きそくえんえん

あんまし日本て自分には向いてない社会だったなあーと思う第一の理由は、なにしろ日本という国はめったらやたらに規則が多い国で、もともとチョーええかげんな環境で育ったわしからすると、こんなにいっぱい規則あったら、おぼえるのもしんどいわ、と考えたことでした。

「向いてなかった」とゆっても、もとから住むつもりはなかったのだから、ただ何回か遊びに来て滞在しただけでそーゆー言い方をしてはいけないよ、きみ、というひともいるだろーし、実際それはほんとうだが、しかし、だからと言って規則が無暗矢鱈に多くて、普通の人間には守れないほどだった、という事実がなくなるわけではない。

欧州の街では通りで踊り出すひとなどいくらでもいるが、日本では「One in a Million」
Neyoのようにいかにも胡乱なおじちゃんが、いまにもそのヘンの若い衆を押し倒しそうなねーちんたちと公道で踊ったりすると、日本なら「通報しました」というツイッタが流れて、十字架を手に手にかかげた警察の一団があらわれて「日本の職務インクィジションだぞ!」と叫びながらなだれこんで、
「きみ、まさかナイフ所持したりはしてないだろうね」と嫌らしい権力の微笑もものすごく、すごんでみせるところである。

http://www.youtube.com/watch?v=6tpl9LtkRRw&ob=av2e

日本が一個の人格をもった高校の新入生で自己紹介をしたとすると、周囲の社会に規則なんてあったっけ、な、とろい顔をした同級生たちを睨めつけながら
「ぼくの趣味は規則です」といいそうなくらい、それはそうであって、
なんでもかんでも「ほんとうはやってはダメ」なことになっている。

クルマには厳重な「車検」制度があって、ニュージーランドというチョークルマ社会でこれに該当するのはWOF(アジアから来た人には、これを「ウォフ」と呼ぶ人がいるが、それでは犬さんみたいなので、ダブルユーオーエフと読みます)だが、これは10分くらいでブレーキが利いてシートベルトが切れてなくて、クルマが火事になったみたいなまっくろくろすけな排ガスが出なければ合格です。1500円くらい。2000円になると、支払うときに嫌な顔をして「たけーな」とクルマの持ち主はつぶやくだろう。
「車検」のほうは、たしか12万円がところであって、コストからして格が違うが、わしがぶったまげたのは、車検が切れたクルマで道路を走ると「免許停止」になるという法律のほうだった。
山の家と広尾にほうっぽらかしにしてあったクルマが車検が切れていたので懇意のクルマ屋さんに電話して、「運転していくから」とゆったら、「ジョーダンじゃない、ガメ、そんなことしたらたいへんなことになる」と言う。
車検がきれると時効でブレーキが利かなくなる、というような仕掛けがほどこしてあるのかと思ったら、お巡りさんに発見されると、免停になる、ということなので驚いてしまった。

じゃ、トラックを手配するしかないよね、ということになったが、当日になると営業のにーちゃんがドアホンの画面のなかににこやかに立っている。
「トラックどこに駐めたの?」と訊くと、「あっ、ぼくが運転するからいいんです」という。「クルマ屋はつかまっても、すみませーん、お客さんのクルマなんで見逃してくださあーい、とゆえばなんとかなりますから」
そーなのか、へえー、と思ったりした。

きみが若い天才発明家で、斬新な「自分で歩き回ってお掃除するダイソン」みたいな掃除機を発明して売り出そうとしても、そうは問屋がおろさないのであって、PSEを始め、うんたらかんちゃら法がたくさんあって、発売にこぎつけるまでたいへんな苦しみの連続になる。何度もお役所に出かけて、哀願して、ゴマをすって、揉み手をして、すりすりすりとすり寄った姿勢で卑屈にならないとダメであると思われる。
一年くらいすれば卑屈な姿勢が評価されてオカミから許可がでるかもしれません。
ウエスタンデジタルの3TB版パスポートは日本ではえらくのんびり発売されたが、アメリカ業界の噂では、日本の規制を外国企業への嫌がらせと受け取ったWDの社長がキレて、「そんなんだったら、もう日本では3TB版以降は売らなくてもいい」と怒ったからだという専らの噂だった。
クルマでも食品でも、そういうことがたくさんあって、日本という国は他の国の産品は、あんまし売りたくないみたい、というイメージが定着してひさしくなっている。
だから日本政府が「フェア・トレード」などと口走ると、失礼にも、下品な声をあげて「けっけっけっけ」と笑う「米政府高官」が出てきてしまうのです。

