割れた貯金箱

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消費税と国債の大量発行には似たところがある。
どちらも貧乏人にカネモチが荷を背負わせるための仕掛けであるところと、露骨な貧乏人踏みつけ策であるのに当の貧乏人が自分達への苛斂誅求であると意識されにくくつくってあるところがたいへんに似ていると思う。

日本では「日本の国債は同じ日本人自身が買っているから財政危険を招くわけはない」ということになっていて、これは実は70年代に支配層間で盛んに言われた事のコピーである。
国債発行高が小さい経済環境ではまったくの(疑いのない)事実であるにすぎないこの理屈をたくさんの日本人が直感的に、この時点で聞かされるのは「ヘン」だ、と感じるのは、「勘」の拠り所として「ほんとうにそんなに大丈夫なのだったら景気振興のために税金など徴収するのはやめてしまって予算を全部国債発行で賄うことにしたらどうか?」という架空な思考実験的疑問への解答を考えてみればわかるが、本来は、実は国債にいまほどの引き受け手がある経済環境のほうが異常なので、いま程度の国債発行額でも、その異常さに依存していることを「普通人」の感覚で見抜いているからだと思われるが、いまはそれはおいておく。

ものの売買は異なるふたりのひとで起きることを考えれば「同じ日本人」と言っても国籍がおなじだけで売っているのと買っているのは違うひとたちであるのはあきらかだろう。
もっと簡単に言えば国債を買っているのは2%という、一億円国債を買ってやっと200万円という話にならない低リターンで財産の運営を企画することができる「富裕な誰か」であり、売っているのは「その他おおぜい」のビンボ人の集合である日本人の99%である。
国債は借金なので約束の期日がくれば償還せねばならない。
借金を返さなければならないが、利息も払わねばならない。
誰が払うのかというと国債を集団で売り込んだビンボ人が払う。
自分で意識していないだけで、なんのことはない、国という窓口を通じて富裕層からオカネを借りまくって生活しているだけです。
だから国債を発行すればするだけ個々のビンボ人はビンボになってゆく。

消費税も同じことで、たとえば、わしがいまいるイタリアの消費税(IVA)は生活必需品(パン5%家の修繕10%など)を除けば23%だが、価格タグは税金込みの表示なので何か買う度に4分の1近くも税金を取られていると普通のひとの意識にのぼることはない。

カネモチはそういうことがいちいち意識にのぼるからカネモチなので、1億円のヨットを買って2300万円も税金を取られてはかなわないので、クロアチアかどこか税金が安い国で買って、自分の国まで回航する。
ニュージーランドのカネモチならば、自分で2万キロを回航するのはたいへんなのでオーストラリアやニュージーランド、アメリカに多い専門の回航屋にもってきてもらう。
もってきてもらってニュージーランド船籍にすると、そこで15%の消費税(GST)を取られてしまうので、船籍はカリブ海のどっかの国で税金がかからないところにする。

そういうことどもをいちいち手配するのはたいへんなので、アメリカやニュージーランドにはめんどくさい手配をいっさいやって、オカネさえ払えば太平洋の向こうからヨットを運んできてくれる会社がいくつもあります。

国家のほうからみれば徴税のコツは「なるべく政治的力をもたない集団」から「なるべく気付かれないようにこっそり」税金を徴収することで、露骨でマンガ的な例を挙げると、たとえば税金ではないことになっている税金である日本の会社員から徴収する社会保険・厚生年金料は会社員のほうが給与票を眺めて「ああ、おれは4万円保険料を払っているのだな」と思っているときには、実は会社から給料として支払われる前の段階でもう4万円会社員本人に代わって支払っているので、ほんとうは8万円支払っている。
なんとなく書いていても子供だましもいいところで、こういう詐術をおもいついた人の心根の卑しさというものが胸に迫るていの「知恵」だが、これは案外有効であることが判明して、たしかいまでも日本では会社員が30万円の月給から4万円の保険料を払っていると思っているときには、実際には34万円の給料から8万円の保険料を払っているという仕組みが続いているはずである。

このあいだ義理叔父お友達グループの、このブログ記事には「トーダイおじさん」の名前ででてくるトンチンカンおじさんたちのひとりから来たメールを読んでいて驚いたが、日本では、このごろは阿漕な下級悪魔でもぶっくらしそうなことには時間給のパートタイマーから保険料を徴収しているという。
なかにはそうではない理由の人もいるのかもしれないが、通常は「パートタイマー」で仕事をするひとというのは生活が苦しいからそういう割の悪い仕事をするので、まともな社会というものは、そういうところからは「正しさ」を盾にとって税金をひっぺがすようにして徴収をしたりしないものだと決まっている。
社会には「隙間」や「余裕」が適度につくられていないと「弱い者」から窒息死していってしまう。
なにによって「決まっている」かといえば人間が文明の長い歴史を通じて育んできた「常識」によって決まっているので、そういうことを理解できない社会がどうなるかはすでに紀元前に「酷吏列伝」(常軌を逸して職務に忠実だった役人の列伝という意味です)を書いた司馬遷が誌している。

