ブルースを聴いてみるかい?_ポップス篇

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(この記事は「ブルースを聴いてみるかい?」
https://gamayauber1001.wordpress.com/2013/02/25/ブルースを聴いてみるかい?(1)/
の番外編として書かれたものでごんす)

エイミー賞を取ったときにはぶっくらこいたが去年はこのブログでも何度か書いたDaft Punkの曲のタイトルGet Luckyは、「ねーちゃん(にーちゃん)とイッパツやれるといいね」という意味です。
そーゆーやつばっかウロウロしているバーで一杯おごって相手と別れるときや、クラブの入り口からめでたくおっかないバウンサーの前を通り過ぎたあとで二手に岐れるときやなんかに言う。

カナダの歌手Coeur de Pirateのカバー曲を集めた新しいアルバム「Trauma」に入っている「Summer Wine」があまりに良いので、ふと、他のミュージシャンのカバーも聴きたくなってyoutubeで検索したらLana Del ReyとボーイフレンドのBarrie-James O’Neilが一緒に歌っているビデオがトップにでてきた。

Summer Wineは、アルコールとコカインとセックスに溺れて暮らす日常を漂流する男と女の歌で、いちばん初めにヒットしたのは1967年のLee HazelewoodとNancy Sinatraのデュエットの版で、それから時を伝って、U2のBono、The Corrs、Gry、Ultima Thule、Demis Roussos、Marie Laforet、… 数え切れないほどのミュージシャンにカバーされてきた。
初めのLee HazelewoodとNancy Sinatraの頃は、「表の意味」の女びとに誘われてエッチしたら酒を飲まされて”silver spurs a dollar and a dime”を掠めとられてしまった、という歌に聞こえるが、2013年のLana Del ReyとBarrie-James O’Neilバージョンになると、どう聴いても歌にでてくるカップルについての都市伝説まで出来上がった例のコカインとセックスの日々の歌にしか聞こえない。

ビデオのなかのLana Del Reyは、子供のようで、ただ愛らしくて、みっともないくらいストレートにデレデレで、スコットランド人の、こっちもちょっと頭弱げなところがカッコイイBarrie-James O’Neilに「くびったけ」で、このひとに有名な逸話の、15歳で重度のアルコール中毒になったのが自然のなりゆきと納得されるような、天使の無垢な魂と剥き出しの神経をそのまま見せている。

絵と画家は関係がない、音楽は音楽をつくった人間から独立した作品として聴くべきだ、というが、ポップスはそういうわけにいかない。
それは本来ポップスターが「自分達の世代の英雄」であるからで、おとなたちに判るわけがないワカモノのあいだだけで理解できる隠語に充ち満ちた歌詞が多いのも、同じ土壌で、ポップスの「同世代性」のせいであると思う。

200インチのスクリーンにNelly FurtadoのPromiscuous
http://www.youtube.com/watch?v=0J3vgcE5i2o
が映っていてデカイ音で壁がぶっとびそうな部屋でスプレッドシートを広げて仕事をしながら日本語ツイッタで遊んでいるわしの仕事部屋にはいってきた義理叔父が、壁のチョー下品(←賞賛の表現)な微笑を浮かべながら腰をくねくねと動かしている男の姿をチラ見して「おまえらの文明の人間は、セックスと酒とドラッグのほかに考える事がないのか?」と呆れていたことがあったが、他に考えていることがあるわけはなくて、西洋都会ガキたるもの、たいていはマリファナの甘い匂いと性とアルコールのにおいがいりまじった、何年にも連続した週末の夜のサバイバーなのである。

公平を期すために述べると、(ばらしたのがばれたらすごく怒りそうな気がするが)モニさんのように初めてキスをしたとき暗がりで見てわかるほど真っ青になって身体をぶるぶる震わせていたようなマジメなひとびともいるが、わしなどはタックス(←税金ではありません)を着てなんだかまともそうな顔をして、隣のひとが話しかけるのに身体を傾けて耳をすまして辛抱づよく聴き、成熟した礼儀正しいオトナ然として静かに微笑しているが、ぬわああに、もともとは、夜中の某広場を横切ると倶利伽羅紋紋のにーちゃんたちがお互いを突きあいながらこちらを盗み観て遠ざかるほどの頭のいかれたスーパー暴力男であって、絵に描いたようなカネモチのバカ息子で、素性がばれてるひとびとのあいだでは、あれではいくら親のコネがあっても刑務所暮らしはまぬがれないだろう、と夜の町では定評ができていた。
撃たれもせず刺されもせず梅淋ボーイ(←おじん駄洒落)にもならずに、妻子とともに幸福にすごしているわしを見て、世の中は不公平だと神を呪っている悪党どもはたくさんいるのだと思われる。
しかし世の中は不公平にできているものなのさ、きみ。

