ほっといて

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マリーナからの帰り道に豚まんを買ってモニに可笑しがられた。
「この頃ガメは包子ばかり食べていて中国人の子供みたいだ」という。
中国人ならば大人も包子を食べるのではないかと思うが、結婚生活にややなれてくると、些細な反問というものがその後の展開を成さないのがわかっているので、メンドクサイのでしません。
「そーですか」という。
でも、この豚まん、おいしいんだけど。

いつかツイッタのアカウントに「お弟子さん」みたいなヘンなひとびとと共に大挙して攻めてきた小説家の人が、「個人として幸福な人間は皆悪人である」と述べていたのをおぼえているが、この人が言うことがほんとうなら、モニもわしも悪人なのである。

そーか悪人なのか、ではもっと悪人ぽく「グリンッ」と笑えるように片頬で「もの凄い笑い」をする練習をしないとダメだよねー、と思いながら、ほんらいはモニさんのクルマである緑色のBMWを片手運転しながら3個目の豚まんを頬張っている。
モニさんは臭いが嫌だと言って窓をあけています。

モニさんはアジアのものはびっくりするほど極く自然に嫌いである。
嫌い、というよりはほとんどまったく関心がないよーである。
日本の人たちのなかには、モニのような人をみると「人種差別だ」「反日だ」とゆって大騒ぎをするのが大好きな人がたくさんいるのを経験上しっているが、わしはそう思わないので、特に政治的な感想というものはなくて「アジアのものに興味がないのだな」という認識があるだけです。

日本の人が自分と意見が異なるもの、自分が受けいれたくないものを、看過して、そのへんの床の上に放っておけないのは、面白い国民的な癖であると思う。
自分が嫌いなものが目に付くところにあるのがいてもたってもいられないくらい嫌なようで、ツイッタで観察していても、反原発の考えがあわないと、直に「あなたはおかしいのではないか」と話しかけだす。
そのうちに東電のスパイだと述べだす。
東電の工作員などは良いほうで、わしなどはインターネット上でオオマジメに北朝鮮のスパイだと言われたことがなんどもある。
わしのような酷い浪費家をスパイにしたら北朝鮮の脆弱な経済では倒産してしまうのではないか、というような正当な疑問はもたないもののよーです。
見ていると、あれあれあれと思っているうちに死闘になる。
周りでみていたひとが双方おもいおもいの側についてグループ乱闘が始まる。
直撃弾を浴びたくない「いつものひとたち」がせいいっぱい知性的に見えるように懸命に工夫した皮肉をのべる。
同じように知的に見られたい、これも良くみれば「おなじみの面々」がRTをリレーしてゆく。

多分、受験勉強時代の名残なのでしょう、日本のひとのこれも(他国民に比して)際立った特徴である「まとめ大好き癖」が発揮されて、togetterで相手の言う事を恣意的に「まとめ」て悪意ももちやすいように一覧性を編集する。

わしの大好きな友達である「頭がいかれた」内藤朝雄が話しかけてきて、「われわれはネット上にデマも怪しい話もどんどんRTで流通させて、それを評価の篩にかけるシステムを確立しなければならぬ」と述べたときにも、わしは「そんなん無理なんちゃう」と思わず答えてしまって自分でぶっくらこいてしまった。

考えてみれば、内藤朝雄が対ナチレジスタンスの計画のように述べていることは英語の世界ではあたりまえのことであって、もともとの初めからネットはそういうものなのである。
無意識のうちに自分が「日本語のインターネット世界は極めて特殊な空間である」と考えている事が見透かされたような気がして、狼狽してしまった。

わしは自分の土俵から出ると相手のルールに順うことにしているので日本語インターネットのルールにしたがって「確からしいこと」以外は述べないことにしているが、
英語世界のインターネットのルールでは「発言者が故意にコミュニティを混乱させる目的で虚偽を述べる」のでなければ、別に発言が「デマ」であっても構わないことになっている。

一種の親切心から「きみがゆっていることは事実に照らして誤っておる」というひとはいるが、大半はどういう反応をもって迎えられるかというと「そのへんに放って」おくのです。