日本の人は本来は汚職であることを汚職でないように制度化合法化して見せかけることに昔から巧みで、義理叔父の時代には免許更新のたびに何故か「日本交通協会」というところから「自動的に」買っただけで二度と読まない「交通教本」その他一式を買わされて、証明書に必要な写真も「免許センターのなかで買わなければいけない」のだと言われたというので大笑いしたことがあったが、いまでもパチンコ屋への「天下り」から警備会社の「コンサルタント」に至るまで、なぜか警察にのみ優秀な人材が集中しているらしく、一定数が警察退職後に再就職してゆく。
もっと驚いたのはたとえば天下りが多い警備会社の「パートタイマー」警備員は保険料を天引きされない例がおおいことで、理由は「役所のコネはそういうときのためにある」ということでした。

ベニト・ムッソリーニはコモ湖西岸のDongoで逮捕されて、Mezzegraで処刑されたと前にも書いたが、わしが買った軽井沢に代わる新しい「山の家」は、そのDongoとMezzegraのあいだにある村にある。
チェルノビオにあるかーちゃんやとーちゃんの山荘のまわりは、このチェルノビオからラリオ辺りにまで点在する別荘の持ち主たちの、ある種類の欧州人たちの小さなコミュニティがあって、それが鬱陶しいので、湖畔に降りず山の中腹だけを通って中世そのままの村から村へあるいていける、この辺りに居心地のよい家を買うのがよいだろうと考えた。
結果から言うと失敗で、わしガキの頃には25、6度にしかならなかったコモ湖は、この頃は30度を超えてしまうので暑くて「散歩」どころではない。
前半は、あぢー、と呟きながら教会の庇の下や石作りのトンネルのようになった中世町の隘路をたどって歩いたりしていたが、後半は結局、クルマに乗って、なんのことはない、チェルノビオへでかけて、両親の山荘ですごし、プールで泳いだり、涼しいラウンジでワインを飲んだりして、わしの「安上がり鄙びた山荘計画」はもろくもお日様に負けて崩壊してしまった。

イタリアにおける策源地を新たに選定しないとダメじゃんね、と考えて、ときどき不動産屋をまわります。

かーちゃんととーちゃんの山荘くらいのものは、山荘といっても何億円というよう程度の金額では買えないので、零細なわしとしては、もっと安くないと買えねー、と思うが、
まわっているうちに気がついたのは、2億円を下回ると、その下には、ちっこいホテルの部屋のような4000万円とかの部屋があるだけで真ん中がない。
しかも、Villaと呼ぶような広大な屋敷のほうばかり市場価格は上昇していて、6000万円以下のフラットは、どうみても価格が低下傾向にあるうえに、わしの目でみて、「あと2年、市場がもたないな」という様相を呈している。
買い手が皆で「待ち」にはいったときの典型的な市場である。
なにを「待っ」ているのかというと市場価格の暴落を待っている。
悪い冗談じみているがコモ湖の近辺はジョージ・クルーニーが引っ越していってしまうと、それが引き金になって不動産恐慌になりそうな雲行きである。

バルセロナの不動産価格は2005年くらいに較べるとすでに半額以下になっている。
特に下町はおおざっぱに言って7割減で、しかも銀行のホームローンの条件が住宅を必要とするような人間にとっては冗談にしか聞こえないほど厳しくなったので、いまでも不動産価格はさがるいっぽうです。

ここでも「中間層」を貪り食ってきた現代世界の末期的症状があらわれている。
日本でもアメリカでも欧州でも支配層は「当面の大崩壊を防ぐ」という大義名分のために、たいていの場合中程度の質の大学教育を受けたテクノクラートが多い中間層をくいものにしてきた。
こういうテクノクラートには自分が身につけた専門技能を極めてゆけば、それが豊かさにつながるのだという20世紀的な「職業道徳」めいた信念をもつ人間が多いので、「オカネのことはわからない」だけでなくオカネの問題を正面から見ようとさえしない人間がひしめいているからです。

その結果いま世界で起きていることは、英語のドキュメンタリを観る習慣があるひとならおなじみになった給料日が近づくとランチになる食べ物が捨てられてないかゴミ箱をあさる「一流会社秘書」や、乗客たちが残していった機内食を着陸後にむさぼり食うスチュワーデスやスチュワードの姿によく顕れている。

