってみようと考えていた。
世の中をなめると碌な事はないというが、ほんとうにそうかどうか、やってみんべ、と実証実験の意欲に燃えておった。
毎日、朝おきるたびに、今日はどうやって世の中を驚かしちゃろうか、と考えてでかけていたものでした。
あれから5年経っても、わしは相変わらずバカタレだが、成熟したオトナを装うという悪知恵をすべりひゆから仕入れて、実装してある。
知らないひとが見ると、まるで常識があるひとみたいに見えるもののよーである(^^)

「会ったことがない友達」というものが出来たのは、わしには初めての経験だが、考えてみるとナスどんは、いつのまにかわしの心のなかで大切な友達に育っているので、いちどはちゃんと述べておきたいと考えました。
なんの運か、あるいはたまづさが怨霊の祟りか日本語インターネット世界においてだけは、こっちからは何も言ってやっているわけではないのに、自発的にのぞき見に来たあげく、集団でナマハゲみたいな「わし賢いんだぞ、おまえバカだろう」のひとびとが襲ってきて、思い出しても懐かしい「ガイジン死ね」から始まって「ニセガイジン、笑わせるな」で、しばらくして話の整合性がなくなると今度はまた違う「オピニオンリーダー」があらわれて「白豚死ね」で、わしはナスどんたちと遊んでいるだけなのに、あんさんらはなんの用事がありますのや、と思うことが多かったが、ナスどんは一緒にびっくりしたり、くすくすおかしがったりしながら、いつも一緒にいてくれた。
なぜ、わしと一緒でいいや、と思うに至ったかは見当がつかないが、友達が多いわりに、「友達なんか、いらん」と恐ろしいことをゆったりするわしであってなお、ナスみたい友達がいるのは、いいなあ、と思う。

ふたりでクソジジイとクソババアになるまで、友達でいたいと考えます。
わしはひどい人見知りだが、いつか会う決心をするときがくるだろう。
わしは自分では意外と、ブログ記事に書いたまんまだと思う。
だから、あんまり驚かないかなあー。
モニさんはチョー綺麗なひとで、どんなに事前に心の準備をしている人でも、やはりぶっくらこいちまうようだ。

いつかナスが言っていたように、会っても会わなくても同じような気もするけど、
少なくともジジイになったら会っても良い感じがする。
そう決めておけば、このクソ世界でジジイになるまで生きていようと思うモチべーチョンになるであろう。

また、話しようね。

でわ

ガメ

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