FELA!

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あたりまえだがアフリカンアメリカンとアフリカ人の内面はおおきく異なる。

あたりまえのことを、「あたりまえだが」と断って、わざわざ書くのは、日本語の世界ではアフリカ人もアフリカンアメリカンも、混同して、たいして変わらないのではないか、と漠然と思っている人がたくさんいるのを日本にいたときの経験から知っているからです。

アフリカンアメリカンは、またまた当たり前のことを言うとアメリカ人で、しかも、最近では「もっとも伝統的なアメリカ人」で、いろいろなエスニックグループのなかで最もよくアメリカ的な価値を体現しているのはアフリカ系アメリカ人であると言ってよい。

アフリカ人は、と言って、またまたまた当たり前のことを述べると、

アフリカ人は、というのはアジア人は、というくらいいい加減ないいかたで、地図をみればアフリカは広大な大陸で、しかももともと風土的な多様性に富んだ大陸なので、ほんとうは「アフリカ人」などというかたは、「アフリカ大陸に住んでいる人」という以外は意味をなさない。

それでもアフリカ大陸から遠く意識が離れている日本語で書くには「アフリカ人」という一般化も意味がなくはないのでアフリカ人は、とおおざっぱすぎるひとからげで敢えて述べると、この地球上の文明の繁栄のアンカーを担うひとびとだが、こういうとアフリカを知っている人ほど、「そんなことが起きるわけはない」と目を剥く。

日本ではたいそう有名らしいブロガーのちきりんという人がアフリカについて書いているから読んでみろと言われて読んでみたら、アフリカはもういっかい欧州人に統治させるしかないと書いてあって、大失礼にも大笑いしてしまった。

なぜ笑ったかは、めんどくさいから説明しないが、西洋人のモノマネをしてバックパッカーとして世界を歩きまわったらしいこの人は、アフリカに行ってアフリカ人たちの社会のデタラメぶりに余程ショックを受けたようでした。

アフリカ人の友達に聞いても「だいたい、どこの国に行っても、ほんとに滅茶苦茶だぜ」と言うくらいで、最も身近な南アフリカ人の友達も里帰りしてまず初めにやることは空港で拳銃を受け取ることで、
「そうしないと殺されちゃいますから」と淡々と述べるところを見ても、日本の人がよく日本がいかに安全か述べようとして口にするロサンジェルスは危ない、サンパウロは危ない、というような、地元人に聞くと、「そんなことねーよ。危ないところに行かなきゃ、危なくありませんよ。日本人ってバカなんじゃね?」
というようなこととは違ってマジメに危ないもののよーです。

ボランティアでレソトの教育事業に参加したひとびとなどは、学校の備品を狙って毎週末に襲ってくる山賊と教師たちとの銃撃戦、 勉強をしたくない生徒たちが雲霞のように押し寄せて学校の建物を破壊した最後の日の様子など、聴いているこちらは口をぽかんと開けて、そんなことがこの世の中にほんとうにあるんですか、としか言いようがない物語を聴かせてくれたが、アフリカは厳しいというか、人道主義、というような西洋人の(アフリカ人にしてみれば)おちゃらけた理屈は通用しないので有名な大陸ではある。

アフリカ人は、いろいろな点で、ヨーロッパ人の凡庸な想像力を越えているといつも思う。

(閑話休題)

FELA! をモニとふたりで観に行った。

ナイジェリア人たちのアフリカンジャズミュージカルで、もともとはたしか、ニューヨークのオフブロードウエイで1ヶ月くらいやっていた。

粗削りなミュージカルで、公演当初「魅力はあるが完成度は…」という劇評が多かったと思う。

舞台を観て最もぶっくらこいちまうのはダンスで、ナイジェリア人は、アフリカ人たちのなかでも、名うてのダンスの名手だが、腕と足の動きがものすごく激しくおおきいダンスは、「ダンス」という概念を超越していて、人間の肉体にはこんなにエネルギーが潜在しているのかとカンドーするくらいすごい。

歌詞の内容はコンゴや南アフリカの音楽と共通していて社会の矛盾や政治家の無能、警察や軍隊の腐敗を憤る歌詞の曲がほとんどです。

同じアフリカ人の音楽でもマリ人たちのように自分たちの民族的な情緒を昇華させ凝結させようという意識がはっきり感じられる音楽とはまったく異なっている。

ただ、またまたまたまた、当たり前だが、アフリカの部族的リズムとダンスにジャズのリズムはぴったりでビッグバンド編成に近いジャズプレーヤーたちが活き活きしていて、バカみたいな感想でも、やっぱりジャズはアフリカの音楽だなあー、とモニとふたりで帰りのクルマのなかで話し合った。