経済世界がごくごく少数の富裕層と中間層を失って広大な広がりをもつに至ったビンボ人の群れとの二極に分離することは「社会のモラル」というような問題を別にして、消費が「明日の消費」につながらない消費行動になってゆく、という問題がある。
消費行動が飲酒、大型テレビ、というようなより刹那的なものになって、自己教育のための書籍、よりおおきな個人の行動世界を保証するための自動車、あるいは出産・養育というような「明日」につながる消費行動は急激に影をひそめてしまう。

その結果出現するのは、H&Mの華やかなデザインに飾られたせいで一見は貧しくはみえない、だが本質的には資本主義発達初期段階に似ている「困窮者の群れ」であると思われる。

チョーくだらない例を挙げると、この頃はハーンベイやリミュエラ、パーネルというようなオークランドの最高級住宅地を週末の夜中に歩いていると、たいていどこかの家から奇声や大音量の音楽が流れている。
前にはなかったが最近はおなじみの光景で、ニュージーランドの都市の、それが特徴でCBDのすぐそばに高級住宅地があるが、一家族の収入では家を借りることができないので、友達を誘って、あるいはインターネットで広告を出してひとをつのって一軒の家を5人というような人間で借りる。
法律上は5人以上のテナントでひとつの家に住んではいけないことになっているが黙認に近い形で10人、20人で住んでいる家もあります。

個人が寛げるスペースのない家で、しかも職業的な競争も厳しい社会なのでストレスがたまって、ストレスがたまったアングロサクソン族のバカのひとつおぼえ、鯨飲+おお騒ぎのパーティになる。

酔っ払って、適当に組み合わせができて、その辺でワンナイトスタンドの関係をもつ。
わしの目には社会そのものの荒廃が若い衆の魂に及びはじめた姿に映る。

オカネモチたちもパーティを開くのは同じだが、「やけくそ」という面白い表現の日本語がぴったりくるようなフラットメイト同士の大騒ぎはやらず、「やけパーティ」が行われるような、せいぜいファイブベッドルームの家の数倍はある邸宅のなかで、のんびりと行われるだけである。

いまの経済世界では「負荷の拡散」「各国市場の相互監視」「非公開情報の支配層間での交換」によって当然起こるはずだった「破滅」を巧妙に避けている。
しかし経済支配層がやっていることをすぐ傍らで眺めているひとびとが考えていることは、「このごまかしがどこまで続くか」ということだと思う。

ときどき「立ち直る兆しがみえた」というニューズが流れては「いや、ダメでした。また危機の徴候が」と述べている、見え透いた仕掛けのニューズを見ながら、われわれは実体はとうに破滅を迎えている経済世界にもう4年も生きている。

まるで人工生命維持装置のパイプがいっぱいつながった「植物経済」ではないか、と凍死家たちはよく冗談を言うが、そう言って笑う目の底には「こんなわけのわからない破滅というものが経済にもあるなんて、前には考えたことがなかった」という驚きとあきらめが宿り始めている。

日本の経済ならば「日本の社会が古い」「年功序列が悪い」という意見は、(こういうことを言うと怒る人がまたいっぱいやってきてしまうが)、社会的には問題でも、わしの意見では実はそーゆー「社会の体質の古さ」は経済上はどーでもよいことで、要するに「人口が減っている」ことにすべては尽きている。
他には理由がないように見えます。
もしそうでないことが将来判明したらニッポン
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ひと箱くらいならあげてもよいが、「少子化対策」と言われれば女子高校生の卒業資格条件に一定年収以上の中年男との無避妊性交を織り込みかねない顔ぶれの自民党内閣がどんな経済政策を打ち出しても、移民から個人(特に若い女びと)の生活を楽にするための先例のある政策群まで、人口を増やす方策を積み重ねていけなければ、60年代のフランス人たちが「ベビーシッターの無料化や子供をもつ親たちへの補助金、移民の受け入れというような出産奨励策をとっていかなければ必ず自分達の未来に降りかかる悪夢として描いたとおり、日本の行き先には「破滅」以外のなにものも待っていないと思う。
アベノミクス
https://gamayauber1001.wordpress.com/2013/04/23/アベノミクスが開いたドアの向こう側/
が何ヶ月間日経平均を支えても、いずれは「人口減」という地面のリキデーションに沈む運命で、人口減少問題を解決しなければ本当の経済的繁栄が戻ってくるわけはない。

「今日よりも確実に悪くなる明日」しか待っていないのだと思います。

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