「美しい国」の向こう側

A strong Japan has potentially some of the tendencies which the Prime Minister mentioned. A strong Japan has the economic and social infrastructure which permits it to create a strong military machine and use this for expansionist purposes if it so desires.
The American forces on Japan are in this respect totally insignificant.
They play no role compared to the potential power Japan represents.
In fact, they create a paradox because it is our belief, and this is one of the occasions where we may be right, our defense relationship with Japan keeps Japan from pursuing aggressive policies.
If Japan builds its own military machine, which it will do if it feels forsaken by us, and if it builds nuclear weapons, as it could easily do, then I feel fears which you have expressed could become real indeed.

In fact, Mr. Prime Minister, from the point of view of the sort of theory which I used to teach in universities, it would make good sense for us to withdraw from Japan, allow Japan to re-arm, and then let Japan and China balance each other off in the Pacific.
This is not our policy. A heavily rearmed Japan could easily repeat the policies of the 1930’s.

So I really believe, Mr. Prime Minister, that with respect to Japan,
Your interests and ours are very similar. Neither of us wants to see Japan heavily re-armed. The few bases we have there are purely defensive and enable them to postpone their own rearmament. But if they nevertheless rearm heavily, I doubt that we will maintain our bases there. So we are not using Japan against you; this would be much too dangerous for both of us.

テーブル越しにアメリカと中国の太平洋安全保障への認識がいかに同じ立場に立っているか、切々と述べているのはヘンリー・キッシンジャーで、時折うなづきながら真剣に聴きいっているのは周恩来です。

NSCに安全保障政策立案が移行した当時の
「日本に基地をおいているのは日本の軍国化を妨げるためである」
「アジアにおいて最も危険な国は我々の同盟国の日本にほかならない」
「日本が自らの意志で重武装化を始めればアメリカは日本との同盟を解消することになる」
というアメリカ合衆国の太平洋安全保障への認識は、いまでも変わっていない。

1971年にヘンリー・キッシンジャーが周恩来に述べた言葉が、最後のアメリカの東アジア外交で述べた「本音」の記録で、その後、冷戦が終了し、中国がアグレッシブな姿勢を見せるようになってもアメリカの東アジア外交、特に安全保障政策は、この認識の延長上にある。

「守られている」はずの日本人が、戦後からいままで、なんとなく釈然としない気持ちに陥って、昔からさまざまな形で、左から右まで、国民のあらゆる階層をあげて、片務軍事同盟条約を結んで一方的に「日本を防衛している」アメリカ合衆国に対して不快感を表明しつづけてきたのは、国民としての「勘」で、なにかがヘンだと気づいていたからでしょう。
日本人が沖縄について話すときに「日本とは分離したもの」として話したがるのは、物理的な基地面積の割合が小さいだけで、なんのことはない、本土もまたアメリカにとっては沖縄と同じ存在にしかすぎないことを、心のどこかに認めたくない気持ちが働いているからだと観察される。

アメリカのほうからすれば、暴力によって徹底的に粉砕した狂信的な国家主義の国を、組み伏せて、プライドも文化的伝統も破壊しつくして、相手の手から武器を奪って、その代わりにおれが守ってやるから、ということにして、相手の国に巨大な軍事力とともに居座ってしまえば、将来にわたって手も足もでるまい、という「読み」だった。
日本の側は日本の側で、日本には珍しい現実感覚にすぐれた外交官の出身で綱渡りの綱を渡りきってしまうだけの度胸と自信をもった首相が、アメリカの読みをさらに深く読んで、自らの桁外れの攻撃性によって滅んだ自国が復活するためには、もうこの方法しかない、と決意していた首相に政府が率いられていた。

https://gamayauber1001.wordpress.com/2014/04/27/葉巻と白足袋/

予測が出来なかった「冷戦が終わる」という事態を迎えて、むかしから国際政治学者が世界の最終ステージと考えていた「文明と文明の衝突」の段階にはいっても、あるいは、その段階に移行したからこそ、アメリカ合衆国は、中国の視線の先にあるものは、日本よりも台湾であると信じてきた。

アメリカと中国の東アジア安全保障への認識が、どんなに対立的になっても基本は同じである、という事実はアメリカ合衆国と中国とに、いわば「落ち着いて」問題に対処する堅固な共通の地盤を与えている。
同質の共通認識をもたないムスリム諸国家やロシアとのアメリカ合衆国の対応の違いは、まさにそこから来ている。
何度かこのブログ記事に書いたヒラリー・クリントンの奇妙な手紙は、最終的にはアメリカが何を譲れないか(裏を返せば何を譲りうるか)という太平洋の自由主義諸国への表明であると同時に昔から高度な外交上の読解力をもつ中国政府への重大なサインでもあった。

https://gamayauber1001.wordpress.com/2010/01/24/ヒラリー・クリントンの奇妙な提案/

だからこそ、
「Japan is a valued ally and friend. Nevertheless, the United States is disappointed that Japan’s leadership has taken an action that will exacerbate tensions with Japan’s neighbors.
The United States hopes that both Japan and its neighbors will find constructive ways to deal with sensitive issues from the past, to improve their relations, and to promote cooperation in advancing our shared goals of regional peace and stability.
We take note of the Prime Minister’s expression of remorse for the past and his reaffirmation of Japan’s commitment to peace.」

という在日アメリカ大使館のステートメントは、恐らくあとでふりかえれば、(ちょうどヘンリー・キッシンジャーとリチャード・ニクソンが日本へまったく相談することなしに中国と突然の友好条約を結んで日本を外交的窮地に追い込んだように)そう遠くない将来において起きることがほぼ決定づけられてしまった、日本を捨てて中国との直接交渉による東アジアの安全保障体制にはいっていったことへの分岐点として、いま認識されているよりも、もっと重大な歴史上の瞬間として記憶しなおされてゆくに違いない。

https://gamayauber1001.wordpress.com/2014/01/02/disappointment/

 

政治においては起きてくる事象を説明するにあたって特異点を無視することがもっとも危険で、
たとえばアメリカが海軍の演習に中国を加えるというような特異点は、そのように考えられるべきで、他の観点からは、説明できないのだけど。
まあ、いまさら、ということなのでしょう。

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2 Responses to 「美しい国」の向こう側

  1. hermestrism says:

    どうせなら一緒に日本についての数学的、政治的な考察書籍書く?匿名とか利用して。

  2. ttaronet says:

    確信とまではいかなくても、アメリカ外交筋の今後をこのように考えている日本人も沢山いると思います。日本の国益の視点からですが。ただ、多数派ではありません。声の大きい世論は左右に大きく分裂し、諦観に囚われそうになったり、希望を失うまいと思ったり。

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