Daily Archives: September 28, 2015

深い水のなかで息をとめる

好きかどうかわからないから付きあってみる、ということが判らないみたい、と言う。 「あ、日本の男の人って、そーゆーもんみたいよ」と述べるわし、 相手は溜息をついています。 ローラさんが、ヨシと付き合いだしたのは、一年前で、ローラさんはパートタイムの英会話講師で、ヨシと会ったのも英会話学校の教室だった。 いくらパートタイムで時々お小遣い稼ぎにいくだけだと言っても、同僚は同僚で、冷やかされるのは嫌だなあーと思ったが、ヨシのマジメな態度と、熱心さが好もしかったので、そのうち一緒にコーヒーを飲みにいくようになって、ボーイフレンドとガールフレンドになった。 こういうことを付け足して説明しなければいけないのは煩(わずら)わしいが、ボーイフレンド、という言葉はもともと英語では肉体関係があることを暗黙に含む。 楽しかった、という。 それまでは英会話学校で知り合ったパートタイムの講師仲間と「居酒屋」に行ったり、ひとりでヘッドフォンをつけて音楽を聴きながらインターネットで遊んでいたりしたのが、なんだか目をきらきらさせて、自分に夢中になっている若い男が、毎日でも会いたそうなことを言ってくる。 電話が、毎日かかってくる。 日本は面白い国で刺激がたくさんある。 文房具ひとつとっても、何百という種類があって、しかも伊東屋と東急ハンズでは、まるで違う文房具が並んでいる。 丸善に行くと、さらに異なる種類がある。 まるでパラダイスのようだ、と誰でもおもう。 デパートメントストアの地下に行くと、「デパ地下」がある。 やたらに清潔な売り場に、見たこともない食べ物が並んでいる。 英語世界のデリでも、店員さんに言えばいくらでも味見させてもらえるが、日本では「試食」で、ほとんど、どの食べ物も黙っていても食べられるようになっている。 一方では東京は、英語人にとっては疎外されやすい都会で、まず英語を話す人の数が少なすぎる。 その上に毎日の生活に夾雑物が多くて、その結果、起きてから寝るまでやたら忙しい生活なので、友達ができにくい。 英語人の男は、わしのようにええかげんな奴ばかりなので、誘っても約束の場所にくるんだかこないんだかも半々ぐらいで、 「3時に有楽町の電気ビルの裏口って約束したじゃない」と電話で抗議すると、 「そうだっけ?すまんすまん、忘れてた」という。 後ろで、「コーヒーができたよー」という知らない女の声がしている。 アメリカ訛りで、また新しいのと付き合ってるのかと頭にくる。 そこにいくと日本の若い男は誠実で、ヨシは4歳年上の27歳だが、真摯さがまるで異なるようだ。 「と思ったんだけどね」と言う。 ふんふん、と妙に図体がおおきい、見るからにやる気のなさそうな男の友達(←わしのことね)がうなづいている。 「ガメ、ちゃんと、聴けよ」 聴いておりまする、と言うことは神妙だが、ほんとうはさっきから遠くに見える「ぢ」の赤いネオンサインに気をとられているのではないか。 なんというか、わたしは寂しくて、ひとりぼっちな感じがしたから付き合ってるわけだけど、ヨシのほうは、なんだかものすごくシリアスに関係を受け取ってしまっているみたいだった。 困ったな、と考えた。 そう考えだすと、ヨシと一緒にベッドで過ごしても、なんだか勝手に相手が自分の身体の上に乗っかって「用事をすます」のを我慢しているような気になってきた。 愛してはいないんだよなー、とつくづく思わされてしまう。 そこにタケが登場したわけだな、と、わし。 そう。 ローラさんは、また溜息をついている。 子供っぽいヨシとは違ってタケのほうは女の気持ちがわかるみたい。 ヘアドレッサーのせいかも知れないけど洗練されてるしね。 タケなら一歩すすんで、もっと深い関係ができるかもしれない。 じゃ、タケさんにすればいいんでないの、と述べてみると、 「やってみるとセックスの相性が悪いんだよ」ということが理由だった。 … Continue reading

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