明日のための移民講座(その2)

BCN12

オーストラリアの首相はウエールズ人である。
ジュリア・ギラードは5歳のときに温暖な気候を求めて両親とともにオーストラリアのアデレードに越してきたひとです。
日本に引き写して言うと吉林省に生まれた中国人の両親に伴われて子供の時に岡山に越してきた女の子が日本の首相になるのと本質的に変わらない。

移民として国が受けいれるのは、まず第一に自国に人材がいない技能をもつひとで、日本ならば、この数年人材がなくて苦しみぬいているのは首相という職業だが、中国の人をつれてきて、「今日からあんた首相ね」をすると、次の週にはいきなり日本がチベットとまったく同じ理屈で「自治区」になってしまい。
アメリカが奪還しようとしても「内政問題だから、あんたの知ったこっちゃない」と言われてしまうので、あんまり名案でもないよーな気がする。

JASRACに巣食う「くれくれ族」の狩りに遭って、気息奄々の日本の音楽世界などは、感性が極めて似ているスリランカあたりから大量にミュージシャンに来てもらうと助かると思うが、基幹産業に目をむけるとIT人があまりまくっているインドのひとびとに大挙やってきてもらう、というような方法も良い方法であると思われる。
移民によって日本のIT化を企図する場合には、せこい審査など設けないで、どおおーんとインドのIT企業ごと来てもらえばいいのに、と思う。
日立やT芝などは、あっても、しょもない原子炉をつくったりして碌なことをしないので、まるごと差し上げてしまえばよいのでわ、と考える。
インドの人間の育て方はアメリカのようなやり方と違ってアジア的なので日本のエンジニアのなかにもインド式マネジメントで生き返ってしまいそうなひとがたくさんいる。

中国人は日本人も含めてアジア人をバカにしまくって暮らしている、というか、ほんとうに自分たちに較べると「劣等」だと思い込んでいるひとが多いが、この手の人と話しているとインド人にだけは、隠しても色には出にけり、そこはかとなく漂う劣等感があるよーに見える。
中国人にとって「カッチョイイ教養」というのは、英語がへろへろと話せて、数学、というよりも暗算がばっちしピタと出来ることだが、インド人は実はこの両方とも得意です。
どうもそれで中国人はインド人が苦手であるらしい。

インド人の欠点といえば、いわずとしれて、ムンバイの通りを歩く白人女性はすれ違いざまおっぱいを鷲摑みされないように気をつけなさいとガイドブックに書かれるほどの性的な粗野と男尊女卑だが、これも日本の社会ほどは酷くはないので、返って日本の男びととインド人と気があうのではなかろーか。

…と、いうふうに考えてゆくと、日本が移民を受けいれるさいに、他国並に英語試験を課したほうがよいのが判ってくる。
いまはいろいろもっともらしい能書きをつけて試験をやっているらしいが、子供のときから移民に英語試験を課することの是非を議論する番組をずっと観てきた人間には、歴史性から英語試験がもともと「大量の中国人移民が流入する」ことの歯止めとして採用された制度であることをよく知っている。
言わないだけです。

中国のひとは、呆れるほど英語ができない人が多いので、特別な技能がない中国人移民の流入を防ぐには、いろいろやってみて、英語試験が最も有効であるということになった。
現在は旧英連邦諸国はIELTSで、アメリカはTOEFLの点数をもとに審査しているのだと思われる。

わし自身、論理的には連合王国からニュージーランドへの移民のはずだが、パスポートは(特殊な事情により)「ください」とゆってもらっただけであるし、連合王国とニュージーランドという国はりょーほーともチョーええかげんな国なので、パスポートを両方もっていて、極端に言えば今日はイギリス人だもんねー、来週はニュージーランド人だけど、とゆって暮らしている。

パスポートをジャグって遊んでも連合王国のパスポートで出てニュージーランドのパスポートで帰ってきたりするとえらいことになるが、それだけ気を付ければダイジョーブである。

アクセントを変えて遊んだりする。
第一、無茶苦茶なことにイギリス人たちは、わしがイギリスにいるのだと思い込んでいる(^^)

だから自分が移民であると考えてもいまいちしっくり来ないが、移民社会の良い点は毎日、明然と享受しているので、いくらでも述べ立てることが出来る。

まず社会にとって最も重要なことは、他国に行ってハンディキャップをものともせずに幸福な生活を築こう、と思うひとは余程明るい「進取の気性」に富んだひとであるか、何を話しても常に全然関係も脈絡もない返事が返ってくる村上レイのように根本から世の中を誤解しているかのどちらかで、村上レイのような変人は数が少ないから無視するとして、移民が増えると世の中が明るくなる。