白人の、ジャズ、そこから派生したブルースとロックンロールは、どうあがいてみてもアフリカ人たちの音楽と体得したリズムのサルマネなのである。

2050年にはアフリカの時代が訪れているのでなければならない、とぼくがバカのひとつおぼえそのままに繰り返し述べてきた理由は簡単で、単純に事実の数値を計算してゆくと2050
年がアフリカの時代でなければ地球上の諸文明など、とっくの昔に滅びてしまっているからです。

日本の経済が衰退して、アベノミクスによって、国民ひとりひとりの犠牲において、株価は人為的に高く高く維持されているのに、一向に産業経済が伸びないのは、おおもとは冷戦の終結にあるとも言えるが、もっと長期の展望に立てば、もうすぐ中国人の生活が中進国なみになれば地球がまるまるもう一個必要な、限られた資源の獲得競争に日本は次第に敗退しつつある顕れであるとも言える。

ええええー、だって石油安いじゃない、ときみが言う姿が見えるようだが、その「安い」水準の裏側では、不足するのが判りきっているエネルギーやほかの資源に対策するために石油の備蓄基地をつくり、爆発した原発がばらまいた放射性物質の影響はたいしたことないと人間性が欠落した科学者を動員して原発の再稼働をめざし、鉱石を食料を確保しようとして、主に中国と競合して、オーストラリア、アフリカ諸国の至る所で敗北している日本語の報道からは視えない資源獲得の戦争がある。

アフリカ諸国は、さらに悲惨で、部族単位の共同体意識が強く、パブリックの概念が稀薄なことにつけこまれて、自分の家の庭にある資源は、ほとんどが中国とヨーロッパ、アメリカ、日本に「所有」されてしまっている。

政治は腐敗し、社会は崩壊して、インフラストラクチャーはぼろぼろになっていく一方、ボコハラムに見られるような幼稚な暴力が支配する領域はどんどん広くなってゆく。

地球上で最後に人口が市場が伸びるために理想的な構成になるのはアフリカ諸国で、老化を重ねてゆく他地域とは異なって、アフリカ人の手に資源と生産性が渡らねば世界はたちいかなくなってしまう。

日本語の世界からは見えにくいが、この問題は緊急の問題で、アフリカ人は主にヨーロッパ人と額をよせて、あーでもないこーでもないと対策を考えているが、まだ良い知恵はうまれない。

途方にくれる、と言いたいところだが、アフリカ人の音楽、アフリカ人たちが踊る姿をみていると、人間はここから来たのだということが実感される。

あの激しいリズムこそが人間のリズムで、豪雨や照りつける太陽や、動物たちが歩くリズムをマネをして歩いてみて笑いころげるひとびとの記憶を全部保持しているような、あの不思議なリズムが、人間の文明を生み出したのだとわかる。

いまの世界の、五万年前にアフリカからやってきた人間は、また最後にアフリカに帰って行く。人口構成から、そのことは、すでに動かない事実として近未来に固定されている。

その「アフリカの時代」にたどりつくためには、エネルギーや食料生産におけるいくつものブレークスルー、地球全体がそのままもう二個必要なだけの資源をいまあるたったひとつの地球の資源でまかなうための世界のあらゆる場所での無数の技術的ブレークスルーと社会的な革命が必要だが、アフリカ人たちの激しい踊りと、ステージ全体が爆発するようなすさまじいエネルギーを観ていると、結局なんとかなるんじゃないか、という根拠のない楽観が頭のなかに生じてきます。

シアワセに過ぎる感想なのかも知れないけれど

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One Response to FELA!

  1. DoorsSaidHello says:

    相変わらず凄いことを言うなあ、と思って読みました。
    これは、2050年にはアフリカ以外の地域は(上手くすれば衰退で済むが)(上手くしなければ消えてなくなるかもしれん)という話をされているように読めます。

    (消えてなくなるとすればその理由は、あらゆる資源、水と食料とエネルギーの枯渇である、と)。

    ブレイクスルーなんてあるのだろうか。それは儚い望みでしかないように思えるのだが。

    (震災のあとで知人は言った、きっと核汚染を浄化する発明がされるはずだと)。
    (それはただの願望だろうと私は思った)。

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