Daily Archives: January 18, 2014

The Island

1 この頃は釣りをするのでも釣り竿をふるのはめんどくさいので、ボートの後ろからケーブルを張ってトローリングをする。 でっかいルアーをつけて引っ張っていると、ヒラマサやミナミマグロ、カツオがかかります。 停泊する湾では、(ここがハウラキガルフの真鯛の「ホーム」なので)「目の下三尺」の真鯛が釣れる。 特別の仕掛けは必要はなくて、小さなシンカーに臭いが強い餌をつけて(真鯛はボートが立てる波音を怖がるので)舷側から遠くに投げてやれば良い。 あるいは伊勢エビを捕る壷を仕掛けて、次の日に見に行く。 伊勢エビが捕れるのはもちろんだが、タコや、どうかすると(滑稽なことに)大きな真鯛が壷にはまり込んでいる。 午後になればモニとふたりで潜ってホタテ貝を捕る。 なんのことはない、住宅地と同じことで、近所のモアリングから友達が訪ねてくる。 銀行家、スーパーマーケット社長、ヨットデザイナー。 皆で採れたばかりの魚を食べる。 白ワインを飲んで冗談に興じる。 とっても「遅れた」国であるニュージーランドでも、粉わさびや「ポン酢」は(ボート人のあいだでは)普通に普及していて、トンガで学んできた調理法を披露する人もいる。 JJがカナダでボートを買って、ニュージーランドまで回航したときの話をしている。 見渡す限りのブルーウォーター。 死にたい、死にたい、と思い詰めて、それでも退屈を渡りきる魂の技術。 株投資家のVは、最近75フットのボートを買ったばかりで、わしやJにトンガへ行くには5月末がいいか6月の半ばのほうがいいかを熱心に訊いている。 小さな小さなディンギイに乗って漁師のJM夫婦がやってくる。 16人がゆったり座れるJJのボートのラウンジも、さしもの、いっぱいになる。 JJの奥さんのSの右肩に夕陽が沈んでゆく。 わしは目を細めて沈む陽をみている。 夕陽が沈んでゆく。 見慣れた光景なのに、(あたりまえだが)ほんとうには見慣れることがない。 激しい陽光と、色彩の歪曲。 不意に、「世界はすごくヘンだ」というアメリカのSF作家の言葉を思い出したりする。 でもきっと、「すごくヘン」なのは世界のほうでなくて、わしらのほうであるに違いない。 2 オーストラリアのオオガネモチVの息子であるRと、後甲板に座って話をする。 「ぼく、アスペルガー、っていう病気なんだって」とR。 Rのおかーさんは美しいエディンバラ訛りで話すスコットランド人で、わしとは大変仲が良い。 「あれって、病気なのか?」 とチョーマヌケな返事をするわし。 「知らないの? ガメは、なんでも知ってるんだって、オトナたちは言っておったぞ」 とRに言われて、オトナというものはバカだから、とかなんとか、訳がわからない返答をする、わし。 アスペルガーは病気じゃないのさ。 アスペルガーが病気である社会は、社会自体が病んでいるのだとは思わないか。 アスペルガーでもなんでも(わしよりも17歳下で13歳の)Rとはとても気があうので、頼まれもせんのに社会が貼り付けにやってくるレッテルはめんどくさいなあーと思うわし。 この世界に「叡知」がなければ、どんなにか良かっただろう。 きみやぼくにはあんまり時間がないのに、あのひとたちときた日には、「ほんとうのこと」が知りたくて血眼なのだ。 ほんとうのこと。 … Continue reading

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