前にこのブログ記事で書いたのをおぼえているが、去年のクリスマス、ボタニーダウンズ
http://www.aktnz.co.nz/2011/12/19/botany-town-centre-shows-the-way/
というオークランドでいっちゃん大規模なモールの駐車場でぼんやり立っていたら、
インド人の夫婦がふたりででっかい板みたいな箱をもってよろけながら歩いてくる。
その周りを、まだちっこい娘と息子がくるくる走り回っておる。
なんじゃ、あれは、と眺めていたら、そのでかい箱は50インチのテレビだった。
普通は店がその日の夕方にタダで配達してくれるものなので自分のクルマでもってゆく人はいないが、その家族のチョー嬉しそうな様子を見れば明らかで、一刻もはやく新しいテレビをつないで大きな画面で家族で遊ぶのが待ちきれないのでした。

移民は少しでも良い生活をするために他国へやってくるが、その「少しでも良い生活」のうち最も重大なのは子供たちの教育であるにしても、「良い生活」のイメージは簡単で、故国にいるときよりも大きなテレビ、故国にいるときよりも大きなクルマ、故国にいるときよりも大きな家という物理的イメージである。
だから、どんどん消費する。
アメリカ、豪州、ニュージーランドというような国が、ときどき崩壊寸前みたいな経済になってへろへろしているのに、そういうピンチにあっても消費は意外に強くて、逆に消費の強さのせいで経済が持ち直してしまうのは、新しい移民の購買力にかなりを負っている。

あるいは移民を受けいれることの良い点は、ひとつの職能の質がえらい勢いで向上することで、そんなに専門的な職業でなくても、たとえば、客にデタラメをこいてばかりいたニュージーランドのコンピュータ店の店員はインドのひとびとが大挙してやってくるに及んで劇的に向上した。会計、プログラミング、システムインテグレーション、…移民がたくさんくることによって質があっというまに向上した職種は数がしれない。

当然、もともと住んでいる側では「明日から来なくていいからね」になってしまったひとがたくさんいて、移民で社会が活性化されたといっても、活性化されて生産性が向上した社会の陰では、職を失った「誰にも必要とされない人」がたくさん出ることになった。
ついでに述べておくと、この弾き出されてしまった「誰にも必要とされないひと」の半分くらいは、他の国に行って新規まき直しを図るひとが多いよーだ。
不思議なことに、と書きかけて気が変わったが、考えてみればあたりまえで、新しい土地に行けば、連合王国で無用な人であった役立たずも、まるで違うスーパーマンになるチャンスをもつ。
新しい人になって、俄然エンジンが動き始める、という例が多いようである。

多くの人が、くっ、下らない、と述べるだろうが、わしにとっては、世の中なんど、細部しか重要なことはないので、枝葉末梢の些末を述べ立てると、移民の大集団の登場で食べ物の質が向上したのは画期的なことだった。
特にインド料理においてそうで、いまは世界のなかでもオークランドはヨハネスブルグ、ロンドンについで3番目くらいのインド料理の質の高さです。
インド人の友人たちも、みな、同意する。
インドの本国よりもうまい店が多い。

ロンドンやヨハネスブルグと異なって「コンテンポラリ・インディアン」がないのが欠点だが、これはロンドンやヨハネスブルグにおけるごとき度はずれたカネモチがいない社会の反映で、仕方がない。
ロンドンにおいても、たとえばメイドに頼まずにかーちゃんが自分で掃除している姿などは想像出来ないが、ヨハネスブルグという町も中流以上の家で家の手伝いをするひとが複数いないということは考えられないので、ニュージーランドの男と結婚したヨハネスブルグの女のひとは「メイドがいない生活」に疲れて離婚してしまう人がおおい。
ニュージーランドには南アフリカ人の移民が多いが、このひとたちのうち、故国に戻ってしまうひとたちの理由も、たいていは「メイドが見つからない」という理由であるよーだ。

社会がメードを雇うなら、わしはそのカネでボート買いたい、というさもしい社会なので、そういう健全な社会では、コンテンポラリー・インディアンというようなジャンルよりも、インドの人たちも大好きな、なんちゃらマンチュリアン、というような料理の名前のインド・チャイニーズの店のほうが大流行りする。

オークランドのエスニック料理は、たとえば中国系の料理なら、中華料理、というようなチョーおおざっぱな分類をやっと脱して、ふつーの人でもシシュアン(四川料理)、ガントニーズ(広東料理)、北京料理、香港料理、と意識されるように変わった。
ついでに述べると、日本なら交詢社ビルの上にある店
http://www.rikyu.jp/ginza.html
のようなdecentな味の中華料理店がいくつか出来るようにもなった。

