Daily Archives: March 17, 2013

TPP

世界中で最もTPPが話題になっているのは日本だと思う。 もっかTPPいいだしっぺの国に住んでいるわしがそういうのだから間違いはないのではなかろーか。 ニュージーランドでも、グローバリズム反対の運動家のひとびとがTPPに反対している、という小さなニュースを二三度みたことがある。 しかし、ふつーのひとは、「TPPって、まだあれやってたのか」というくらいの反応で、最近になって「日本でTPPに反対する運動が盛り上がっている」というニュースが英語圏で立て続けに流れて、へえええー、日本の人ってTPPに反対なんだ、韓国と同じで農家が嫌がっているのだな、と思う、その程度だと思います。 だから、よもや自分がブログ記事でTPPについて書くことになるとは思わなかったが、ツイッタ上のお友達にジャンミンとさよりさんというTPPには虫酸が走るひとびとがいるのであって、約束したので140文字の制約がない文章で説明をこころみることになった。 チョーめんどくさいと思うが、約束は約束である。 まず背景から説明しないとわかるわけがない。 ニュージーランドは産品を輸出しないとやっていけない国なので、ワインだの乳製品だのを他の国に売らないと国がつぶれてしまう。 むかしはアルミニウムの精錬や日本や連合王国やアメリカの会社に来てもらってクルマを製造して稼ごうと考えたことがあったが、「国内産業を保護する」ということがいかに国民ひとりひとりのふところに打撃がおおきいかわかったので、やめることにした。 別に保護しなくても他国と競争して勝てる産業を野放しにしておく方針のほうが国民ひとりひとりの懐がゆたかになるのがわかったからです。 アルミニウムの精錬は大金を投資したが、全部ぶちすてることに決めた。 クルマは特殊なことをするのはやめて、日本やドイツ、フランスから輸入すればいいやん、ということになった。 農業は主に有機農業産品が伸びて収益も高いが、牧場で育てるものでいうと、かつてはニュージーランドのアイコンであった羊は激減することになった。 もともと羊農家の運命は60年代の終わりに「ジーンズ」が流行りだしたことによって決まったようなものだった。 ウルは人気がなくなってコットンが原料のものが世界中であっというまに広まっていった時点で産業としてはダメなのがわかっていた。 もうひとつ羊毛を刈ったりして羊は手間がかかる上に、草を食べるときに文字通り根こそぎ食べてしまうので、ひとつのパドックで飼う、というわけにはいかなくて、あちこち群れを動かさねばならないのでチョーめんどくさい。 1990年代においては土地が500エーカー(61万3千坪)あれば赤字でなくて損益が均衡すると言われていたが、いまは500エーカーなんかではぜんぜんダメで倍はないと無理と思う。 「羊毛」という需要がほぼ消滅したような市場で人件費がずっと安い中国ともろに競争しなければならないからで、まだオタゴを中心に羊を飼っている農家は、たとえばわしの友達でいうと、3000エーカーほどの土地の半分はデイリーカウで、残りのまだ荒れ地に近いほうのパドックで羊を飼っている。 羊毛は赤字でラム肉が黒字、両方あわせてちょっと黒字、利益のおおかたは牛さん、という感じであるよーだ。 ボルジャーの時代にニュージーランドは、簡単に言えば「めんどくさいことはやめる」という方策をとることにした。 いろいろ理由をつけて郵政を民営化してしまったり関税をどんどん撤廃したりして「自由貿易国家」を自称しつつあるが、ほんとうの理由は障壁を残しておくと役人の力が増大して役人の力が増大すると、バカなことばかりいいだして、ものすごい金額の税金がどっかへ行ってしまうからである。 いま70代のニュージーランド人たちは、クルマを、当時はニュージーランドの委任統治領だったフィジーで買う人が多かった。 具体的な税率は忘れてしまったが、300%だかなんだかの税率で、クルマがないと生きていけるわけがない当時のニュージーランドで、なんでそんなバカなことをやっていたかというと、ネルソンやなんかで細々とやっていたホールデンやモリスを「保護育成」しようとしていたからだった。 だからフィジーで学校の先生をしたりすると、フォードを買って帰ってきた。 そこから先はこのブログでは何度も書いたことなので繰り返さないが、年金制度国民保険制度、失業保険というような社会保障にこだわるあまり、国の倒産寸前まで行って、ボルジャーの代になって、「あれは無政府になるまでやるな」と冗談が国民のあいだで行われるほど政府を小さくした。 役人の数と権限を減らして、なんでもかんでも民間でまかなうことにした。 外国資本に対する制限も大幅に撤廃したので、途中ではものすごいことがたくさん起こって、森林で有名だったある地域の木が、ほぼ一瞬で借り倒されてなくなってしまう。 ニュージーランド人はもともとは私有地といえども公共性を考える、ということが常識で、たとえば、南島のオタゴの農場はトランピングで歩いてゆくひとたちのために農場のゲートに鍵をかけたりはしないことになっている。 その代わり、トランピングで歩いて移動するひとたちは、パドックの動物が逃げてしまわないように必ず閂をおろしてゆく。 Shania Twain http://en.wikipedia.org/wiki/Shania_Twain が巨大な農場を買ったときに、そういうことが判らないで、ゲートに鍵をかけたことにニュージーランド人が憤激して大騒ぎになったのは、カナダ人であるShania Twainがそういうニュージーランドの習慣を無視したからだった。 ところがゲートに鍵をかけるどころか「自分の土地だから」という理由で景観の中心をなす木をえらい勢いで切り倒してしまったひとが出て、あわててテレビ局が調べてみると、マレーシア国籍の中国人たちが一帯の森を買い占めていた。 あるいは、こちらはもっとずっとあとのことになるが、やはり中国系企業群がいつのまにか主立った酪農農場を買い占めているのが発覚して大騒ぎになった。 それが商売なので新聞記者たちが調査してみると、この「中国系企業群」がどうやら実はひとりの中国人の女の人が名義上は持ち主で、しかもほんとうの持ち主は中国政府らしいことがわかって大騒ぎはいやましになる。 いったんは、デイリーボード(酪農組合っす)の主張がとおって農場の売買契約は無効になったが、中国側が控訴して、結局は手続き上瑕疵がないのだから契約は有効だということになって、ニュージーランド人たちの不満をよそに農場は実質的に中国のものになった。 スーパーマーケットに目をうつすと、ここはオーストラリア資本とニュージーランド資本の争いで、パックンセーブ http://www.paknsave.co.nz/ とニューワールド http://www.newworld.co.nz/ … Continue reading

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