ボート遊びの春

1

6メートルが丁度さかいめになっていて、これより短いとピッチングが激しくなってたとえば100キロほどさきのグレートバリア島に行くのは無理である。
7メートルを超えると、今度は、ドライスタックと呼ぶが、8月23日の記事「楽園追放」に使った画像のような、陸の上のボート置き場に置くのにかなりオカネがかかることになる。
7メートル以下なら月NZ$460(3万円)のところがほとんどだが7メートルをこえると600ドルになる。
第一、6メートルのボートと7メートルのボートでは乗り心地が変わらない。
この次に乗り心地が俄然変わる線は13メートル、というようなところだが、13メートルになるとドライスタックは無理でクルマで言えば露天駐車場にあたるバースに停泊することになります。
バースはたいてい15年〜50年というような長期リースで、リースの家と同じに売買することになる。
リースの長さや市場によっておおきく左右されるが、わしがおっきいほうの船を泊めているところは16万ドルだったと思う。
もうひとつボートのトレイラーをひっぱるのはただでも難しいが、7メートルを超えると難行で、わしの家の通りふたつ向こうの家は隣家の11メートルボートとトレーラーがドライブウエイをのぼりきれなくて後ろ向きにずるこけて辷ったあげくラウンジに突っ込まれて家が半壊した(^^)
だからやはりバースに泊めるのが無難だが、バースの維持にかかるコストを考えると、どうせなら20メートルくらいはあるボートにしたほうがよいと思う。

以上の如き理由によってper capitaボート所有率世界一のオークランドでは6メートルから7メートルの艇長のローンチ(エンジンで走るボート)が勤め人の購買目標になっている。たいていディンギイがやや大きくなったくらいの船外機エンジンボート(2万ドルくらい)から始まって3隻目くらいでだいたい10万ドル(650万円)くらいの、この艇長7メートル弱のローンチに至るもののよーである。
http://www.smuggler.co.nz/this_bonito600.php

むかしはもう少し小さいエンジンだったが、いまの主流は「ヤマハ175/200馬力エンジン」です。マーキュリーやジョンディアのエンジンもかなり普及しているが、マーキュリーはもともとが淡水エンジンなので、わしガキの頃は沖合に出て、のんびりしていざ帰るべかしら、と考えるとぶち壊れていて動かない、ということが多かった。
その頃は200馬力のマーキュリーの隣にちっこい10馬力とかのヤマハがくっついてるのが普通で、主エンジンは安いマーキュリーを使っても非常用には信頼性が高いヤマハを予備にしておくのが普通だった。
いまは海でもつかっても問題ないよーだが、それでもヤマハのほうが(高いが)ずっと人気がある。
ジョンディアははっきりゆっていまでもクソエンジンで、どーしよーもない。
名前の通りトラクタのように走ります。

船体は、このクラスでは多少派手に岩礁にぶつけても壊れないモールドのグラスファイバーが人気がある。ちょっと前は、ティンバーにグラスファイバーをはりつけてつくっていたが、いまは敬遠される。
ましてティンバー剥き出しでは維持費だけでもたいへんなので、流行らない。

だいたいちっこいトイレとシャワーがついて船首のキャビンにダブルベッドがあって錨を下ろして眠れるようになっている。
http://rayglass.co.nz/legend/legend-2500/gallery

ハルデザインがよければ最高速力で30ノット(55キロ)くらいでるが、そんなにとばすとエンジン音がうるせーので、通常は20ノットくらいでのんびり行きます。
港湾施設があるところでは12ノット、波止場に船が並んでいるところでは5ノットの時速制限が普通である。
ソナーとGPSは安いのでみなが買う。
日本のFURUNOがトップメーカーである。

日本では6メートルくらいのちっこい船でも免許がいると聞いて「なんで?」と思った事があったが、ニュージーランドでは(あたりまえだが)船を操船するのに免許はいりません。救難連絡以外にVHFを使うためには無線免許がいるが、ふつうはボートにしばらく乗ってからとるので、ボートを買うと、その日から乗って遊ぶ。
沖に出れば、ただのスロットルとクルマと何も変わらないパワーステアリングの「ハンドル」なのでアホでもボートを操れます。
緑や赤のブイの意味と船が近付いてきたら右に避ける、ヨットはすべての船に優先する、そのくらいをおぼえておけば特には困らないと思われる。
桟橋につけたり給油のときには操船の腕がでて、初心のひとはスロットルをふかしすぎて派手にぶつけたりしてクラブのバーから眺めているひとたちを楽しませたりしているが、別にそれで桟橋やボートが壊れるわけでもないので、大過はない。

2

おおきな船(わしが家の場合はヨット)の甲板で、寝転がって満天の星空を眺めるのもよいが、おおきな船は出航準備手配その他がチョーめんどくさいので、結局、小さい7メートルのボートともう少しややおおきめの13メートルのボートのどちらかででかけることが多くなる。
オークランドならたとえばワイヒキ・アイランドというオークランドのCBDから20キロ弱のところに島がある。
http://www.waiheke.co.nz/
http://en.wikipedia.org/wiki/Waiheke_Island
大住宅地でもあれば、ヴィンヤードやレストランが蝟集するオークランド人にとっての週末の観光地でもあります。
日本で言えば、江ノ島+藤沢、だろうか。

