Daily Archives: February 22, 2013

愛国心

現代の最も重要なドキュメンタリ映画作家のひとりであるNahid Persson Sarvestaniの亡命王妃Farah Pahlaviを描いた素晴らしい映画「The Queen and I」のなかで王室支持のイラン人がもってきたイランの土をFarah王妃が、手のひらにとって、「これはNiavaranの土だわね」と呟きながら、じっと見入る場面がある。 映画自体、王と王妃を追い出す政治運動に「17歳の共産主義者」として参加したNahid Persson Sarvestaniと追い出された王妃Farah Pahlaviの奇妙な、しかし哀切な感じがする友情を描いた傑作だが、映画をみているうちにふつうの人間ならば普段は考えない「愛国心」というようなことについて考えてしまう映画でもある。 イギリス人は愛国心というようなことはまともな人間が口に出すのは恥ずかしいことだと考える。 深い意味はなくて、食べ物を食べるときに音を立てるのは下品であるとか、まして舌鼓を打つなんてとんでもない、というようなことのほうに近い。 ユニオンジャックを打ち振りながら外国人排斥なり、同じくらいケーハクななんらかの政治的メッセージを叫びながら練り歩いても、沿道のひとの反応は「そんなにユニオンジャックが好きならパンツにして穿け」「ピーピーの染みをつくるなよ」と言われてげらげら笑われて終わりだろう。 もしかすると中には「愛国ファン」みたいなヘンタイみたいなのがいるのかも知れないが、愛国心のほうでは明かに迷惑をするだろうと思われる。 共産主義の理想を信じて王政打倒の運動に参加したPersson Sarvestaniは、そのあとにくるはずだった(アヤトラ・ホメイニが約束した)民主主義の社会はあらわれず、その代わりにムスリム独裁の恐怖政治があらわれたことに失望する。 当時17歳だった弟が警察に連行されて処刑されると、すべてを捨ててドゥバイに密航する。 いまはたしかスウェーデンに住んでいるはずである。 一方の王妃ファラもサダト大統領のエジプトに逃れ、やがてサダトが暗殺されるとパリに逃れてゆく。 イラン革命が達成され王室が国外に逃れた次の週に、高校生の女の子達が「今度の政府は女はみなスカーフをかぶるようにと言い出すに決まっている、って噂があるのよ」と言って笑い転げている。 少なくとも表面はフランス的な社会だった革命前のイランではスカーフの着用などはイラン人に共通な偏見である「野蛮で粗野なアラビア人」たちの風習にすぎなかったからです。 ところが、その週の週末には政府は実際にスカーフで髪を隠すことを法律化する。 シャリーア http://en.wikipedia.org/wiki/Sharia が国法になってしまった。 「石打ちの刑も復活した」と欧州で会ったイランの女びとが言うので、相変わらず世界のことに関心をもたないでノーテンキな暮らしを続けていたわしは驚いてしまったことがある。「あれは石が大きすぎても小さすぎてもいけないの。小さくては苦痛が与えられないし、大きすぎると、苦しまないですぐ死んでしまうでしょう? 結婚もしないで性交渉をもつような女は、苦しみ抜いて死ななければいけないのよ」 「イスラム社会は女にとっては地獄そのものでしかない」 Persson Sarvestaniの映画にも処刑場で拾われた、血がべっとりとついた石が出てくる。 ウクライナ人たちは、「世界でいちばん素晴らしい国はウクライナさ」という。 ひとりの例外もないよーだ。 食べ物がうまい。 お菓子も世界一。 人間が素晴らしい。 底抜けに親切なんだぜ、みんな。 冬にはみなで集まって酒を飲む。 しまいには、酔っ払って「女の子たちも、すげー綺麗だからな! ガメ、キエフに来たらとびきりの美人に紹介するよ!」と言って、モニさんにものすごく怖い顔でにらまれたりしている(^^) いつかウクライナに帰るの?と訊くと、どのウクライナ人も爆笑して、「絶対、帰らない」という。ろくな仕事がないしね。 社会のインフラもぼろぼろで、生活の不便がおおすぎる。 … Continue reading

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