Daily Archives: August 26, 2015

人権の味

ダラスでいちばんおいしい中華料理屋に行こう、すぐそこだから、 と友達が言う。 テキサス人の「すぐそこ」は50キロくらい先のことが多いが、このときはほんとに「すぐそこ」で20キロくらいのものだった。 皆でテーブルについて食べてみると、おいしかったが、なんだかどこかで食べたような馴染みのある味です。 主人がテーブルに挨拶にやってきたので、どこの料理ですか? 広東?香港?と聞いてみると、 「横浜」という。 はははは。わたしは日本への中国移民の子で、父親は横浜の中華街に店をもっていました。 だから、わたしの「中華料理」は日本風なんです。 餃子も焼売も日本風の味で友達が頼んだチャーハンを観たら、上にグリーンピースまで載っていた。 ひとしきり話をすると、中華街にはシェフがいつかないのだという。 アメリカ人も、あんまり変わらないが、日本の人も舌がたいへん保守的で、毎日毎日、麻婆豆腐にチャーハンに餃子にチャーシュー麺で、しかも中華料理の新しいトレンドを考慮して味付けを工夫すると、「不味くなった」と言われる。 「みんなカナダやオーストラリアに行ってしまいます」とくびをすくめている。 オークランドに来ていちばんよかったのは中国の人に対する、自分でも気がつかずに持っていた偏見がなくなったことだった、と前に書いた。 もうひとつ良いことがあって、なんとなくがさつでおいしくないと思っていた中華料理が、ほんとうはものすごくおいしい料理なのだということが判ったことでした。 日本では赤坂離宮銀座店 http://tabelog.com/en/tokyo/A1301/A130101/13013346/ や、中国飯店 http://tabelog.com/en/tokyo/A1307/A130701/13001954/ 四川 http://www.miyakohotels.ne.jp/tokyo/restaurant/list/shisen/index.html/ のようなところへよく行ったが、「四川」などはニュージーランドのクラウディベイのワインもおいてあって、楽しくはあったが、 おなじエスニック料理でも銀座のタンドリ料理の「アグニ」や あるいは東京ではイタリアの大都市と較べてもパキパキと音がしそうなくらいしゃっちょこばった味だが水準が高いイタリア料理屋に足が向かって、それほど頻繁に出かける、というふうにはならなかった。 ほかの街で中華料理を食べるのは、バルセロナにも、ディアグノルにおいしい店があって二回ランチを食べに行ったが、あとはマンハッタンくらいのもので、カナルストリートを歩いて食べにいく中華街も、雑誌に出ているほどおいしいと考えたことはなかった。 まして、モニさんと結婚してからは、おデートをかねて外で食べることが多いので、食べ物をつくるのは上手でもおデートのおムードをつくるのは下手な中華料理屋にでかける頻度は、ぐぐぐっと減って、日本では、なんだかクラブの食事でなければ、イタリア料理やフランス料理ばかり食べていた。 むふふふ、な理由で広尾山の家にもどらずにホテルに泊まって、「家のこと」がいっさいない週末をおくるためにルームサービスですます、ということも多かった。 味が下品である、というのがアメリカや日本で中華料理を食べた感想で、わずかに赤坂離宮銀座店だけがややまともで、なんだかイタリア料理店や天ぷら店、割烹のあえかな味に較べると数段落ちる、というのがわしの頭に静かに無音のまま定着した偏見だったようにおもいます。 ところがオークランドに住んでみると、マンハッタンやクライストチャーチなどとは全然比べものにならないくらい中華料理がおいしいのを発見する。 初めにぶっくらこいちまったのは餃子で、もうなんどもブログで書いたが、 日本では「焼き餃子は中国にはありません」とひとに習ったのに、ぜんぜんそんなことはなくて、焼き餃子、蒸し餃子、ゆで餃子、揚げ餃子となんでもあって、形もまるこくて小さいのやバナナみたいなのもあれば、四角い鍋貼もあって、皮が厚くていかにもパスタふうなのもあれば、うすううういパリパリの皮で、パリパリを楽しんでね、というのもある。 中身の餡も豚肉と白菜、豚肉とにら、豚肉とコリアンダー…に始まって、ラムと白菜のようなラムのものまでバラエティがある。 へええええ、とおもって、モニさんは、あんまりアジアの食べ物は好きでないので、ひとりで家の人に買ってきてもらったテイクアウェイをおやつに食べたり、ちっこいクルマにクマのように身を屈めて乗り込んで、ときどき指さして笑う失礼な人までいるスタイルで運転して食べにいくと、たとえば胡麻ソースと和えただけの麺や、油と和えただけの麺、福建省の「パイ」や、なんだか四角い炸春巻、どれもすごおおおくおいしくて、いったいいままで「中華料理」だと思って食べていたのはなんだったのだと考えました。 中華料理に、文字通り味をしめて、観たことがない料理は全部食べてくれるわ、と考えて、スリランカ、インドネシア、韓国、マレーシア、ノニャ、フィリピン、.. と手当たりしだいに食べていくと、移民人口がおおきいからでしょう、どれもオーセンティックでおいしかった。 微妙に本国の料理と異なっている、というのは想像がつく。 自分が知っているもので較べれば想像がつくからで、モニさんに外で食べるのは二度としないと言われてしまったフランス料理やベルギー料理もそうだが、おにぎりを観ればわかる、通常鮨チェーン店で売っているおにぎりは、だいたいソフトボールくらいの巨大な球形で、みるからにおそろしげな炭水化物爆弾の様相を呈しているので買ってみたことはないが、見ただけでもう不味そうというか、いくらやってみようと考えても実際に買ってみるコンジョがでない。 ローソンで売っているような三角むすびが、あのままの包装で売ってある店もあって、たいていサーモンとツナです。 ツナは缶詰のツナをマヨネーズで和えてあるもので、多分、誰かが日本に遊びに行って味をおぼえて、自分でおいしかったものは他人も好きだろうと考えてつくっている。 サーモンのほうは、オダキンに笑われてしまったが、巨大なナマのサーモンが入っていて、全体として思想として誤っているというか、三角にして海苔で巻いたインサイド寿司、というような様相を呈している。 … Continue reading

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