Daily Archives: May 9, 2013

逮捕する

2011年の春に出版されたルーシー・ブラックマン事件についてのすぐれたノンフィクション、「People Who Eat Darkness: The Fate of Lucie Blackman」(Richard Lloyde Parry) http://www.guardian.co.uk/books/2011/feb/27/people-who-eat-darkness-lucie-blackman-review には、ルーシー・ブラックマンの父親が日本の警察を訪れて、警察官たちが働く部屋のなかにコンピュータスクリーンが見あたらないのを見て、「こんな原始的な警察に捜査ができるだろうか?」と不安に陥るところがでてくる。 結局、言を左右にして捜査をさぼり続ける日本の警察に失望した父親は、たまたま日本に来日した、当時の連合王国の首相トニー・ブレアに直接面会して日本の警察に捜査を始めるように圧力をかけてもらうように懇願し、話の内容に呆れかえったブレア首相は、異例どころの話ではないが、日本の森首相に要望を申し入れ、森首相は警察トップを呼んで厳重に捜査を申し渡したもののよーである。 時代劇ならば、ここで警察官僚は恐れ入って大布陣を張って捜査を開始するところだが、現実の日本警察はシブイ役所なので、それでもああだこうだと言ってマジメに仕事をしない。 「お偉いさんには現場はわからん」という反抗心があるのでしょう。 トニー・ブレアは、イギリス本国でも事件がおおきなニュースになってきたのを見て、日本の警察に仕事をしてくれるように懇願するために高官を派遣する。 しまいには顔を真っ赤にして怒る高官を前にしても、シブイというか、プロいというか、日本の警察幹部は、まあ、がんばりますから、という調子で全然仕事をしようとしない。 日本にいたときに最も驚かされたのは警察のありかたで、中国の警察どころかミャンマーの警察よりも、もっと酷いのではないか、と考えることがおおかった。 わかりにくいこともたくさんあった。 「職務質問」というものがあったが、なぜこれで犯罪を防げるのか理解するのが難しかった。 誤解されると困るので慌てて説明する。 街頭で道行く人を見ていて、「長年の経験」から「挙動不審者」を発見して尋問する、というのは群衆にまぎれている犯罪者を発見するには良い方法なのである。 警察官の側に立って想像してみれば、それはほとんど「当たり前」のことに属するだろうと思われる。 あるいは顔をおぼえてさえいる「地元のごろつき」を職務質問して軽く恫喝をくわえるというのは、犯罪で「食っている」箸にも棒にもかからないおっちゃんたちを抑止するには極めて有効であるだろう。 だが職務質問を端緒にして犯罪者を逮捕できるというのは、法治社会ではありえないことである。 なぜ?って、だって職務質問は違法でんねん。 (こう書くと日本のひとは必ず「これこれこういう場合は違法ではないから一概に言い切ることは出来ない」と憤慨の面持ちで言ってくるが、悪い事はいわぬ、そんな「正しさ」は自分の虫かごにでもいれて、帰って寝なさい。おかーさんに添い寝してもらえば、蒸し暑い夜でもよく眠れるであろう) 捜査のどの過程でも違法な手続きがあれば容疑者が無罪になるのは法治社会の常識で、のっけから「あんた悪いことやってんじゃないの?」から始まって、たまたま見つけた犯罪など裁判で有罪になりようがない。 ところが日本では有罪になるものであるらしい。 恫喝も、相手が「悪い人」なら全然OKです。 いや、それはですね、大陸法が法治主義で英米法は法支配で、とかゆわないよーに。 わしは、そういう話をしているのではない。 職務質問で、「ちょっと来い、おまえ」をされた元国家公安委員長のブログ記事 http://www.liberal-shirakawa.net/dissertation/policestate.html を読むと、日本の警察では遵法精神が退廃して「法律なんかどうでもいい」という気分が充満しているのが看てとれる。 警察が法律を守らないのでは悪い皮肉で書かれたSFの社会のようだが、日本ではそれが現実であるらしい。 もう何度も書いたが日本語ではまったく報道されないが日本にいる外国人のあいだではあまねく知れ渡っていた事件に、新宿で、「紀伊國屋書店はどこにあるか?」と道を訊きに交番へはいってきた74歳のアメリカ人観光客に唐突に「ナイフをもっているか?」と尋ねて、アメリカ人じーちゃんが小さなポケットナイフをみせたら、いきなり留置所にぶちこまれた、という(日本にいる外国人のあいだでは)有名な事件があった。 http://www.japantimes.co.jp/community/2009/07/28/voices/pocket-knife-lands-tourist-74-in-lockup-2/#.UYrVM-AoP8s あるいは、こっちは日本社会からは見えないようにするために閉じたコミュニティの内部のフォーラムなので具体的な内容を明かすわけにはいかないが、まだなれない日本で夫が十日間も行方不明になってパニックに陥ったアメリカ人の妻が、大使館に通報し、アメリカ大使館が手をつくして調べたら、夫は日本の警察に拘束されていて、家族との連絡を禁じられている状態であることがわかった、という出来事があった。 … Continue reading

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