ときどき日本の人が議論ということが苦手なのは、この、「放っておく」ということができないからなのではないかと考えることがある。
相手がまちがっていると思えばいちいち相手が「謝罪」するまでかみつきつづけ、相手が反応しないで自分が「放って」おかれると、いよいよ怒り心頭になって、かき集められるだけの手勢を集めて攻撃にかかって、嘘でもいいから土下座しろとわめきたてる。
よく考えてみれば「なぜ自分の(真理であるに決まっている)主張に敬意を払わない」とキリキリしているだけの自己満足への希求以外のものでないのは相当に悪い頭でもわかりそうだが、ごぼうから放射能の正しい怖がり方まで、題材が変わっているだけでやっていること自体は気が遠くなるほど退屈な、いつも同じ繰り返しである。
相手が返事をしないのは自分たちが軽蔑されているからではないか、と最も初めに疑うべきことを疑わないで、黙っているから逃げた、おれの勝ちがわっはっは、と大笑していたりするのを眺めていると、こんなところで「自由主義的な議論」というようなことまで夢見た中江兆民というひとは、どういう夢想家であったのだろう、と思いたくなってしまう。

わしは「東海アマ」という人が大好きだと考えるが、そうツイッタに書くと、「どうしてあんなデマばかりの人を信頼できるのですか?失望しました」という人がでる。

大陸欧州は「こういう場所のこういうときにはこういうかっこうをしてこういう振る舞いをしなければならぬ」という「言われないコード」が細密に定まった息苦しい社会で、その息苦しさの体系が頭にはいっていない人間は文明人とみなさない厳しい社会だが、その一方で「ほうっておく」ことに関しては昔から発達していた社会で、バルセロナの町に立っていても、(有名な人だが)大きさが自慢らしいち○ちんをまるだしにして、誇らしげに立っているじーちゃんがいる。
あるいはアメリカのように「他人をほうっておけない」ところまで退化した文明をもってしまった国でもタイムズ・スクエアにはほぼブーツにアンディ、カウボーイハットにギターという扮装のおっちゃんがいて、特にどうということはなくて風景になじんでいる。

そういう「外観がヘンなひと」はもちろんアジアの国にもいるはずだが、ここでメンドクサイことをいうとバルセロナのでかいちん○んじーちゃんやNYCの裸カウボーイは「頭がおかしい人」として街頭に立っていることを許されているわけではない。
「自分というヘンな人と等価にヘンな人として交差点に立っている」のです。

ここに友達が教えてくれた2chの記事
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1777560.html
があるが、この記事を見てふつうのひとが「吐き気がする」ような気になるのは、この警察に通報した若い人に「未開性」を感じるからであると思う。
「野蛮」を目撃したときの、なんとも言えない嫌な感じを見たからである。

どうしようもなくワガママな、というのは違う言葉で言い換えればひとりひとりが「自由人」である社会をなんとか運営するために発明された「民主主義」というシステムを多少でも機能させるためには、実は、この「放っておく」判断のマージンのような領域は絶対必要不可欠な領域であるのを欧州人はあたりまえのこととして知っている。
それが、あまりに当たり前なので、日本人が「民主主義社会」を輸入するときに輸入し忘れた事情は、理解はできるが、考えてみれば信じられないような失敗だった。

わしは日本の多くのひとと異なってモノマネも模倣も、すればいいんのではないだろーか、としか思わない。
オリジナリティも、ただオリジナルであることに意味なんてあるわけねーじゃん、と思うほうだが、日本の社会を見ていると「模倣」ということの難しさを考える事はよくある。このひとつ前の記事にも書いたように、着物とその着物を100%精密精確にコピーした衣服とは、まったく異なるふたつの衣服でありうる。
あるいは、「カルボナーラの謎」
https://gamayauber1001.wordpress.com/2013/06/13/pasta_alla_carbonara/
ほかいくつかの記事で述べたように、
本家にとってはあたりまえの「飽きたから変えちまうべ」ということが、
模倣者にとっては不安で手をつけるに至らない大冒険でありうる。

そうして、自分とあいいれない何事かを「放っておく」ことが出来ない社会が、ほんとうはそれが出来なければ出来上がるわけがない自由社会がいつまで立ってもできないので、皆が腕組みして頭をひねりながらボーゼンとする、という事態に立ち至る、ということもある。

模倣にはたくさんの罠があることに思い至って「ひょえええー」と考える事があるのです。

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