ポップスはロックやブルースと異なって曲の寿命が短いのが定義なので、あたりまえだが、同時代性が強くて、ロサンジェルスのバーでかつては高校生でいまは60代ジジイになった3人の男たちはビートルズがかかってもにんまりはしないが、モンキーズなら顔をみあわせて、なんとなく照れくさそうにするだろう。
もう少し音楽の趣味がよい高校生ガキだった同士ならば、スティービー・ワンダーの「Super Woman」
http://www.youtube.com/watch?v=EnvYIMJtvN4
とかだろーか。
それともロバータ・フラックか。

The Motels
http://www.youtube.com/watch?v=ZaPTELylZ1s
や、The Cars
http://www.youtube.com/watch?v=E0Kv6vxZwL8
がかかると顔を見合わせて、ちょっとはにかんだような、幸福なような不思議な表情をみせる中年の男や女びとの顔を見ているのは悪くはない。

英語国にいて、The Weather Girls

や、ビーチボーイズがかかった途端に、店のあちこちから歓声があがって、店中のチャビイなおっさんやおばさんたちが突然音楽にあわせてからだを動かしだして気の毒な床が壊れそうになる、というお馴染みの光景を経験したひとは日本の人にも多いと思う。

人間は聴く曲の選択によっても自分を表現する。
音楽はすべての芸術やゲージツのなかで最もすぐれて生理的なものだからだろう。
伝統的なブルースはアフリカンアメリカンたちの呼吸そのもののような音楽だが、
その呼吸が伝染して出来た「白いひとびと」のブルースも、だから、ジャニスジョプリンの昔から、生理的でむきだしの裸体に似ている。
いくらビートをポップにもっていっても、自分の音楽の体臭は隠せない。

音楽に少しでも興味がある人間はポップミュージックをすぐに卒業してしまう。
たいていの場合はマーケティングによってつくられた商品として曲も歌手も単なる消費のために生産されるだけなので音楽そのものとして訴えるところが小さいのでは仕方がないのではある。

だからポップミュージックはくだらないと述べる人もいるが、ぜんぜんそんなことはなくて、日本でも、わしは地下に借り切ったレストランでフロアを埋めつくして弘田三枝子
http://www.youtube.com/watch?v=_imswsaoxtk
にあわせて踊り狂う70歳代のじーちゃんばーちゃんの狂乱の夜という怖ろしいものを観たことがあるが、一瞬の炎のきらめきのような自分たちの高校生時代の悲しみや歓喜をみなで共同的にすみずみまであますことなく思い出す、というよりはこの世界に蘇らせるためにはポップミュージックのように魔法に似た役割をはたせるものは他にはない。

自分の青春を思い出す縁(よすが)が、握手してもらうために何十枚もCDを買ったAKB48ではなんだか惨めすぎるような気もするが、それも日本文化を知らない人間の余計なお世話で、そういう人も50年の後には、用事がすんでドブにまきちらしたCDが反射する陽光をAKB48のどったんばったんな盆踊り風リズムとともに思い出して、むかしの栄光を思い出しながら幸福に死ぬのかもしれない。

冒頭のDaft PunkやDavid Guettaのフランス勢は、マーケティングで「オカネを稼げる音楽をつくる」というポップスのつくりかたそのものをパロディ化して右耳と左耳のあいだになにもない、日本人の伊勢神宮信仰にも似ていなくもない、雲ひとつないバカッぷりへの信仰を讃仰する音楽世界をつくることによって、ポップスの世界の新しい傾向をつくりつつあるが、よく考えてみると、何十年か経ったあとにレストランで「Play Hard」を聴くいまの二十代のワカモノがポップミュージックをパロディ化したポップミュージックで、むかしの愚かさをマジメに惜しめるのか、という問題があるよーな気がする。
若いときの愚かさは相対化されてしまうと腐ってしまうからで、そんなに訳知りなことではいけないような気がするが、いやx2、こういうことも余計なお世話で、ブルースやジャズの音楽の上にのせた肘に顎をのせて、自分よりも若い世代のバカっぷりと無茶苦茶ぶりを眺めて楽しんでいるのがよいのだと思います。

(くだらないことゆってないで踊りに行かなくてわ)

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