この熱狂的な規則好きは相手がさらに弱い立場の「生徒」とかになるとサディズムの様相を呈してきて、わしはある地方名門女子高校の校則を読んでいて、欣喜雀躍したことがある。髪の毛は生え際が隠れるくらいに何センチまで、スカートは膝下2センチとか、わしがよろこびそーなマニアックな細則にみちていたからで、ひょっとするとニッカーズの色は白に限る、とかタンポンの直径は何ミリまで、とか書いてないかと従兄弟とふたりで、はしたなくも、コーフンして期待してしまうほどであった。

閑話休題。

しかも日本の人は健気であって、すべての規則を守ろうとする。
従順そのもの、オカミの味方、ぼくらは優等生だもん愛国はてな団です。
冗談ではなくて単位距離あたりニュージーランドの百倍はあるだろうと思われる、すさまじい数の交通信号機(ところであの信号機はちゃんと公平な落札をしているようにみえないが、誰が落札受注を監視しているのだろう?監視している団体は怠慢なのではないだろうか?)に脇に立って、夜中、見渡してもクルマなんか一台もない深夜の通りに、寂しげな姿で立って、じっと信号が変わるのを待っている、ヤンキーな女の子をみていると、日本だなあー、と思う。
わしは違法な不逞ガイジンなので、信号が赤でもなんでも、わたれそうなら、さっさとわたってしまう。日本人の友達は、「小さな子供がみていてマネしたら大変だから」とゆって、わしがわたっても、ちゃんと信号が変わるのを待っている。
えらいなあー、と思います。

えらいなあー、と思うが、カリフォルニアでも立派に違法なジェイウォーキングで道路をさっさと渡ってしまう。
ときどき、遺伝子に「不法遺伝子」というものがあって、わしらはそれが活性化されてんのとちゃう、と思う事がある。

このまま行くと、カタカナでフクシマと書くのは許されない「フクシマタブー法」とか、教科書にも「福島第一原子力発電所で事故って、格納建築物が爆発してぶっとんじった」とか書いては不穏で、検閲不可であって「福島第一発電所で津波による損壊があったが国民の努力により収束に向かった」とか書かないといけない世の中になると思われるが、日本のひとは必ず、そういう新たな「見えない規則」にも対応してゆくに違いない。
観察していると、日本のひとがそういうオカミ規則雁字搦めのなかで生きていけるのは、自分自身を「オカミの一部」と感じていて、オカミの意向に逆らう人間は、「ゆるせない」と感じるからであるもののよーである。
自分自身をオカミの一部と、あれほど自然に思える国民は他には存在しないので、日本政府は毎日曜日に聖体を授して、「このワインは政府の血、このおにぎりは政府の肉体である」と伽藍のなかで厳かに述べる儀式をもってもよいと思うが、日本の人には宗教的狂信というものを嫌う回路が備わっているので、そーゆーふうな生き方にはならないもののよーでした。

規則への熱狂的な服従はカルトを生むことが知られているが、わしはこれから海辺に遊びにいくところなので、また今度の機会に考えたい、と思います。

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One Response to きそくえんえん

  1. DIO says:

    とにかく安心を求めるという性質は日本人の規則好きに大きく寄与していると思います。「ルールを破る人=自分の安全を脅かす人」ということで、あれだけルールを破る人に厳しいんじゃないですかね。

    面白いのは海外に出てきた日本人でもこの規則大好き文化を引きずってる人が多いように見受けられます。「日本は窮屈で出てきた」などとのたまいながら規則大好きという。ただこういう輩に限って他人にルールを強いる割に自分は範囲外といったダブルスタンダードを好むような気がします。

    自分は「規則が多い集団=未熟な集団」というように考えています。でもこの理屈でいうと日本は未熟な国ということになってしまいますね。ルールから外れる物をどれだけ上手く吸収していくかが社会の成熟度だと思うんですけど、日本は退行していってるのかも知れませんね。

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