Daily Archives: July 16, 2012

SLAPPs

1 食品・種苗各社があれほど怖れられているのは、そのアグレッシブな訴訟戦略のせいである。大きい会社になるとだいたい40人程度の法律部隊をもっていて、自分達の前にたちはだかる相手は一介の中小農場主から企業、有名な論客に至るまで、すべて訴訟の対象にしてきた。 http://tmroe.com/blog/monsanto-and-genetically-engineered-foods-a-study-in-intellectual-property-and-morality-part-3 世界を最も驚かせたのは「世界で最も影響力がある女性」Oprah Winfrey に対する訴訟であって、この訴訟は勝訴をめざしたものではなかった。 単純に相手に訴訟費用を使わせて財政的なダメージと「うんざりさせること」が目的で、実際にオプラ・ウインフリーは訴訟には勝ったものの1ミリオンダラーを失ったと言われている http://www.prwatch.org/prwissues/1997Q2/eat.html SLAPP(Strategic Lawsuits Against Public Participation)と皮肉な名前で呼ばれる、ケースを積み重ねて訴訟側のスキルがあがるにつれて洗練されたものになってきた。 こういう訴訟は、オプラのような有名人に対して 起こされるものは「Don’t mess with us」というメッセージをこめた象徴的なもので、普段は、たとえばGE種苗会社が支配しているトウモロコシ農場の風下にきみの農場があるとすると、ある日、きみの郵便箱に 「あなたのトウモロコシ畑のトウモロコシから弊社の種苗以来のDNAをもつ花粉がみつかりました。これは窃盗罪あるいは当社特許の侵害にあたるので○○○万円の支払い請求をいたします」 という法律家からの手紙がはいっている。 こういうやりかたは殆どの先進国でまったく合法な上に、手続き上の平仄もあわせやすいので、これからも盛んになってゆくだろうと思われる。 世界でいま起きていることは「食品の工業産品化」とでもいうべきもので、いまの食品生産、たとえばトウモロコシの生産を「農業」という言葉で考えると、イメージをつかめないまま終わってしまう。 SLAPPは「マーケティングとしての法律訴訟」という新しい潮流を生み出したが、当たり前というか、以前には農業の世界にはこういう理屈はもちこまれたことはなかった。 日本はアメリカやニュージーランドのような農業産品輸出国にとっては、(多くの場合不可視の形で)たいへん不正な輸入障壁をもっている。不正直なやりかたで、以前チーズを例にだしたが、一見するとそれほどでもない関税にみえるものが現実の関税は(すべて可視の税金に直して計算すると)800%という途方もないものであったりする。 小麦粉に至ってはそもそも民間には自由に輸入する権利がなくて、オカミが独占的に輸入したものを配給してもらって、それを市場に分配している。 歴史にはよくある皮肉で、日本はここまで、この不公正な制度によって遺伝子工学を武器にした種苗会社などから守られてきた。 日本社会の世界に有名な強烈な排他性が良い方に働いてきたのである。 東北震災がきっかけ、ということになっているが、日本は自国の自動車を筆頭とする工業製品の輸出を伸ばすために、従来の排他的政策をここにきて緩めつつある。 どこの国にいても、わしが目撃してきたことは、「どんなに頑張ってもいつかは世界のスタンダードを受け容れざるをえない」という、良い悪いとはまるで関係のない「事実」だった。現実的な政策をつくるのに長けた国民性の国の国民は、「良い悪い」というようなことを政治や外交について述べるひとがいると一種の幼児的白痴として扱う習慣があるが、現実主義は自分達がした政治的判断の結果だけを問う。 そういう見地からは「モンサントはくる」ので、それがいいことかわるいことか論じたり、モンサントの非人道性をあげつらうことにどの程度実効性があるか、判らない。 ただ、いまの日本のナイーブさで、多国籍食品・種苗会社が日本の排他防壁をのりこえてやってくるときには、どんなことが起きるだろう、とときどき考えてみるだけのことである。 2 「地震、雷、火事、おやじ」という表現を学習した外国人は、この表現はなんだかへんだ、と考える。 地震みたいな「恐怖大王」のようなチョーおっかない天災に較べて、残りのラインアップがしょぼすぎるのではなかろーか。 そう考えながら日本に住んでいるうちに、否応なく理解されるのは「日本では地面は揺れるものである」という日本人なら誰でも当たり前だと思っていることである。 現代社会の「おやじ」がぶちむくれてキレる回数よりも多いくらい揺れる。 モニさんはフランスに生まれてニューヨークで暮らしていたので「地面が揺れる」ような訳のわからない国はすでに感覚的に理解の外だった。 地面が揺れて、日本人なら「おっ、ちょっと揺れたね」程度で、ぎゃああああー、ぐわああああー、どひゃああああー、きゃああああー(<-最後のがモニさん)とふたりで家のなかで煙突からおっこちてきたポサムみたいに走り回ってカウチに飛び乗ったりした挙げ句、はあはあはあ、と肩で息をする、ということを繰り返した。 真に怖ろしいものには現実感がないというが、あの津波 https://gamayauber1001.wordpress.com/2011/03/13/1885/Continue reading

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