この島のまわりには釣りのスポットもたくさんあるので、ボート遊びの目的地になっている。
モニとわしも散歩のようにしてよくでかけます。
自分で船を出すハーバーもあるが、モニとわしの場合は、一時間前に電話をかけると、船をすっかり準備して桟橋にだしておいてもらえる。
クルマででかけてシャンパンやお弁当やなんかがはいったピクニックバスケットと一緒にボートに乗れば、ワイカトの農場地帯にクルマででかけるのと同じことです。

こうやって言葉で書くとバカみたいだが、でかけると必ず「海はいいなあ」と思う。
モニとふたりでボートの後甲板にある小さなカウチに座って、ぼおーんやり夕日を見る。
義理叔父などはニュージーランドに来たときにボートに乗せてやると、いやしいので、すぐ鯛釣りを始めて、調理台でこそこそ刺身をつくって、準備したわさびと醤油をかけて食べて、うめー、チョーうめーと叫んでかーちゃんシスターに嫌がられたりしているが、モニとわしは、あんまり釣りはしません。シャンパンを開けて、サンドイッチを食べながら、波の上に座ってのんびりしているカモメや水中の魚めがけて突進するウミツバメ、あるいはほんとうはもっと南でないといないことになっているペンギンが泳いでいることもある。

夜はもっと素晴らしくて、まっくらな海面の上に、気が遠くなるような数の星が燦めいている。
空を横切って天の川がみえる。
小さいボートだと浅瀬に錨を下ろして、停泊していると波が船をもちあげて、すとん、と落とすことがあるが、その瞬間バッと誰かが海中で巨大なフラッシュライトを焚いたような閃光が光って、一瞬あたりが昼間のように明るくなることがある。
多分夜光虫だと思うが、ほんとうのところは詮索したことがないので判りません。

シャンパンが空になり、ワインに変わって、チーズを頬張りながら、
「まっくらだね」
「静かだな、ガメ」
朝、起きたら、錨がちゃんとかかってなくて、ずうううっと遠くまで流されちゃってたら、おもしろいね、と言い合いながら、クスクス笑いながら眠ります。
人間の世界はなんて楽しいんだろう、と思う。
夜は、どうして、こんなに親しみ深くて、あたたかいのだろう、と考える。

もう最近はだらしがなくなって、どんどん自分の普段の生活をブログ記事に書いてしまうので、どーせ、そのうちこっちも書くに決まってるが、ちいさな飛行機をとばしたり、カヤックで海の上を散歩したり、あるいは去年はモニとふたりでテニスばかりしていたが、今年はゴルフばかりしている。
南島ではゴルフはタダのコースがたくさんある(ポケットにオカネがあるひとは10ドルを箱にいれて払います)がオークランド人はケチなので、強制的にオカネをとる。
モニというひとはスポーツは何にでも天分があるが、ゴルフはたまたまわしのほうが上手なので、左足に7割重心おくのね。腰を回転させるがええだよ、円弧を描くからボールがへんなほういっちゃうのよ、ボールの手前からは直線のつもりでスイングしないとダメですねん、とえらそーにいろいろゆえて、すごく嬉しい(^^)
なにしろモニよりわしが上手にできるものはたいへん限られているので、稀少な経験なんです。

今年は初めてひと冬を通してニュージーランドにいたが、サイテーな経験で、ほとんどうつ病になってしまった。二度と嫌だ、と思う。
毎日雨がふって、考えてみると雨がふって風が吹いてしまうとニュージーランドという国は、ほんとうにやることがなくなってしまう。
スカッシュコートに行ってもモニが上手すぎてボロ負けするだけで、屋内プールで泳ぐのなど、ただいったりきたりするだけなのですぐ飽きてしまう。
思い詰めた顔でラウンジのモニさんのところまで出かけていったら、
モニがわしの顔をみるなりニッと笑って、「来年は冬はニュージーランドでなくてもいいぞ、ガメ」という。
ぜんぶ、ばれている。
欣喜雀躍しました。

もう少しすれば、地中海に面した国は、どっこおおおーんとおとーさんになって、その後、2年もすれば落ち着くだろうから、そしたら地中海沿岸の、たとえばコスタブラバに引っ越しちまうべ、と考えている。
子供はどうしても不良に育ってもらいたいが、不良は不良らしく4カ国語くらいは母語なみに話してもらいたいので、その点でもニュージーランドは不適である。
わしはみっつある自分のボートのなかでも、いちばんちっこいボートが大好きなので、アメリカ人の友達に「ハーキュリーズで運べないかな」と相談したら、
悪い事は言わないからフランスかどっかで作ってもらえ、と説教されてしまった。

地中海でスキューバダイビングをやればタコが食べられるよねー、と考える。
ヌーボー・オリーブオイル、タコのカルパッチョ、ぬひひひ、と考えます。
もう一回くらい人間をやってもいい感じがする。

そのときもモニと一緒じゃないと嫌だけど。

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One Response to ボート遊びの春

  1. odakin says:

    ガメさんうつぎみだったんか。。
    子供産んだ後は女の人のほうが(たぶんホルモンとかそういう影響もあって)大変だから、二人とも気をつけて。自分とおくさん両方をいたわってあげてください。(ガメさんには言うまでもないだろうが自分も大事にね。)

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