マレーシア料理にしても中国料理の影響を受けたニョニャ、マレージアインディアン、マレージアインドネジアンといろいろある。マレーシアで料理ジャンルとして確立している日本料理の影響をうけたマレーシア料理の店(たいていベジタリアン料理)もあります。

日本で言う出前もあるので、日本風に言い直すと「本格インド料理迅速出前!おひとりからお届けします!」というわけで、わしの大好きな(インド料理好きの)monyop ( ツイッタ @monyop ) どんなどは狂喜のあまりひきつけを起こしてしまうだろうとおもわれる。

ベイブリッジを越えて対岸のノースショアというところへ行けば、韓国のひとたちがたくさん住んでいて、当然のようにキムチや水菜、山菜、チジミ、そういう小皿がわらわらわらとたくさん出てきて全部ただでお代わり自由の韓国料理の無茶苦茶うまいやつが食べられる。日本で言う「カルビ」はガルビで、牛骨にまきまきしてある肉を鋏で切りながら炭火の網で焼いて食べるが、こう言うと日本のひとには嫌がられるかも知れないが、どうも日本の焼き肉店よりも数倍おいしいようです。

もちろん、普段からロシア人、ハンガリー人、クロアチア人、フィジー人、インド人、中国人、ジンバブエ人、アルゼンチン人… というようなひとびとと日常の部分として話して遊んでいると、あんまり深刻な偏見はもちようがなくなる、という美点もあるよーだ。

移民で他国へやってくるひとというのは、故国の水準よりも遙かに高い能力のレベルをもったひとなので、その国の「ダメな部分」は見えにくいが、オークランドは、なんだかチューリヒについで世界で3番目に生活の質が高い(^^;)町である(1位はたしかウイーン。この町選びをした委員たちはおいしい菓子のあるカフェが好きなひとびとであったに違いない)とかで、こうやってブログ記事を書いているあいだにも、緊張した面持ちで入国許可を待っているひとたちがいる。

当初はニュージーランド人がほとんどこぞって反対した移民政策に、いまではスキンヘッズのハゲどもでさえ文句を言わなくなったのは、このあいだもハゲ頭にクローブを挿すみたいにピアスを刺しまくって、顔から爪先まで刺青をしたバカアアアアーな感じのにーちゃんがインド料理のテイクアウエィを抱えていそいそとクルマに乗り込むのをみたが、アホはアホなりに、おいしいチキン・アルフェラジーの店をみつけたかなんかして、「世界って、おれが考えていたよりいいものがたくさんあるところだったんだな」と納得したのだと思われる。

怖がらないでドアを開ければ、そこからはいってくるのは魑魅魍魎であるよりも、自分達が見たこともない魅力的なひとびとで、自分はなんて狭量でものを知らないバカタレであったのだろう、と我が身を蹴飛ばしたくなるもののよーです。

(ユウキヲダセニッポンジン)

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One Response to 明日のための移民講座(その2)

  1. コメント欄ではお初です。遡りながら読んで印象深かったのにも年末年始休みでぼちぼちとコメントつけさせて頂こうかと思っております。

    自治区の下りとか内政問題化して奪還できないとかの下りは、それを狙ってたんじゃないかと思われる政治家が権力の座にいた時に考えた事があって思い出して笑ってしまいました(笑いごとでは済まされないのですがw)

    さて、自分の住んでる東京の西葛西辺りは、日本の中でも一番インド人が多いと云われているらしく、原発事故の後でも少なくとも激減はしていない様です。その他中国系や韓国系やその他の移民の方の会話を日常的に耳にしているのですが、特にこの辺の住人がオープンハートというよりは、東京の住人の大半がもともと移り住んできた人々かその子孫であるせいなのかなとか思ったりします。

    消極的な移民政策として、特に裕福であったり、特に技能に優れているワケでもない人々でも移り住んでこられるという方策もアリなのかなと。日本の政府の欺瞞にも、99%には無害だが残り1%には100%で危険だという環境にも、自国に残った場合の暮らし向きなどと比べて、リスクとして受け入れている様に思われます。これは日本に残った日本人達にとっても同じなのかなと。

    職場の方でも、金融やIT関係でも、欧州系からアジア系までまだ様々な人々が残っていますが、原発事故直後に戻られた人々が多数いた事もまた事実です。竹島や尖閣で同僚レベルの言葉でも今まで聞き覚えがないほど激しい内容が増えてきてもいますが、並行して、逆戻り出来ない程に、日本人が意識しているよりも深く移民の人達が社会に根差してきているのを見て、何とかなりそうかなとぼんやりと思ったりしています。

コメントをここに書いてね書いてね

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